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第27話 一休み



両軍とも大きな動きのないまま1914年の夏は過ぎていっていた。

別に兵士が夏バテで…、とかそんな理由ではない。

(当たり前だ。俺じゃあるまいし)

タイが戦線を離脱したため戦略の見直しを迫られている連合軍。

今までの戦いで失った兵員や物資の補給に追われている日本軍。

どちらも動くに動けないのだ。


その間に日本軍は新たに編制した第5軍をバンコクへ揚陸した。

部隊は満州と華南から送られてきた8個師団と2個砲兵旅団。

彼らの任務はミャンマーの首都ラングーンを攻略することだ。

そこには約14万の敵軍がいるようで、インド攻略を前に放っておけない勢力である。


ちなみにラングーンは通常の世界でいうヤンゴン。

日本人カメラマンが銃撃され死亡したことで、一時期メディアに連日のように登場していたとこだ。

数年前まではミャンマーの首都だったが現在はネピドーである。


また、根拠地隊2万4000名などもバンコクへ到着し鉄道敷設工事を開始した。

この世界のタイはインフラ整備が進んでおり鉄道もかなり走っている。

バンコクからサイゴンまでを結ぶ国際鉄道もあるし、北部タイまで延びる鉄道も整備されていた。

現在開戦とほぼ同時に始まったラオスを通ってタイ北部の鉄道へ連結する工事が進んでおりあと3ヶ月もあれば工事は完了するということだ。

また、戦闘で破壊された鉄道の復旧も各地で進んでおり鉄道連隊が工事の主力となっている。


バンコクへ送られた根拠地隊が造る鉄道はラングーンへ向けてのものである。

まだ陥落していないが今から造っておけばすぐ使えるようになるし、まだインド洋の制海権がない以上陸路での補給路を確保しなくてはインド方面へ攻勢はかけられない。


また、この泰緬鉄道の工事は現地住民を大量に雇用して進められている。

少しでも仕事を与え不満を少なくするためだ。

史実の泰緬鉄道の工事は捕虜や現地住民数万人の犠牲を出し、「死の鉄道」と怨嗟の対象になったがこの世界では当然そんなことはない。

もちろんそのため工事の進捗は多少遅いかもしれないが、数万人も殺して鉄道を作って地元民の反乱を招けば元の木阿弥である。



根拠地隊がジャングルをダイナマイトで吹っ飛ばしながら工事を進めている頃、艦隊は整備のため一時香港や基隆へさがっていた。

前線に出っ放しだと機械も人も消耗する。

たまにはドックに入れて整備を受けさせてやらなければならないのは常識だ。

もちろん全ての艦が一度に戦場を離れるわけにはいかないので、訓練を完了した「美作」型戦艦4隻が代わってサイゴンへ出撃し、第2艦隊の半分もサイゴンに残してある。

それらの艦艇も現在入渠中の艦艇の工事が終わり次第工事に入る予定だ。


ところで他の艦艇と違い現在も活動を続けているのは潜水艦部隊だ。

敵艦隊の監視はもちろんのこと輸送船への攻撃、連絡・軽輸送任務、果てにはスパイの揚陸までもが彼らの任務である。

常に20隻は外洋で活動しているようにローテーションが組んであり、非常に忙しく動き回っている。

本来ならもっと潜水艦が欲しかったが、水上艦艇が優先されなかなか予算が確保できず建造が遅れてしまい、現在は大戦前年に追加で建造された艦の就役が始まったところだ。


忙しい潜水艦部隊だが休養はしっかり与えれている。

例えば2ヶ月以上の作戦行動に従事した大型潜水艦は約1ヶ月の休養・整備期間が与えられることになっているし、2,3週間の任務だとしても1週間から10日。

それは潜水艦という艦種は他に比べて環境が圧倒的に劣悪・過酷であるためで、それだけの艦も人も消耗するからである。

一部の地域では撃沈されてしまった艦艇の穴埋めのため休養期間の短縮があるようだが……。


さて、空軍の状態だが航空基地の設営が予想通り間に合わず置いてけぼりをくっている。

バンコクの旧タイ陸軍飛行場の修理が完了次第、第3航空師団をサイゴンから再度前進させる予定だが、航続距離の関係から陸軍部隊の支援は難しいだろう。

敵軍が攻撃可能範囲内へ入って来ない限り出番はなく、まるで基地や都市の防御兵器のようになってしまっている。


ただし水上機部隊のみは河や湖に簡単な基地を築き積極的に索敵・爆撃をこなしていた。

第5軍のラングーン攻撃支援のためタイ・ミャンマー国境付近を流れるサルウィン川(タンルイン川)河口のモーラミャインという街に基地を設営し、5,60機の水上機が進出してラングーンへの爆撃を行っている。

ただし航空ガソリンや弾薬の補給が追いつかず、一度攻撃すればしばらくはおとなしくしてなければならないのが悩みの種だ。

悪路をトラック等で無理やり運んでいるのだ、無理もない。


そのほかマンダレーでは航空隊の進出に備え飛行場建設が行われている。

もはや造るだけ無駄とさえ思われる飛行場だがないよりあったほうがいいのは事実だ。

新型航空機の開発も進んでいるし、万が一インド軍が南下してきた時の備えにもなる。

それに第3軍はもう何ヶ月も居座ったままとなっているから暇つぶしにはなるだろう。

兵士達が不満をダラダラ言っているのは事実だが。


こうして束の間の休暇(?)は土木工事ばかりが各地で続けられて終わることになる。






この話はある意味作者である自分にとっても一休みです。戦闘シーンが上手くかけないので……。描写は少ないですし、目新しい戦法も目を引く展開もないし…。しかしこれから少しづつ頑張っていきます!


今回の名言↓

「戦争では、攻撃は最大の防御である。しかし、喧嘩好きでなければ、攻撃は成功しない」

ージョージ・S・パットン

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