1/1
序章 生き別れ
夢を見た。朝っぱらから、あまり気持ちの良いものではない夢だ。
俺には、兄が居た。
今となっては、その手掛かりが無い。
顔は覚えているが、幼稚園のころに見た記憶だから、定かではないだろうと思っていた。
その兄が……俺の目の前に突然集まる、という夢を。
そう、兄の顔なんて、もう二度と見ることはないだろうと思っていた。
まさか、殺人犯として、ニュースに出てくる顔を見るとは思っていなかった。
彼は、その母を……俺の母を殺し、その人に似たような、女性を、
二桁にのぼるまで、殺した。
切り裂きジャックの再来だ。