田中君の様子が気になるのだけど
登場人物紹介
主人公:伊藤凜
女子高生。趣味は読書。
田中君の隣の席だったりする。
田中悠
男子高生。運動が得意。
最近視線を感じるらしい。
田中君の様子がおかしい。
初めてそう思ったのはいつだったか…。
まあ少なくとも半年くらい前からそう思い始めたんだと思う。
友達にそう言ったら「あんた恋でもしたんじゃないの」と、からかわれた。
もちろん恋ではないし、そういう意味で気になっていた訳でもない。
じゃあ何で気になっていたのかって?
…非常に言い難い事なんだけど…1人で
携帯に向かって話してたのを見たから。
明らかに電話してる様子でもないんだよ?
その時は痛々しい子なんだな、で終わったんだけど…。
田中君はよく携帯が鳴った後にクラスから
出ていくんだよね。
しかも、それが授業中だったとしても
先生達は何も言わないの。
正直すごく羨まし…じゃなくて!
すごくおかしいと思わない?
普通だったら先生達だって何か一言くらい
言うじゃない。
それが何も言わないし別の課題とか
ペナルティを受け取った様子もない。
これは明らかにおかしいでしょう?
何で皆は気づかないんだろう…。
まあそんな事いいや。
それよりも…現実逃避を終わらせよう。
私は閉じていた目を開けた。
体を捉えるのは異様な形の手。
鱗の生えたそれは私の体を今もなお掴んでいた。
ビル4階程の身長であるその手の持ち主は
一般的に”怪物”と呼ばれている。
”怪物”が初めて現れたのは約半年前。
”悪の組織”が日本侵略を予告したその日、東京の池袋に現れた。
”怪物”は建物を破壊するだけでなく人々を殺戮した。
そんな”怪物”は…突然現れた”魔法少女”によって倒された。
それからも”魔法少女”は”怪物”の現れた
場所に駆けつけ、”怪物”を倒し続けている。
つまり、今回も”魔法少女”が来てくれるはず。
その予想は当たっていた。
…当たって、いたんだけど…。
「”怪物”!人質を放しなさ、えっ…い、伊藤さ…ん?」
黒髪ショート、活発そうな印象のピンクを
基調としたミニスカの衣装を着た”魔法少女”。
彼女は私をみて目を丸くした。
「何で私の名前…。」
私も目を丸くした。彼女と会ったのは実質初めてである。
目を細めて彼女を見れば、どことなく彼に似ているような…。
「…もしかして、田中君?」
どうやら田中君の様子がおかしかったのは”魔法少女”だったからのようで。
一応補足
田中君は約一年前「僕と契約しt(ry」と契約
させられて”魔法少女”をやる羽目に。
普段は男。”魔法少女”の時は何故か体が女に変わる。
女になってもステータスは変わらないらしい。
(むしろ上がるとか)