飛龍
ある日、仕事の休憩時間のとき王都から税務調査で5人が飛龍に乗って飛んできた、税務官というひとは父エディと村長のモーガンが工房の応接間で対応している、どうやら税金の話をしにきたらしい。
税務官は2人で後の3人は護衛らしい
俺はと言うと外で待機している飛龍に釘付けになっていた、大きい翼に長い首、肌は赤くゴツゴツしていて頭に角が生えている、見た目は厳ついが意外と大人しいのか近づいても威嚇する様子もなく俺に首を伸ばし匂いを嗅いでくる。
興味津々に見ていると近くにいた護衛さんに「触ってみるかい?」と言われ触らせて貰った、赤ちゃんの時から飼われ訓練された飛龍は大人しんだって。
しばらくすると話し合いが終わったのか父エディ達が出てきた、飛龍をみて興奮している俺を見た父エディは護衛の1人に
「よかったらなんだけど、少しでいいから息子を飛龍に乗せて飛んでもらえないかな?」
と頼んだ、俺も期待して護衛さんを見たが
「申し訳ないがそれは出来ないです」
なんでも飛龍で飛ぶためには資格がいるらしく資格を持っているひとしか飛べない、持っていないひとを乗せて飛んでもいけないらしい。
「そうか、すまないね」と父エディは苦笑いをした。
俺は(飛龍に乗れる!)と言う期待があったから断られてしまってショック受け肩をガックリ落とした。
護衛さんは「空を飛ぶことは出来ませんが跨がる事は可能ですよ。」
それを聞いて俺は「乗れるの!?」と一気にテンションが上がった、
父エディも笑顔になり「そうか!ありがとう、よかったなウルフ!」と2人ではしゃいだ。
早速飛龍の首元に乗せてもらった、意外と乗り心地は悪くはない、皮膚の下にある筋肉のクッションが良い感じに効いていて固めのシートに乗っているような感じ、それに龍の首が絶妙な太さで、脚で挟んで体を安定させるのに丁度良い。
護衛さんが手綱を持ちサービスで俺を乗せたまま龍を歩かせてくれた、俺はもう大興奮ドスッドスッっと歩くたび右左に揺れるのが楽しかったのと同時に懐かしい感覚もあった、龍の体のクッション性、首を両脚で挟んで体を固定する感覚、それは地球にいたときに乗っていたバイクにそっくりだった。
龍から降りて「ありがとう!」と護衛さんと飛龍にお礼を言う、護衛さんはニコッと笑い帰宅する準備を始め、日が落ちる前に5人は王都へ飛び立った、飛龍が飛び立つ瞬間それと飛んでいる時の姿どれもカッコイイ、そして何より乗っている税務官、護衛さん達が気持ちよさそうに風を感じているのが羨ましかった、龍の姿が見えなくなるまで父エディと見送った。