朝と夕と…
はじめまして。
この話は抽象的(?)な表現があります。
私が伝えたいことがみなさんに伝わりますように…
『朝焼けが好き』と彼は言った。
『夕焼けが好き』と彼女は言った。
『どちらも好き』と誰かは言った。
彼が言うには、春の朝焼けが一番だ。まだ寒い朝に暖かい光が差し込んでくる光景は美しい。一日の始まりに相応しい朝焼けこそが私たちに生きる意味を与えているのだ。
しかし、夕焼けは沈みゆく太陽を眺めること。すなわち、一日の終わり。空が暗くなってゆく瞬間を見届けることは、まるで人生が終わってゆくかのように寂しいことだ、と。
彼女が言うには、秋の夕焼けこそが一番だ。燃えるような赤に染まる空は、今日一日が素晴らしい日であったことを祝福してくれているようなもの。綺麗な夕焼けが見えると、明日も頑張ろうという活力が湧いてくる。
しかし、朝焼けは一日の始まりの光にしては強すぎる。目がくらむほどの日光は身体に毒だ。眩しくて目を開けてはいられない。朝焼けと私は不釣り合いなのだ、と。
誰かが言うには、朝焼けと夕焼けはどちらも反対のものを持っている。2つで1つなのだ。互いに無い部分を補い合うことで、それは2つで1つの素晴らしいものになる。
私にとってはどちらもなくてはならないもの。どちらかを選ぶことはできない、と。
彼は言った。彼女はまるで夕焼けのようだ。その柔らかく包み込んでくれる優しさは寂しさを感じる。
彼女は言った。彼はまるで朝焼けのようだ。その眩しさが私の目を曇らせる。
2人は言った。私たちは朝焼けと夕焼けのように補い合うことはできなかった。
誰かは言った。そう言い切るにはまだ早い。どうか考え直してはくれないか。
2人は言った。2つで1つの素晴らしいものは、互いに認め合ってこそのものだ。私たちはそれができなかった。許してほしい。
誰かはどちらかを選ぶことはできなかったが、どちらも追いかけ続けた。
朝焼けの強さ、夕焼けの優しさを持った誰かはいつもどこかを照らしている太陽のようだ。
だが、誰かにとっての太陽は朝焼けと夕焼けの2つ。誰かは今でも2人を追いかけ続けている。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
こういった抽象的(?)な話を書いてみたかったんです。思いついて咄嗟に書いたものですが。
私はこの話は父親と母親とその子供という設定で書きましたが、みなさんは誰を、もしくは何を当てはめましたか?