表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/101

まどろみと覚醒の間

 心地好いまどろみから目を覚ましてみると、どうやらいつもと様子が違うことに気が付いた。一体何が違うのだろう。彼は目を閉じたまま、寝起きのどろどろした思考で考える。ゆっくりと、飴玉を転がすように……。


 彼は違和感の正体に気が付いた。そう、飴玉だ。一番のお気に入りの味が無くなっている。いや、正確には飴玉自体はなくなってはいなかった。ただ、一番お気に入りの飴玉の味だけがすっかり抜け落ちてしまったのだ。


 彼はがっかりして飴玉の数を数えた。一、二、三、四、五……。数はきちんと揃っている。これはどうした事だろう。彼はまだはっきりとしない頭で考える。自分が少しうとうととしている間に、一体何が起こったのだろうか。


 彼はため息を吐きたいのを必死に我慢した。今口を開くのは非常にまずい。

 こっちは飴玉が劣化しないように細心の注意を払い、色々な要望に応えて苦労しているというのに――。


 新しい飴玉を手に入れてから、何だか様子がおかしいことに彼は気がついた。初めてそれを見つけたときには、とても美味しそうな良い匂いだったのに、口に入れてみると何の味も無くて酷くがっかりしたことを覚えている。


 彼はゆっくりと目を開けた。まぁ、一つ失ったって別に構わない。お気に入りはたくさんあるのだから。まだまだ色々な味が楽しめる。

 そう考えてから、彼はまどろみと覚醒の中間地点を、またゆらゆらと気持ち良く漂い始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ