9/30 異世界市場
5話
右の棚に金が入っていると言われた。
なので、右を向くと小さな棚が1つあった。
俺は立ち上がり、棚まで歩く。
そこには、7つのスペースがあり
ひとつひとつにサイフが置いてあった。
そして、その財布には俺らの名前が
刺繍されており、完全にダサい...
すると気になるものを発見した。
俺たちの名前以外に『全て』と書かれている
サイフを見つけた。
「なんだこれ?」
俺が悩んでいると隣でカトレアの声が
聞こえた。
「どうしました?何かお悩み事でも?」
「あぁ、この『全て』ってなんだと思う?」
すると彼女は即答した。
「予想ですが、みんなと共同で使うものじゃ無いですか?
例えば、食材だったり、家具とかだったり。」
「おぉ、それだ!!頭良いね!」
そして、彼女にも彼女用のサイフを
渡した。
「これ、、、ダサいですね。
持つのが恥ずかしいぐらいで・・・あ!!」
彼女は何かを見つけた。
「あの2人サイフ持っていってない!!」
「あ〜ぁ、ほんとだ。自分から聞いておいて忘れるって・・・」
「買い物ついでに渡しましょうか!」
「そうだね!でもまず、、、
お前らどうする?」
俺は蓮と颯斗に向けて言った。
「俺はパス。知らない世界で買い物とか無理。まぁ、もしミッションとかで
外でなくちゃ行けないなら出るけど
それ以外は家にいる。」
蓮は完全に引きこもり宣言をした。
「俺は頭を冷やしたい。」
颯斗はまだ混乱しているようだ
「そう。じゃあ何か欲しいものある?」
「じゃあ、果物。あればりんごを」
「蓮はりんごね。はやとんは?」
「おい!わざとだろ?今のは絶対。」
「いや〜そんな事無いけど〜。
それより何欲しい?」
「いらない。あまり食欲が無い。」
「そっか。じゃあ、
カトレア 行こっか。」
「はい!」
俺達は計6個のサイフを持って外に出た。
外に出ると、日差しが強かった。
「すごい快晴だね。」
「えぇ、そうですね・・・」
カトレアはじっと一点を見つめている。
「あ、あれか・・・」
「はい!あれって紅茶専門店ですよね!!」
どう頑張っても、家を出たらその場所は
視界に入ってしまう。
本当に家から近い。
そして、それは明らかに
「紅茶を売ってます」と言ってるような店だった。
看板には『black tea』と書いておりその横には
ポットが描かれている。
てか、英語なんだ。異世界なのに・・
「ねぇねぇねぇ、行きましょうよ。」
「えっ、でもまず愛沙さんと
彩芽さんを探さないと。」
「お願いが〜い。行こうよ!
さ、つ、き、君♪」
「よし!!行きましょう。
あいつらなんて後だ!後!!」
「やった〜!!早槻君大好き!」
「(はぁ〜俺って、なんてチョロいんだ...)」
店の中に入ると、やはり紅茶専門店だった。
その店には沢山の茶葉があり、
パッケージにはオススメの飲み方なども
表記してあった。
カトレアは目をキラキラさせていた。
俺も一応見たが、正直どれでもいい。
味と香りが良かったら何でも良い。
「カトレアー、外で待ってるから」
「はい。」
小さいが返事は聞こえたので、
外で待っている事にした。
そして、まぁ〜随分と待った。
何分経ったんだろ?それも分かんない。
カトレアは、幸せそうに巨大な紙袋を持って店から出てきた。
家の前に店があって良かった。
ほんと良かった...
「お待たせしました。待ちました・・よね?」
思わず首を縦に振りかけたが、何とか堪えた。
「風景とか見てたら時間あっという間に過ぎちゃたよ!
だから、待ってない!!」
すべて嘘だ。だが、彼女から
嫌われたく無いので嘘をつく。
なんて優しい嘘なんだ。
「そうですか!なら、これ家に置きましょうか。」
そして再び家の中に入る。
すると、蓮と颯斗は
トランプをしていた。
「よいしょ!」
カトレアは買ったものを置く。
「おぉ、お帰り。早かったね、、、
ってこれ全部紅茶?」
すると、彼女は嬉しそうに答える
「はい!何と紅茶専門店が家の前にあったんですよ!!
だから、沢山買っちゃいました!」
「凄いな〜〜
という事は、まだ買い物は・・・」
「してない...
てか、それより、そんな物
何処にあったんだ?」
すると、蓮は服のポケットに指をさした。
「え?!何で?」
「分かんない。入ってた。」
「よく気付いたな」
「まぁ、ポケットに違和感があったからな」
すると、背後からものすごい負の
オーラを感じた。
察しはついてる。
一応振り返ると物凄いテンションの低い愛沙と
愛沙を慰めている彩芽が家の中に入っていた。
「どうしたんですか?愛沙さん?」
「私たちお金無いから、お買い物できないの...
せっかく欲しいものがあったのに...」
するとカトレアは優しく2人にサイフを渡す。
「届けるのが遅れました。すみません」
サイフを渡した途端、愛沙のテンションが戻る。
「おぉ、カトレア!!あなたは
神か?いや天使だ。さすが、
金髪美少女!!」
「ありがとう。カトレアちゃん。
じゃあ、愛沙ちゃん行こっか」
2人は再び外に出た。
「じゃあ、俺たちもそろそろ、今日の食材買いに行くわ。」
「行ってら〜」
外に出ようとした時、後ろから
「フラッシュ」と聞こえた。
とりあえずどこに店があるか
分からないので適当に歩いた。
しばらく歩いていると、
隣で歩いているカトレアが話しかけてきた。
「それにしても、現代と異世界って
やっぱり違いますね。特に家とか」
「そうだね〜」
こっちはあまり普段見ないレンガ積みの家が多い。
風景を見ていると、向こうに気になる物を見つけた。
「ねぇ?あそこだよね?」
「そう、、ですね。行きましょ!」
右に路地裏があるのだが、その先に
食材の様なものが見えた。
なので、2人で路地裏を通ると、
何とそこには、市場があった。
「おぉ、肉に魚。それに野菜や果物が沢山ありすよ!!
いい場所見つけましたね!!」
「良かったよ。見つかって。」
それから沢山の食材を買った。
お釣りを出したく無かったので、
かなりの時間がかかった。
そして、買い物が終わったので
家に帰る。
「ごめんね。時間かかって。」
「良いですよ。すごく真剣だったので
見てて楽しかったです」
「(そんな真剣だったんだ。なんか
恥ずかしいな…)」
そして、重い荷物を持って、家のドアを開け入る
「おぉ、再びただいま!
沢山買ったね!」
しかし、その場には2人しかいない。
「あれ2人は?」
「まだだけど・・・・」
現在の時刻12:10分
「あいつら〜・・・・」