後編
怒り顔になった地蔵が跳躍し、眼帯の男の頭部に炸裂した。
顔面が血飛沫を上げて爆散して死体が崩れ落ちる。
地蔵は勢い余って貫通し、壁に穴を作っていた。
「うわ!?」
「ひいぃぃッ!」
部屋全体が激しく揺れる中、二人の男が逃げようとする。
ところが玄関扉が勢いよく閉まって勝手に施錠された。
すぐさまドアノブを回そうとするが、びくともしなかった。
「あ、開かない!?」
「俺達を逃がさないつもりなんだ!」
「そんな!」
二人が苦戦する間に、地蔵が助走をつけて突進を行う。
その頭部が茶髪の男の背中にめり込み、肉を潰して骨を砕いた。
茶髪の男は吐血して唸る。
「げぶっ」
致命傷を負った茶髪の男は倒れて痙攣する。
その頭部に地蔵が落下して完全に砕いてみせた。
野球帽の男は一部始終を見ていることしかできなかった。
顔面蒼白の男は、腰を抜かして呆然とする。
「う、嘘だ……こんなバカなことが……」
血みどろの地蔵を前にして、男は部屋の窓に注目する。
彼は近くにあった椅子を持ち上げると、渾身の力で窓に叩き付けた。
窓に小さな亀裂が走るも、割れる気配はない。
異様な耐久力だった。
「くそ、ふざけんな! やばいって! 本当にっ!」
焦る男は何度も椅子を窓にぶつける。
それでも亀裂が僅かに広がるだけだった。
とうとう地蔵が男を狙って突進を仕掛ける。
男は咄嗟に屈んで避けた。
攻撃に失敗した地蔵の頭部が窓に激突して粉々にする。
地蔵は血を散らして床に転がった。
(逃げるなら今しかない――!)
男は窓の外へと飛び出した。
二階から落下した彼は地面に腰を強打する。
男は激痛に呻きながらも、なんとか這い進んでアートの敷地外へと脱出した。
「こ、これで仕事は……完了……だ」
男は苦しげに振り返る。
アパート全体が倒壊する勢いで振動していた。
室内からは絶えまなく騒音が聞こえてくる。
「地蔵と事故物件が殺し合っている……どっちが勝つんだ」
そのうち室内で爆発が発生した。
窓から炎が噴き出してアパート全体が燃え始める。
(皆殺し地蔵が勝ったのか)
刹那、さらに大きな爆発音が轟く。
壁を粉砕し、地蔵の破片が高速で飛散した。
無数の破片は散弾のように降り注ぎ、男の全身を引き裂いた。
「えっ……あうあ……」
破片が脳に到達する感覚を味わいながら、男は絶命する。
やがて破片同士が繋がって修復し、元の地蔵になった。
一方でアパートの炎は小さくなって消える。
地蔵はひとりでに転がって敷地内へと戻っていく。
両者の戦いはまだ始まったばかりであった。




