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第5話 憲法改正



「なぁ、憲法改正したいんだが『大日本帝国憲法』と『日本国憲法』がどこが違うか忘れたんだけど。パソコンあったら調べてやれるのにな…」


俺は自分の部屋で大日本帝国憲法を簡単にまとめた資料を見ながら隣にいたジョンにぼやいた。


「はぁ、パソコンですか。いいですよ、出して差し上げます。ただし、この世界の他の人に見せてはいけませんよ。それと兵器の構造などのページも見てはいけません。私がおそばで監視しながらなら使用可能というルールになっております」


とジョンが言った。


「そうだったんだ。そんなルールあったんなら早く言ってくれればよかったのに」


と言うとジョンは、


「ちゃんとルールブックには書いてあったはずですよ?しっかりと読んでくださらないと」


と言ってあくびをした。


「まぁ、何でもいいや。パソコン出して」


「はい、どうぞ」


ジョンがワン!と一回吠えると机の上にポンとパソコンが現れた。


「そうそう、言い忘れておりました。当然17歳である貴方様は18禁のサイトをご覧になることはできません。ブロックをかけておきました」


パソコンの出た机の上に飛んで言う。


「分かったよ。ちゃんと真面目にやるよ」


そしてそれから2週間ほどパソコンとにらめっこした結果大体の骨子が決まった。


まずは「天皇大権」について。

本来民主化を推進しようと思えば真っ先に削除しなければならないのがこの権力だ。

しかし、今回のゲームの場合自分が天皇であるため、ある程度はそれを残しておかないとまずい。

「象徴」になったんじゃもともとの目的が達成できなくなる。

そこで天皇を内閣の長として組み込み、天皇の提案であっても議会の承認がなければその法案・命令は実行できないことにした。


ただし、政府や議会の暴走を抑えるため議会が議決した法案であっても、天皇である俺が拒否すればその法案は無効になることにした。

つまりアメリカ等の大統領制でいう「拒否権」があるということだ。

ということで今の日本国憲法でいう「国民主権」は残念ながら実施できなかった。

まぁ、仕方ないといえば仕方ないが。


次は「統帥権」だ。

昭和に入っての軍部の行動の根拠とされ、政府が軍部の独走を許してしまう原因となったものである。

しかし、今回は天皇が俺であるため当然暴走なんてさせない。

さらに前述のように天皇自体が内閣に組み込まれているため、必然的に軍部は内閣の意向に従わざるを得ない。

だからちゃんとシビリアン・コントロールが出来るているし、これはそのまま残すことにした。

そのほうが戦争中に口を出すのに便利だし。


そしてその次は「国民の権利」について。

本来の大日本帝国憲法では「法律の範囲内で」という限定的なものだったが、この改正で「人が生まれながらにしてもっている不可侵の権利」に書き換えられる。

これにより、信教・思想・良心・経済活動・言論などの自由が認められることとなった。

男女についても「両性の本質的平等」が明記され、いわゆる男尊女卑の考えは憲法上否定される。

また、参政権も20歳以上の全男女に与えられることとなった。


最後は「国会」について。

大日本帝国憲法では貴族院と衆議院の2つが存在しているが、貴族院は選挙ではなく華族と呼ばれる特権階級から政府により選ばれており、民意とはあまり関係のないものであった。

そこで今回は貴族院は廃止し、衆議院の一院制とすることにした。

本来しっかりとした審議をするためには二院制が良いとされるし、ほとんどの国が二院制を採用している。


しかし、俺はもともとあってもなくても変わらないと思う。

基本的に現代の政治だってそうだが、衆議院で通れば参議院でも通る。

ただ、今はねじれ国会ということで参議院で否決されることも多いが、実際「衆議院の優越」によりその気になれば衆議院での再可決で法案は通るのである。

だったら一体何のためにあるのか。

それにはっきり言って国会議員なんてやたらと金をもらってるくせに大した働きをしていない。

本会議中に寝る奴だっているのだ。

だったら国会議員がたくさんいてもそれこそ完璧なごくつぶしである。

だから俺は衆議院(定数480)のみの一院制を採用することにした。


他にも政教分離の原則が導入されたたりしたが、大体主な改正点はこんなものだ。

この憲法改正案は1901年1月16日に帝国議会で可決され、国民に公表された。

今回は国民投票は行われないが、この改正憲法が施行された7月16日以降に憲法改正があった場合には国民投票による過半数の賛成が必要となる。

そして、この憲法に基づき様々な法案が制定・改廃されていった。






ご意見ご感想お待ちしています!


今回の名言↓

「平和とは、悩んでいる期間であり、戦争とは、悩みを解消するために行動する期間である」

−フレデリック大王

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