第6話街到着と人助けそして異世界初の技
馬車に乗ってアテナ達と話していると、
「姫様!街が見えてきました。」
馬車を引いていた騎士がそう言った。馬車の中から見てみると、すぐそこに街の城壁が見えていた。
門の前まで行くと、門番の兵士に止められた。
「身分証を」
「これでいいですね」
アテナが出した。身分証を見た門番は、慌てて態度を変えた。
「しっ、失礼しました。どうぞお通りください。」
門番に通して貰い街に入ってすぐのところで馬車を止めてもらった。
「ここでいいのですか?」
「ああ、ここでいい。」
「すみません私達を救っていただいたのにこれぐらいしかできず...近いうちに必ず恩を返します。」
「気にするな。こっちこそ街まで連れてきてもらって感謝してるんだ。ただそれでも足りないと言うなら、身分証をどこで作れるか場所を教えてくれ。それで充分だ。」
「身分証ならギルドで作れますよ。ギルドの場所ならここからすぐのところにあるはずです。それとこれぐらいの事はお礼に入りませんので近いうちに違う形で返します。」
「わかった期待して待っておこう。じゃあ俺はこれで。」
「ええまた近いうちに....ふふっ。」
そして俺はアテナ達と別れ、ギルドに向かって歩きだした。
街には、地球では見ない俗に言うエルフや獣人。それに魔族までいた。
どうやらこの世界は、人間と魔族は争ってはいないようだ。
しばらく街を歩いていると、路地裏からなにやらいい争いが聞こえてきた。
路地裏に行ってみると、赤い髪をツインテールにしている少女と青い髪をポニーテールにしている少女二人と
図体のでかい大人の男五人が言い争いをしていた。青い髪の少女は、なぜだろう、初めて見たはずなのに最近どこかで見たような気がするのはなぜだ。
「だから~。少しだけでいいからよ~。金貸してくれっていってんの。」
「だから!何で見ず知らずのあんたらみたいな奴らに金を貸さないといけないのよ!」
どうやら男達が少女達にカツアゲをしているようだ。
「俺ら見てたんだぜえ。さっきギルドから大量の依頼金をもらってたところをよお。」
「だから俺たちもその金で恵んでもらおうと思ってな。」
「ちなみに、断ったら力ずくでもいただくぜ。ついでに珍しいその武器と服それと嬢ちゃん達も中々の上物だし奴隷商じゃあ高く売れるなぁ」
確かに少女達の着ているのは、ここいらでは珍しい着物のようだ。刀を持っているところを見るに彼女達はおそらく...いや間違いない。侍だ。それと男の言ったとおり少女達の顔は、美少女と言っていいほど美しかった。
「ふんっ、ゲスなあんたらなんかすぐに蹴散らしてやるわよ。」
「刀の錆びにしてあげます」
今まさに少女達と男達の勝負が始まろうとしていた。
しかし、このままではおそらく少女達は数の嵳によって負けてしまうだろう。
そんなこと俺が許せるはずがない。許してしまったら生涯の恥になる。
それにこの少女達はなんとしても守りたい。そんな気持ちが俺の中にはあった。
だから俺は...
「ちょっと待て。」
少女達と男達の戦いを止めた。
「誰だてめえ。」
「そこの少女達が負けると思って助けにきた。ただの通りすがりだ。」
「なっ私達が負ける訳ないじゃない。」
「お前達気づいてないのか?」
「?なんのことよ?」
「周りにまだ五人隠れてる。」
「えっ?!」
「ちっ、まさか気づいているとはな。まあいい一人増えようが変わらねえ。やっちまえ!」
「「「おう!」」」
「おい二人とも。」
「何よ。」
「何ですか」
「お前らにはさっき絡んでた五人を頼む。俺はさっき隠れてた。五人をやる。」
「任せなさい。」
「わかりました。」
こうして俺たちの戦いが始まった。
俺は、殴りかかってきた男の手をつかみ、
「なに!?」
ナイフで切りかかろうとしていた男に向かって投げ飛ばした。
「なんだと!ぐはあっ!」
そして地面の石を素早く拾い、赤い髪の少女に後ろから切りかかろうとしていた男に向かって投げた。
「なっ!ぐけえ!。」
男は、突然のことでガードできず顔面に当たった。
そして男が倒れると同時に、翠月を構え、
「赤口流刀術一ノ型...桜吹雪」
この異世界で初めて自分の技を使った。
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