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【完結】エロゲーの主人公に転生したので、ルートがないのに人気投票で一番人気だったサブヒロインを攻略することにしました  作者: ネコクロ


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最終話「これからの未来」

「あああ、有栖!? 何言ってるの!?」


 幼女の言葉にいち早く反応したのは、桂だった。

 顔が真っ赤だ。


「なに、あのガチ反応?」

「ふ~ん、二人ってそういう仲だったのですか?」

「先輩のくせに、生意気です」


 そして桂の反応をどう取ったのか、美麗、会長、雛菊の三人が俺にジト目を向けてくる。

 おかしいな、冷や汗をかいてきたぞ?


「ねぇねぇ、どうなのぉ?」


 有栖ちゃんは物怖じしない性格らしく、桂たちの反応そっちのけで、俺の服を引っ張ってきた。

 なかなか度胸が据わっている。


「残念ながら、恋人じゃないよ」

「~~~~~っ! き、君は、なんてことを言うんだ……!」


 俺の言葉を聞いた桂が、なぜか顔を真っ赤にしたまま怒ってしまう。


「いや、なんで怒られるんだよ……? ちゃんと否定したじゃないか」


「その前の言葉じゃない?」

「はい、そうだと思いますね」


 どうやら美麗と会長にはわかったらしく、呆れた表情を俺に向けてきた。

 おかしいな、俺が悪いのか?


「おにいちゃん、ざんねんってことは、おねえちゃんとこいびとさんになりたいの?」

「こら、有栖……!」


 更に質問をしてきた有栖ちゃんを、桂が後ろから抱きかかえた。

 そして、俺から離していく。


「やぁ……! おねえちゃん、はなしてぇ!」

「余計なことばかり言うからだよ……! もう黙ってて……!」


 待ち望んでいた久しぶりの再会をしたばかりなのに、随分とかわいそうなことを言うものだ。

 よほど桂はテンパっているらしい。


 そんな中、俺の答えは――。


「そうだね、付き合いたいよ。俺は桂のことが好きだから」


 ここで変に誤魔化して遠回りをするのは嫌だったので、正直に打ち明けた。

 それにより、桂をはじめとしたこの場にいた女性陣がいっせいに顔を赤くし、口元を手で押さえてしまう。


「なななななっ!」


 桂は壊れたロボットのように、言葉が出てこないようだ。


「あれ、本当に神崎君!? 大胆すぎない!?」

「決める時は決める……! とても素敵だと思います……!」

「絶対こういう時ヘタレになる人だと思ってたのに、変な薬でも飲んだんですか……!?」


 うん、会長以外酷すぎないか?

 あの二人の中で、俺はどんな扱いになっているんだ。


 ――いや、まぁ……ゲームで知ってるけど。


「き、君という奴は……! こんな時まで僕をからかおうっていうのか……!?」

「違う、本気で言ってるんだよ」

「~~~~~っ」


 桂は言葉にならない声をあげながら、悶えてしまう。

 効果は抜群だったらしい。


「おねえちゃん、おへんじは~?」


 そんな中、キラキラと輝く純粋な瞳で、有栖ちゃんが桂を見つめる。

 どう返事をするか、期待して待っているようだ。


 妹にも急かされ、桂は黙っていられなくなったんだろう。

 ゆっくりと口を開ける。


「ぼ、僕は……汚れた人間だよ……?」


 おそらく、組織でのことを言っているんだろう。

 根がまじめな奴なため、そこは引きずってしまうんだと思う。


「汚れたって言ったって、何もできてないだろ? 邪魔して、させなかったし」

「そ、そうだとしても、しようとしたことは事実だから……」


「じゃあ、償えばいい。桂によって被害は出てないんだから、しっかり償いきれるだろ?」

「どうやって……?」


「本当は、好きに生きてほしい――ってのが俺の思いだけど、桂が今のままだと引きずってしまうなら、うちの組織に入ればいい」


 どんなに償おうとしても償えない悪事はあるが、桂の場合やろうとしただけで何も悪いことはできていないのだ。

 やろうとしたことは良くないが、償えるレベルであれば償ったらいい。


 桂が心から望んでやっていたわけじゃないということを、俺たち(・・・)は理解しているのだし。

 彼女に償う気があるのなら、俺は協力を惜しまない。


「今まで悪いことをしようとした分、これからはいいことをしてくれよ。それで十分償えるだろ?」

「僕なんか、いらないでしょ……?」


「いいや、桂の能力は十分すぎるほどに、組織の役に立つよ」

「じゃあ君は、僕じゃなくて能力がほしいんだ……?」


 いったいどう捉えたらそうなるのか。

 わざと話を逸らそうとしているのか?


「組織としては、桂の能力は貴重な戦力になるってだけの話だよ。俺が桂と付き合いたいのは、さっきも言った通り桂が好きだからだ。桂の能力じゃなくて、花宮(はなみや)咲姫(さき)個人のことが好きなんだよ」


「――っ!? どうして、僕の本当の名前を……?」

「知ってるさ、それくらい。本当に俺は、君が好きなんだよ」


「うぅ……」


 桂の目に、再び涙が溜まり始める。

 彼女はそれを手で隠しながら、また口を開いた。


「僕、これからやり直せるのかな……?」

「十分やり直せるさ。そのための協力は、俺も組織も惜しまない」


 その辺についての話は、しっかりと父さんたちにも通している。

 桂がどうして組織に入ったのか、どうして組織の一員として悪事に手を染めようとしたのか、全て話して理解してもらった上で、桂の今後を約束してくれているのだ。

 彼女を受け入れる準備はとっくにできている。


「私たち、お邪魔かな……?」


 俺たちの雰囲気から何かを察した美麗が、みんなを連れて出て行く。

 ちゃっかり、有栖ちゃんも連れていってしまった。


「本当に、僕なんかが好きなの……?」

「あぁ、好きだよ」


「まだ、組織は壊滅してなくて……僕は、狙われると思うよ……?」

「大丈夫、これからは俺が傍で守るから。組織も、きちんと壊滅させる」


「家族も有栖しかいなくて、貧乏で――」

「じゃあ、俺を家族にしてくれよ。金は、二人で働いていけばいい」


 ――と、言ってから気付いた。

 桂の不安を打ち壊そうと対抗していたが、さすがにこれは俺……きもいのでは?


 付き合ってもないのに、プロポーズしてしまったぞ……?


「ふふ……何を言っても、君は受け入れてくれそうだね……」


 しかし――それがよかったのか、桂は再び笑みを浮かべてくれた。

 とりあえず、結果オーライということにしておこう。


「最後の確認をさせて。本当に、僕でいいんだね?」

「あぁ、何度確認されようと、俺の答えは変わらないよ。桂がいい」


 他の誰でもない。

 桂と付き合いたくて、俺は今まで頑張ってきたのだ。

 この世界に生まれ変わったのだって、きっと桂を救って付き合うためだったんだろう。


「そっか――それじゃあ、これからよろしくお願いします」


 そう言うと、桂は深々と頭を下げてきた。


 こうして俺たちは、恋人になるのだった。



          ◆



 五十嵐を捕まえてから五年が経ち――。


「影之君、君また無茶したらしいね!? いくら対ギフト持ちには強いからって、無茶は駄目だよ!」


 桂――いや、咲姫はすっかり組織の一員として馴染んでいるのだけど、俺に対してめちゃくちゃ怒ってくるようになっていた。


「あはは、また神崎君が怒られてるよ」

「仕方ありませんね、無茶をする彼が悪いのです」

「先輩が怪我して一番困るのは、咲姫先輩ですもんね」

「お兄ちゃん、すっかりお尻に敷かれちゃってる……」


 そして、俺の活動を知り、興味を持った美麗、会長、雛菊は、桃花と共に組織に入っていた。

 美麗は表向きアイドルのままで、俺たちには難しい芸能界関係の捜査をメインにしてくれている。

 会長はその人脈を活かした幅広い活躍をしており、雛菊と桃花は組織についていけるよう日々訓練していた。


 五年前の時協力してくれたみんなが組織にいてくれることは、俺にとっても心強い。


 まぁ一番心強いのは――。


「ちょっと聞いてる!? 他の子たちに気をとられてないよね!?」


 やっぱり、奥さんである、咲姫がいてくれることだ。

 俺たちは二年前に式を挙げ、夫婦になっていた。


 咲姫は持ち前の催眠を活かし、尋問で大活躍をしてくれている。

 彼女が入ってから捕まえた悪人や、壊滅させた組織の数は尋常じゃない。

 おかげで、政府での俺たち組織の立ち位置は、かなりものになっている。


 父さんなんて大臣の右腕にまで出世したので、立役者の咲姫を大層気に入っているようだ。


「大丈夫だって、もう無茶はしないから」

「その台詞聞くの、もう何回目かな!?」


「わかったわかった、次は本当に気を付けるから」

「頼むよ、ほんと……。君が死んだら、僕は生きていけないんだから……」


 咲姫はそう言うと、みんなに見えない角度でソッと手を握ってきた。

 今までの性格からは考えられなかったが、意外と依存気質があるらしい。


 まぁとてもかわいいことなので、俺は嬉しいのだけど。


「大丈夫だよ、咲姫を絶対一人にはしないから」

「んっ……約束だからね」


 咲姫はそう言うと、繋いでいる手にギュッと力をこめてくるのだった。

今まで読んで頂き、ありがとうございました!


これにて

『エロゲーの主人公に転生したので、ルートがないのに人気投票で一番人気だったサブヒロインを攻略することにしました』

は完結となります!


話が面白かった、キャラがかわいかったと思って頂けましたら、

ブックマーク登録や評価、感想を頂けますと幸いです(≧◇≦)

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