#4 チームメイト
グラウンドに残された優斗は、同じチームだという生徒達の顔を見ようとグラウンドを見渡す。
グラウンドには白に名前を呼ばれなかった数名の生徒がいる。
その生徒達の中に花音と嵐の姿もあることに優斗は安堵した。
「おっ、ツッキーもひののんも同じチームか! よろしくな! まあ、センセーが言ってたこと難しくてよく分かんなかったけど、とりあえずオレ達は仲間ってことだろ?」
一番最初に言葉を発したのは、やはりというべきか嵐だった。
嵐は優斗に向かって親指を立てて笑っている。そんな彼に優斗も頷いてから、花音に視線を移す。
「日宮もよろしくな。……っと、そうだ。二人ともさっきは助けてくれてありがとう。お礼言うの遅くなってごめん」
考えてみれば、優斗がいまここに立っていられるのは二人のお陰なのだ。もし二人がいなければ、鬼に殺された生徒達の骸の中に優斗の姿があっただろう。
そんな想像をして、優斗は背筋が凍る思いをしながら改めて二人に感謝する。
「月舘君は私が守るって約束したから」
「え?」
花音の言葉にいつそんな約束しただろうかと優斗は目を丸くさせる。しかし、彼が自らの記憶を辿るより早く嵐が口を開く。
「ああ、ひののんがオレの台詞をとったやつな! ん? でも、待てよ。あの時はオレの方が先に言ったんだし、それはオレもツッキーを守るって約束してたってことになるよな?」
しきりに首を捻って考え込む嵐だったが、やがて一人で納得したように大きく頷き、晴れやかに笑った。
「うん、そうだな! 約束は守らないと駄目だってばあちゃんも言ってたし、守られたことに仇を感じなくてもいいぞツッキー!」
「仇? もしかして、恩って言いたかったのか?」
「おお、それだそれ!」
優斗が間違いを訂正しても嵐は気にした様子なく笑っている。そんな彼を見て、優斗は心の中である意味大物なのかもしれないと思ったのだった。
「茶番はもういいですか?」
不意に響いたのは優斗達とは違う冷たい響きを持った第三者の声。
優斗達の視線は自然とその声を発した人物へと向かっていき……そこにいたのは一人の男子生徒。
雲のように真っ白な髪。銀フレームの眼鏡の奥の理知的な紫苑の瞳。すらりとした長身の端正な顔立ちをした生徒は冷めた瞳で優斗達を見据えていてた。
「あ、ごめん。えっと、君は……」
おそらく同じチームの仲間なのだろうと判断した優斗は戸惑いがちに言葉を紡ぐ。
その反応だけで白髪の彼は優斗の言いたいことを理解したのだろう。溜息をついた後、口を開いた。
「雪野幸太郎。仲良くする気なんて更々ありませんから、覚えなくて結構ですよ」
「ゆきの……ゆきの……うん! お前は、タローだな! 覚えた覚えた! オレ、石動嵐! よろしく、タロー!」
完全に優斗達を拒絶した空気を醸し出していた幸太郎に物怖じせずに晴れやかに笑いかける嵐は流石というべきだろう。
嵐の言葉に幸太郎は忌々しげに表情を歪めて、顔を逸らした。
「仲良くする気などないと言っているのです。これだから、言葉を理解できない馬鹿は嫌なんです」
「うんうん、タローは照れ屋だな!」
「違います。というか、気安く触らないでください」
「あ、そだ! あっちにいるのがツッキーとひののんな! お前も同じチームなんだろ? 仲良くやろうぜ!」
「っ、だから! 仲良くする気なんてないって何度言えば分かるんですか! いいですか! 頭が足りない貴方にも分かるように言ってあげます! 俺は他人と関わることが大嫌いです。貴方達に話しかけたのも寮での部屋割りは俺の一人部屋にしてくださいと言いにきただけで、親睦を深める気など皆無です! 分かりましたか!?」
遂に嵐の言葉に我慢できなくなったかのように幸太郎は口を開いた。早口で捲し立てたせいか、言い終わる頃には彼は肩で息を繰り返していた。
言いたいことを言い切って満足そうな幸太郎に対し、肝心の嵐は不思議そうに首を捻っている。
「んー? オレ、そんなに一気に言われても理解できないぞ。言いたいことは一つずつ言ってくれないと。柑橘で頼む」
「貴方、もしかして馬鹿にしてるんですか?」
「んん? なんか、タロー怒ってる?」
「そ、それよりも雪野! 寮の部屋割りのことだよな!?」
これ以上、火に油を注ぐのはまずいと感じたのか、優斗が慌てて間に入る。
優斗に声をかけられた幸太郎は苛立った様子で優斗を一瞥し、それから気を取り直したように軽く咳払いをした。
「……俺は一人部屋を希望します。話はそれだけです」
「でも、一チームに与えられる部屋は三つ。私達は六人チーム。必然的に二人部屋になる」
「え? 六人って……」
いまここにいるのは優斗達の四人だけだ。それなのに六人チームと言い切った花音に優斗が訝しげな声をあげると、花音がある方向を指差した。
そこには一人の生徒……いや、二人の生徒が立っている。
一人は熊を彷彿とさせる大柄な生徒。鍛え抜かれた肉体は筋肉愛好家が見たら発狂してしまいそうなほど逞しい。肩まで伸びた赤い髪に視線だけでも人を殺せそうなほど鋭い赤い瞳。
その鋭い視線で射抜かれて、優斗は無意識に全身が強ばった。
もう一人は大柄な生徒の背中に隠れながら優斗達を見ている生徒。
その体はあまりにも小柄で、盾にしている大柄な生徒と比べると風に飛ばされてしまうのではないかと思うほど、細く弱々しい。
澄み切った青空のような青い髪の少年は、髪と同じ青い瞳で怯えたように優斗達を見ていた。
おそらく彼等が花音が言っていた残り二人のメンバーなのだろう。
そう判断した優斗は二人に声をかけた。
「えっと、君達も同じチームでいいんだよな? 俺は月舘優斗。君達は?」
優斗の声に話しかけられた二人は互いに顔を見合わせてから、近づいてきた。
近くで見るとより迫力がある。
まるで子連れの熊と対峙してしまったかのような緊張感を抱きながら、優斗は二人の返事を待った。
「御堂晴。よろしく頼む」
「…………あ、雨川……聡、です……」
妙に貫禄のある大柄な生徒と今にも消えてしまいそうなほど小さな声で名前を告げた小柄な生徒。
ずいぶんと対照的な二人だった。
「OKOK、はるるんとサトルンな! 覚えた覚えた! オレ、石動嵐! よろしくな!」
「日宮花音」
「はぁ、呑気に自己紹介とか時間の無駄ですね。それよりもそこの金髪。貴方、先程気になることを言ってましたね」
「あ、オレも気になった!」
「馬鹿は黙っていてください。永遠に」
オレもオレも、と手を挙げた嵐を一蹴した幸太郎は真っ直ぐ花音を見ている。
睨まれていると言っても過言ではないほど鋭い視線を向けられているというのに花音は変わらず無表情のまま、幸太郎を見返した。
無表情の花音に幸太郎は僅かに眉を寄せてから、自らの疑問を口にする。
「何故貴方はこのチームが六人だと知っていたのか。そして、何故一チーム三部屋だということを知っていたか。あの妙菊とかいう教師は何も言っていませんでしたよね」
「これ。さっき他の教師に渡された」
そう言いながら花音が一枚の紙を差し出した。
その紙を幸太郎だけではなく、優斗達も同時にのぞき込む。そこに書かれていた内容を見て、彼等は何故花音が他の人が知らないことを知っていたのかを理解する。
紙に書いてあったのは優斗達の名前。そして、どこかの建物の見取り図。おそらく、これから優斗達が暮らすことになる寮の見取り図だろう。
見取り図に書かれたいくつもの部屋番号。その内、三つの部屋に赤い丸がついていた。
少し考えれば、花音のように理解できるだろう。
書かれた名前がチームメイトのもので、赤丸がつけられた三つの部屋が彼等のものなのだと。
「……なるほど。理解できました。それでは、俺はこの角部屋をもらいますので、残り二部屋を貴方達で勝手にわけてください」
「い、いや、それは流石に……」
「そうだそうだ! 横着だぞタロー!」
優斗と嵐の言葉に幸太郎は侮蔑の眼差しを向けた。その視線に怯むのは優斗だけで嵐は平然と横着だー、と間違った言葉を繰り返している。
幸太郎は不愉快そうに眉間に皺を寄せ、しばらく嵐を睨みつけたあと、諦めたように溜息をついた。
「このままだと本気で時間の無駄ですね。分かりました。譲歩しましょう。けれど、そこの馬鹿と同室だけは絶対に御免ですね」
「わ、分かったよ。……えーと、それじゃあ、女の子の日宮は一人部屋で決定だとして、他はどうする?」
「私だけじゃない」
「え?」
三部屋中、一部屋が女子部屋だとして、残り二部屋をどういう割り振りにしようか考えていた優斗は花音の言葉に思考を停止させた。
淡々とした声で告げた花音は相変わらずの無表情で彼女が何を考えているのかは表情から察することなどできない。
優斗は頭の中でもう一度花音が言った言葉を租借して、チームメイトの顔を見渡してあることに気付いた。
聡と名乗った少年を隠すように立っている大柄な生徒。その生徒が着ている制服が男子のものではなく、女子のものであることに……。
白いプリーツスカートの下から見える鍛え抜かれた屈強な両足。優斗の両腕を足したところであの筋肉には叶わないだろう。
そんな大柄で野生の熊を彷彿とさせる獰猛さを醸し出している生徒の制服は何度目をこすって見たところで女子生徒のものだ。
優斗は顔を青ざめさせる。
「も、もしかして……」
「うん。彼女は女の子」
引き攣った表情で花音に助けを求めれば、花音はあっさりと肯定してみせる。
その事実に驚いたのは優斗だけではない。嵐も幸太郎も驚きに目を見開いた。
三人から驚愕の視線を向けられた晴は静かに口を開く。
「気にするな。間違えられるのは慣れている」
「そ、そんなことないよ! 晴はとっても美人だから! みんな言葉を失っちゃっただけだよ!」
「フッ、慰めの言葉は要らぬぞ。聡」
軽く笑って、聡の頭を撫でる晴。
下手すれば聡の頭を潰してしまうのではないかと思うほどで、見ている方はハラハラする光景だが、撫でられている本人はとても嬉しそうだ。
「うっひゃー、はるるんが女の子だとは思わなかったな。な、ツッキー!」
「ああ、そうだな。……ん? ということは、部屋割りは丁度二人ずつになるのか」
「それなら、私はあのちっこいのと同じ部屋で構いません。アレなら静かそうですしね」
「ちっこいのって……雨川は、雪野と同室でもいいか?」
「ぼ、ぼく!?」
晴に頭を撫でられていて満足そうだった聡は、優斗に話しかけられて大きく肩を揺らす。そして、そのまま晴の背中に隠れてしまった。
「すまん。聡は人見知りが激しくてな。根は悪い子ではないのだ。気を悪くしないでもらいたい」
「あ、ああ。大丈夫だ」
怯えたように晴の背中に隠れて顔だけを覗かせている聡は、その小柄さも相まって本当に子どものようだ。そんな聡の反応を見て、優斗は困ったように眉を下げる。
「けど、人見知りだっていうなら、雪野と同室は辛いか?」
口を開けば辛辣な言葉しか言わない幸太郎と同室にしたら、聡が泣いてしまいそうだと考えたのだ。しかし、優斗の言葉に返事を返したのは他でもない聡本人だった。
「だ、大丈夫、です……」
後半は小さすぎてほぼ聞き取れなかったが、それでも聡は大丈夫だと言った。
優斗は心配そうに聡を見るが、彼は既に晴の背中に隠れてしまい、顔を見ることは叶わなかった。
しばらく出てこないか見ていた優斗だが、やがて諦めたように他のチームメイトを見る。
「それじゃあ、部屋割りは日宮と御堂。雪野と雨川。俺と石動ってことで問題ないか?」
「ちょっと待った! ツッキー!」
これで部屋割りについては大丈夫だろうと考え、最終確認をした優斗に異議唱えたのは嵐だ。
突然の大声に優斗は驚いて、目を丸くさせて嵐を見た。
「な、なんだよ。何が不満だ?」
「不満も不満。大不満だぜ! いいか、ツッキー! センセーが言ってたようにオレ達は一進一退の仲間なんだぞ!」
「先生が言っていたのは、一蓮托生」
「そうそう! その『いちれんたくしょー』ってやつだ!」
淡々とした花音の訂正に嵐は腕を組んで何度も頷いている。
優斗は怪訝な顔で嵐の言葉の続きを待つ。そんな優斗に向かって嵐は、ビシッと音がしそうなほど勢いよく指差す。
「つまり、オレ達は『いちれんたくしょー』の仲間なんだ! もっと新道を深めるべきじゃないのか! 仲間は大事にしろってばあちゃんも言ってたしな!」
「新道?」
「……た、多分、親睦って言いたかったんだと思う」
「それで、石動君は結局何が言いたいの?」
「それだよそれ! それだよ、ひののん!」
それと言われてもどれだという顔で嵐を見返す花音。他の面々も嵐が言いたいことを理解できないのか首を傾げている。
そんな彼等に向かって嵐は単純明快に言い放つ。
「親しくなるにはまずは名前からだぜ? そんな石動君なんて、他人行事な呼び方はやめようぜ! もっとフレンドリーに行こうぜ!」
にこやかに告げる嵐に全員が黙り込む。
他人行事ではなく、他人行儀だとツッコむべきか、それとも他の反応を返した方がいいのか悩んでいる様子だった。
沈黙に支配された空間で真っ先に口を開いたのは幸太郎だ。彼は大きく溜息をつくと、背を向ける。
「くだらない。部屋割りも決まりましたし、俺はもう行きます」
「あ、待てよタロー!」
「触らないでください。馬鹿がうつります」
「え!? バカってうつるのか!?」
そんな馬鹿丸出しな言葉を紡ぐ嵐に幸太郎はもう一度大きく溜息をついてから、乱暴に嵐の手を振り払い、そのまま歩き出してしまった。
「……え、えっと、つまり、石動は名前で呼び合おうって言いたいんだよな?」
妙な空気になってしまった場をとりなすように優斗が声をあげると嵐が満面の笑みを浮かべて何度も頷く。
「そうそう! そうなんだぜツッキー!」
「まあ、俺は別に構わないけど……みんなもいいのか?」
「私はどっちでも」
「構わぬ。石動……いや、嵐の言うとおり。我らの親睦を深めるのは重要なことだ。聡も構わないな?」
「う、うん」
既に去ってしまった幸太郎以外が頷いたことで、優斗達は嵐の言うようにお互いを名前で呼ぶことが決定したのだった。
「そうだ! このまま寮に帰るのもつまらないし、花見でもしてこうぜ!」
そろそろ解散しようかという雰囲気になりかけてた頃、思いついたように嵐がそう告げた。
その言葉に対する反応は人それぞれだった。
嵐の言葉に賛同する者。どちらでも構わないという者。もう帰りたいという者。
優斗はそのどれでもなかった。
「ごめん。俺は、パス」
困ったように頬をかきながらそう告げた。
「えー!? なんでだよツッキー! ノリ悪いぞ!」
「この後、用事でもあるのか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
言い淀んでしまう優斗に不思議そうな顔をする嵐達。そんな彼等の反応に優斗は正直に行きたくない理由を話すことにした。
「苦手なんだ」
「苦手って何がだ?」
「……あ、もしかして、ひ、人混みとか? ぼ、ぼくも苦手」
「ああ、悪い。そうじゃないんだ。俺が苦手なのは……桜だ」
優斗の言葉に誰もが目を丸くさせた。
それもそのはず。花見につきものの賑やかな宴会や一目桜を見ようと押し寄せる人混みが苦手というならば分かるものだが、桜自体を苦手という人はあまりいないだろう。
「んー? 桜が嫌いなんて変わってるなぁ」
「別に嫌いなわけじゃない。ただ苦手なんだよ」
桜に嫌な思い出があるわけでもない。
それなのに自分でも何故そんな感情を抱くのか分からないが、優斗は桜が苦手だった。
桜を見るとひどく感情が乱されるのだ。自分でもよく分からない感情が心の奥で渦巻き、焦燥感に駆られる。
優斗が小学生の頃、遠足で行った花見の時、彼は視界いっぱいに広がった桜を見るなり、倒れてしまったことがあった。
それ以来、優斗は決して桜を見ないように過ごしてきた。だから、春は優斗にとって憂鬱な季節でもある。
ざわざわと胸の奥が騒ぐのを感じて、優斗はそれを静めるように大きく息を吐き出す。
「とにかく、花見に行きたいなら、石動……っと、嵐達だけで行って来いよ」
つい癖で名字で呼んでしまったことに慌てて言い直して、優斗はそう告げた。
「それならば、今日のところは解散としよう。親睦を深めるのはまた別の機会ということでどうだ? 嵐も制服を洗った方がよかろう」
「あー、そういやそうだな。このままじゃ落ちなくなるしな。それにタローもいないし、ツッキーもいないんだったら、親睦も何もないよなー」
「……そ、それに、今日は早く帰って、荷物の整理しないと……」
聡の言葉に全員が思いだしたように顔を見合わせる。
彼等は今日から寮で暮らすのだ。既に荷物は寮に送られているとはいえ、それの荷解きをしなくてはならない。
「やばっ! 早く帰って片づけないと」
「ツッキー! オレの分も頼むぞ!」
「いや、自分でやれよ」
そんな会話をしながら、歩きだそうとした優斗達。
そこで優斗は先程から一言も発していない花音のことを思い出して、振り返る。
振り返った先に立っていた花音は相変わらず無表情だ。
彼女は優斗達の存在など見えていないかのようにどこか遠くを見ていた。その顔が少しだけ悲しげに見えて、優斗は不思議に思いながらも声をあげる。
「ひの……花音!」
「っ、あ……」
優斗に声をかけられて我に返ったようで、花音は翡翠の瞳を丸くさせて優斗を見返した。
「どうかしたのか?」
「大したことじゃない。ちょっと昔のことを思い出してただけ」
「そっか。それなら、俺達も行こうか。嵐達に置いていかれるぞ」
既に嵐達の背中は遠くなっている。だが、彼等も優斗達がついてきていないことに気付いて、振り返って手を振った。
「おーい! ひののん、ツッキー! 早く来いよー!」
「ほら、呼んでる。行こうぜ」
「……うん」
優斗が差し出した手に花音は僅かに戸惑った様子で、けれど優斗に他意がないと気付いたのか、ゆっくり手を握り返す。
そして、二人は駆けだした。
この学園で運命を共にするチームメイト達の元へと──。