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 そのタイミングでのあまりの潔さの降参宣言にエミリーは戸惑い今までためていたマナは四散してしまう。そして丹波もその宣言に意外そうにするも、模擬戦の審判役としてその宣言を受け入れエミリーの勝ちが確定した。


「ちょっと、どういうこト?」


 突然龍馬が負けを宣言したことに納得のいかないエミリーは龍馬に食って掛かる。 


「なんだよ、今言った通りだ。俺の負けだ。他の意味なんてない」


「そんなこと納得行くと思っているのカ!? 勝ちを譲られても嬉しくなんてなイ!」


 再度マナを展開させそうな雰囲気をまとうエミリーを見て、恋が龍馬をかばうように前にでる。


「エミリーちゃん。龍馬くんが自分で負けたって言って、丹波先生がそれを認めたんだから模擬戦は終わりだよ」


「……せめて理由を聞かせて欲しイ」


 恋の台詞に頭が冷え、龍馬に降参した理由を聞く。


「それは、ボクも気になるなー」


 横で模擬戦を見守っていた茜も不思議に思っていたようで二人に近づいていき龍馬に聞いた。


「言わねえと駄目か……」


 最初は意外に思っていた様子だったが理由を分かっているはずの丹波は諦観するにとどまっており、エミリーの言葉に茜も加わったのと言葉にこそ出さないが周りで見ていた他の生徒達も気にしているのが視線から伝わってきて、言わないと模擬戦を終わりにすることが出来ないと判断する。


「さっきのエミリーが地面にためてたマナあっただろ」


 龍馬が事実関係を確認するように言っていく。


「あれな、ルール違反だ」


「エ」


 エミリーが思ってもいなかったことを言われ、思わず声を上げてしまう。


「エミリーはそんなミスしてないネ。地面にマナを貯めるのは問題ないはズ」


「ためている間はな。最後焦ってただろ、そんときに込めるマナの量がちょっとな」


 龍馬にそう言われ、思い当たるところがあったのかエミリーは渋々と納得する。


「あれ? でもそれだと龍馬くんの勝ちだよね」


 話を聞いていた茜は、沸いて出てきた疑問をそのまま答えを知っている龍馬にぶつけた。


「そうだ。だからこそ、って言ってもいいが。嫌だったんだよ、それが」


「ああ……そういうこと」


「どういうことネ?」


 龍馬の少しの言葉だけで茜は降参の理由を察するするが、エミリーは今一つ分からずまた、龍馬と付き合いの長い焔真達以外の大半の生徒も分からなかった。


「試合に勝って勝負に負ける、それが嫌だったんだよね」


「ああ、俺は模擬戦したかったわけじゃ無くて勝負がしたかったんだ。だから模擬戦ができるって聞いてすごい楽しみだったんだ。さっきのエミリーの攻撃はルールに抵触するものだったけど本当の勝負だったら、ルールなんて存在しないしまず今の俺ならかわせなかったと思う。だから、エミリーが反則を取られて負けになる前に降参って形で俺の負けにした」


「納得は行かなイ……けド……」


 龍馬の考えを聞いたエミリー。エミリーは、今まで龍馬は何も考えずにただ好きなことをやっていたと思っていた。だが、今回の模擬戦を通して感じたのはどこまでも真面目に正面から立ち向かうのが龍馬ということだ。周りに合わせようとせず唯我独尊で進んで行く。その部分にはエミリーはまだ納得は行っていない。龍馬は自分勝手で行動をしていていると思い、焔真達がなぜ龍馬に付いて行っているのか理解もできず模擬戦を行うまでに発展した今回の騒動だったが、今龍馬から聞かされた言葉に考えを少し改める。


「今回の事は……ごめんなさイ、九鬼くん。でも、やっぱりもう少し周りのことを見て欲しイ」


「…………しゃあねえな。まあ、今回は俺の負けだから、勝者の言うことは聞くか」


 普段ならエミリーの言うことを素直に聞くことはしないのだが勝負に負けた身として、勝者に従うことにする。


「お前ら、早く教室に戻れ。授業に遅れるんじゃないぞ。それと、九鬼と赤羽は保健室行って休んでろ。話は通しておく」


 今回の模擬戦でマナの力を放出して疲れているであろう二人を、丹波はこのまま授業に出してもまともに集中できないであろうとの配慮だった。


◇◇◇


 龍馬とエミリーの二人は結局この日の授業が全部終わってからだった。


「よお、龍馬。帰ってくるの遅かったじゃん」


「昼にはだるさも無くなってたんだけどな。保健室で止められてよ」


 模擬戦で使ったマナも昼には回復していたのだが、保健室の養護教諭に疲れ自体はそうそう抜けるものではないと休んでいるように保健室で止められていたのだ。そして、龍馬と一緒に戻ってきたエミリーは仲の良い生徒達に囲まれ模擬戦をした感想を聞いたり、逆に見ていた生徒達の感じた感想を次々と語られていた。


「今日は模擬戦のためにだけ学校に来たようなもんだったな」


「茜ちゃんが言ってたよ。テストの時にあの二人に負けないように頑張らないとって」


「そうか」


 恋が模擬戦が終わった後に茜が言っていたことをそのまま龍馬に伝える。茜がどれだけマナとしての実力を持っているのかは焔真達は知らなかったが、テストの時に他のクラスと戦えるのを楽しみにしている龍馬にとっては嬉しい話であり、思わず口角をニヤリとつり上げた。まだテストまで一月以上の期間があるがそれまでの目標ができた龍馬であった。


「とりあえず、帰ろうぜ」


 このまま学校に残ってやることもない龍馬は焔真や恋などの面子を誘って学校を後にする。


「それにしても俺達と違って高校に来てからマナのことを学んだはずなのに、赤羽さん凄かったな」


「ああ、多分俺よりもマナの制御にかんしては上だろうな」


 焔真が模擬戦を見ていて感じたことを素直に龍馬に言うと、龍馬も珍しく自分の負けを認める発言をする。


「珍しいね。龍馬が負けを認めるようなことを言うのは」


 零士がそのことを指摘する。


「そりゃあ、実際に負けたしな。いくらなんでもそこで否定なんかしないさ。負けず嫌いだけど負けを認めないなんてダサい真似はしねえよ」


 そこまで龍馬は言って過去を振り返る。


「今までは、相手がそこまで強いやつがいなかったから言う機会がなかっただけだ」


「龍馬くん、身体能力の底上げにしかマナ使わないのやめたらいいんじゃないの? 遠当てだって使えないわけじゃないのに」


 昔からなのだが、龍馬は癖なのか遠当てなどをほとんど使用しない。それを直したらどうかと、恋は提案した。


「試合で使えるほどの速度で遠当てを使うのは無理なんだよ。どうにも、イメージしにくくてな」


 臆面もなくそう答える。龍馬は遠当てのイメージが固まるまでどうしても時間がかかってしまうのだ。


「そうだったんだ。でもそれなら、琴里ちゃんに教えてもらえばいいんじゃないかな?」


 恋が知っている中で一番遠当ての扱いがうまい琴里の名前をだす。


「……いいや、俺は。短所を補うよりも長所を伸ばす」


 模擬戦の結果を鑑みて、遠当ての練度を上げるのも悪くないと少し思った龍馬だったが一点集中で今の自分の持ち味を育て上げる方が性に合っていると判断し、恋の提案を断る。


「まあ、それも一つの戦法だよね」


 バランスよく鍛えるのも、一つのことに突出のもどちらも悪くないと思っている零士がそう答える。


「おうよ」


「そう? 私はバランス良く育てたほうがいいと思うけど」


「まあケースバイケースってことだ」


 恋の疑問も分からないでもない龍馬だが、突出した一つの技能のおかげで状況を打破できることができることもあればその逆もしかりだ。どちらのほうが正解と言うことはないのだ。


「恋は攻撃系全般苦手だもんな」


 そう言ったのは焔真だ。恋は性格が災いしているのか攻撃にマナを使うのを苦手としている。その代り、身を護る防御系や怪我を癒すために力を使うことを得意としていた。


「むー」


 それが仲間はずれにされたように感じられた恋は、リスのように頬を膨らませて分かりやすい不満のポーズをとる。普段なら琴里が恋を慰めに入るのだが、今日は部活動のためこの場にいなくみな、恋のその様子を見てただただ苦笑するばかりだった。それを見た恋はさらに唸り声をあげ抗議するが、誰も相手をしないため直ぐに諦めることにした。


「それで?」


「あん?」


 平常運転に戻った恋は龍馬に問いかける。


「エミリーちゃんと、模擬戦やった感想は?」


「ああ、そのことか」


 恋は模擬戦でエミリーと戦った感想を龍馬に聞く。


「そうだな、まあ純粋に強かったな。とてもじゃないが同じ条件で戦ってたら惨敗してたと思う」


 ここで龍馬がいう同じ条件とは、龍馬が星領高校に入るまでマナの扱いを学んでいない。もしくはエミリーが龍馬と同じように昔からマナの扱い方を練習していた場合のことだ。


「そんなにか」


 龍馬の言葉に焔真は意外そうな声を上げる。先ほども龍馬が負けを認める発言をしていたため、それほどの驚きはなかったがそれでも自信家の龍馬がそこまでいうのは本当に珍しい事だった。


「悔しいけどな。あとはそうだな、あいつも意外と結構熱い奴だったな」


「え?」


「いや、あれだけのマナの制御ができたんだからもっと絡めてとかできたはずなんだ。それでも、ほとんど正面から挑んできてた。面白い奴だったよ」


 茜以外にも面白い生徒がいたことに喜び、これからの学校生活に楽しみを見つけた。


「それなら、もう喧嘩なんてしないでくれると嬉しいな」


 龍馬がエミリーの事を嫌っているわけではないと知った澪は龍馬に心配から進言した。模擬戦の最中幾度となくヒヤリとする場面があり見ているだけでも相当疲れてしまっていたのだ。


「俺だって別にしたくてした訳じゃねえって」


「龍馬に自覚はなくても、問題があるのは龍馬だからね」


 零士は龍馬の言葉に苦笑しながら釘をさす。


「なるべく気を付けてるんだがなあ」


 周りから見ているぶんには龍馬がそんなそぶりを見せている様子は見えないのだが龍馬本人からすればこれでも譲歩していたのだった。


「龍馬くんはもうちょっと常識を学んだ方が良いと思うよ……」


 そういったやりとりを昔から繰り返してきている恋は諦めつつもそう言わざるおえなかった。


「でも、今回の模擬戦でみんなやる気出たと思うぞ」


「そうだね。あの後の授業もみんなやる気だしてたからね」


 龍馬は保健室に居たので知らないことだが、模擬戦が終わってもその時の熱は冷めきらなかったらしく普段真面目に取り組んでいなかった生徒も、真面目に授業を受けてたほどだった。そのことを焔真と零士は言っているのだ。その言葉を聞いた恋と澪もうなずいていた。


「それは良い事を聞いた」


「あんまり暴走しないでよ」


 龍馬はテストがさらに楽しみになり獰猛ににやけ、反対にそれを見た零士にあきれられてしまう。

 その後も他愛のない話を和気藹々と楽しみながら帰り道を進んで行く。やがて、恋が猫を見つけ逢ちゃんと名付けた公園の手前までたどり着いた。


「あ、澪ちゃん。唐突なんだけど猫ちゃんって好き?」


 そう脈絡もなく唐突に言う恋だったが、問いかけられた澪は特に疑問を抱いた様子もなく素直に答える。


「うん、好きだけど」


 恋が脈絡もなく猫の話をしたことに澪は疑問を抱きつつも答えた。


「こないだえんと帰ってた時にこの先にある公園で滅茶苦茶可愛い猫ちゃんがいたんだけど、ちょっと寄っていかない?」


 今日もまた猫がいるとは限らないのだが、それでも可愛い猫の存在を澪に紹介したがる恋であった。


「え、見たい見たい!」


 猫がいると聞いてテンションが上がる澪。


「俺は疲れたから帰るぞ」


 この後公園に寄っていく流れだろうと先回りして断る龍馬。体の倦怠感がはれているとはいえ、模擬戦のことで疲れている龍馬は先に家に帰ることにしたのだ。


「うーん、僕は寄っていこうかな」


 そして零士も参加することになり、龍馬以外の三人は恋と共に公園に猫を探しに行くことになった。


「どんな猫なの?」


 澪は公園につく前から猫の姿を思い浮かべようと恋に問いかける。


「んーとね、茶色の虎柄で多分大人の猫ちゃんなんだけど小柄な猫ちゃんなんだ。それで、零士くんに似てるから逢ちゃんって名前つけたの」


 猫の姿を思い出してテンションが上がったためか、零士本人がいることを気にする様子もなく言い切る恋。それを聞いた焔真は思わず額を押さえてしまう。


「えん?」


 どうして恋が命名するときに止めなかったのかとわざとしかめっ面をしながら名前を呼ぶ零士。


「いや、しょうがなかったんだ。あの時のテンションの恋を止められるのは世界中探したところで見つからなかったはずだ」


 その零士の視線から逃れるように顔をそむけながら反論する焔真。


「まあ、そうだよね。えんが恋に強く出れる訳ないもんね」


 零士は考えてみれば当然かと、それ以上強く出ないことにする。


「……」


 釈然としない焔真だったが、事実であるため反論することなく大人しく受け入れた。

 何だかんだとありながらも公園に付き、猫の良そうな場所を適当に探し始める恋達の後を付いていく焔真と零士。


「んー、いないね」


 公園の敷地の半分を探し終わったが、それでもこないだ見かけた猫を発見できず少し諦めのムードになりかけているとどこからか猫の鳴き声が聞こえてきた。その声が聞こえると恋の行動は早かった。どこかに行ってしまう前に猫を見つけようと鳴き声が聞こえてきた方向に走って向かう。焔真達は猫のこと以外考えずにどんどん先に進んで行ってしまう恋の後を同じように走って追いかける。


「いたー」


 それでも、猫の姿を見つけると逃げられないように声のトーンを落としてゆっくりと近づいていく。そして、近くまで寄って自身が逢と名付けた猫であることを確認すると思い出したかのように後ろを追ってきていた澪を手招きする。あい自身も恋のことを覚えていたのかあいの方から恋に近寄ってくる。


「人懐っこいんだね」


 恋が近寄ってきたあいを撫でていると追いついた澪はそう言った。


「うん、可愛いよねー」


 撫でまわしている恋を見ていてもたってもいられなくなったのか、澪もあいに逃げられないかと気にしながらゆっくりと手を伸ばす。あいも興味津々といった様子でその手を見つめるだけで嫌がる素振りも見せない。そのため澪も思い切って恋と一緒になって撫でまわし始めた。


「楽しそうだね」


「ああ」

 

 戯れている二人をのほほんと見つめる焔真達。その楽しそうな様子の恋と澪を見られただけでも良かったと焔真は思うのだった。焔真や零士がいることも忘れた様にしばらく猫とじゃれ合う二人に声をかけるタイミングが分からない焔真達だった。


「あれ?」


「どうしたえん?」


「ほら、あそこ」


 焔真が暇を持て余して辺りを見回していると、視界の隅にもう一匹の猫を見つけた。その猫は逢とは違い少し大きめで首輪をしている黒猫だった。


「あの猫捨て猫って感じでもないし、逃げだしてきちゃったのかな」


 毛並みが綺麗にそろっていて、健康的な身体をしており尚且つ首輪をしているためまず間違いないだろうと思う焔真。零士も同じ意見らしく頷いていた。二人が話していると恋達もその猫に気付き逢を抱えたまま、焔真達の元へとやってくる。


「あの猫どうしたのかな」


「多分逃げ出してきちゃったんだと思うよ」


「んー……、澪ちゃんちょっと逢ちゃんよろしく」


 恋は少しだけ考えると隣にいた澪に逢を手渡して、黒猫の方に近づいていく。人に飼われていた猫だったことも影響しているのか恋が近づいても逃げ出したりはせず、何の抵抗もなしに恋に捕まる。


「その黒猫どうするの?」


 黒猫を連れて焔真達のもとに戻ってきた恋に問いかける琴里。


「え、もちろん飼い主探すんだよ」


 きっぱりと言い切る恋。


「あーあ、恋の悪い癖が始まった」


 これが、恋が龍馬と並んでトラブルメーカーと言われる所以だった。恋は一つこれと決めたことがあると、それが終わるまで諦めないのだ。


「新田さん諦めた方が良いよ。そうなった恋は龍馬と同じで人の言うことなんて聞かないから」


 これまで幾度となく被害にあってきた焔真は過去を思い出し遠い目をしていた。その横で零士が黒猫の事を何かを思い出そうとじっと見つめていた。


「零士?」


 焔真の問いかけにも反応せず黒猫のほうを見つめ続ける零士。


「……あ! 思い出した。ボンベイだ」


「わっ!?」


 零士が急に叫んで、それにびっくりした恋が声を上げた。


「零士くん、その、ボンべ…い? ってなんなの」


 聞きなれない言葉だったためにたどたどしく聞き返す恋。


「猫の品種の名前だよ。確かアメリカの猫だよ」


「へえ、よく知ってたな」


 零士の知識に焔真達は素直に感心した。


「とあるアニメにそのボンベイがモチーフとなった猫がでてたからね」


「でもその、猫ちゃんの飼い主どうやって探すの?」


 飼い主を捜すにしても何の情報もないまま、あても無く探し回ったところで飼い主にたどり着くのは相当時間がかかるだろうと心配した澪はそう言った。


「零士、いけるか?」


「はいはい」


 焔真が零士に聞くと予想してたとばかりに返事が返ってきた。

 零士は目を閉じて集中するように息を整えると黒猫に向かって瑠璃色をしたマナの光を放つ。そのまま黒猫に数秒間マナをまとわせ続ける。


「あっち……だね」


 そう言うと零士はマナを消し、指さした。


「小学校の方か」


 その方向は焔真達の通った小学校がある方向だった。


「え、今ので猫ちゃんの飼い主さんの場所分かったの?」


「ううん。この黒猫が歩いてきた方向が分かっただけかな。だから、もしかしたら飼い主がいるのは別の場所かもしれない」


「へえー、そうなんだ。逢坂くん、そんな事も出来るんだ」


 素直に感心したと本人が知ってか知らずか表情に出しながら驚いた。


「ありがとう、新田さん」


 零士は、照れたように恥ずかしそうに言った。


「さてと、飼い主探しに行きますか」


 探すべき場所の検討が付いたことで、行動に起こすべきだと焔真は言った。


「とりあえず小学校目指して出発ぅー」


 澪が抱えていた逢とは別れを告げ、黒猫を抱いたままの恋が音頭をとって公園を後にした。

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