第2話 アシスタンツ登場
「よし、みんな設定は終わったな。じゃあ始めるぞ。そこの機械の上にあるヘルメットを被ってくれ」
永見先生の合図で全員が恐る恐るヘルメットを被った。
俺も気味が悪いなと思いつつ素直に従う。
そして被って数秒後俺の意識はどこかへ飛んでいった。
気がつくと俺はベットの中にいた。
一体どこだろうか、と思いベットから降りて開けっ放しになっている窓から顔を出す。
窓の外には大きな川が流れていて遠くにはかなり高そうな山々が連なっている。
落ち着いたいいとこだな、と思いしばらく眺めていた。
そして5分くらい経ったとき、ドアがノックされた。
「陛下。入ってもよろしゅうございますか?」
なんかかわいい声が聞こえた。
声は女の子っぽいけど誰だろう。
まぁとりあえず入るように言った。
そしてドアが空いてそこから入ってきたのはなんと……。
めっちゃかわいい女の子!ではなかった。
そこにいたのは2匹の犬である。
「陛下、私たちが陛下のアシスタントでございます。以後よろしくお願いします」
と、犬が喋った。
「え?君達がアシスタント?人間じゃないの?」
俺は面食らった。
確かアシスタントは「1匹」ではなく「1人」って聞いていたのだ。
しかも動物達がアシスタントってものすごく頼りない。
「えぇ。今回のゲームではアシスタントは貴方様が今飼われている動物達が登場して勤めることになっております。ご心配なく、普段は人間に化けてますので。それとちゃんと陛下をお助けしてまいりますので、どうかそんなに不安そうなお顔はなさらないで下さい」
と、もう1匹の犬が話す。
俺はあわてて顔を引き締めてたずねてみた。
「飼ってる動物?ってことはお前らはジョンとクッキー?」
俺は犬2匹に聞いてみた。
2匹ともうなずく。
彼らは柴犬で赤い首輪をしているのがジョン、青い首輪をしているのがクッキーだ。
こいつらは双子で3年前に知り合いのブリーダーからもらった。
ちなみにジョンはオス、クッキーはメスである。
「ふうん、そういや俺んちまだ飼ってる奴いるけどあいつらは登場なし?」
俺んちには他に母さんが買ってるフェレットが1匹と妹が飼ってるリスが2匹いる。
「えぇ。全部呼ぶと動物園になりそうなので。早速ですがとりあえず今の状況についてご説明しましょう」
クッキーが喋り始めた。
大体の内容はこうだ。
昨日俺は天皇の宣下を受けたことになっていた。
そして今は西安の皇居にいる。
これから数時間後に内閣の閣僚が全員集まってこれからについて話し合うことになっているらしい。
現在の内閣は伊藤博文が首相でその他海軍大臣に西郷従道、陸軍大臣に山形有朋、外務大臣に小村寿太郎などがいる。
政府の方針は史実どおり富国強兵。
前回の国会でも陸軍がさらに5個師団の増強を要求していたらしい。
ただ明治帝の崩御で国会が流れてしまいその話は立ち消えとなったようだが。
そして現在の日本の国力だが、かなり弱いようである。
軽工業は比較的成長しているが重工業はさっぱり。
昨年出来た八幡製鉄所が現在国内唯一の近代的な製鉄所。
造船業も駆け出しの段階でようやく初の国産軍艦が2隻ほど建造中という状況。
ただ軍艦といっても三等巡洋艦の「対馬」と「壱岐」だ。
この2隻は3000トン弱の小型艦で日本にはまだまだ大型艦を建造できる力はないとのことだった。
ちなみに史実なら「松島」型巡洋艦の3番艦「橋立」が横須賀海軍工廠での建造だったがこの世界では「橋立」もフランスで建造されている。
それと国民の暮らしぶりだがまだまだ全体的に貧困層が多い。
特に小作農達は思い年貢に悩まされ一日を必死に生きているとのことだった。
労働者達も安い賃金でこき使われ日々が地獄。
公害も発生しているが政府と結びついた企業により揉み消されているらしい。
状況は本当に良くない。
ではこの状況を打開するためにするべきことはなんだろうか。
それは今すぐには思いつかないがとりあえず今日の御前会議で聞きたいこと、言いたいことは大体決まった。
閣僚達にいろいろ白状させてやろう。
天皇には「天皇大権」といわれる強い権限がある。
これは天皇は神聖で不可侵であり、文武官の任免・国防方針の決定・条約の締結・宣戦と講和などを議会を無視してできるというものだ。
当然恐れ多くも天皇陛下のご命令に逆らったり、御前で嘘をつくことなどできないのだ。
まぁどんなに上手く嘘をついたり言い逃れをしたりしてもクッキー達も御前会議に出てくれる(俺の副官として)ので嘘をついていたら分かる。
そしたらそいつは即刻クビだ。
まずは内閣の掃除から始めていこう。
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