表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】エロゲーの主人公に転生したので、ルートがないのに人気投票で一番人気だったサブヒロインを攻略することにしました  作者: ネコクロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/35

第33話「やる時は徹底的に」

「僕をどうするつもりだ……!?」


 血が流れる足を手で押さえながら、五十嵐は俺を睨んでくる。


「どうするもこうするも、捕まえるに決まってるだろ?」

「いいのか……!? 僕を捕まえたら、後悔することになるぞ……!?」

「おいおい、冗談だろ? どっちみちここで逃がしたところで、お前は報復に来るだろ? わかりきったことで時間を稼ごうとしても無駄だぞ?」


 こいつが今したいのは、時間を稼ぐことだ。

 そうしていれば、お仲間が助けに来てくれる――五十嵐は、そう考えている。


「どういうことだよ……?」

「お前に何かあった時、仲間に連絡が行くようになってるんだろ? だけど、来たところで袋の鼠だって話さ」

「――っ!?」


 五十嵐は、わかりやすく動揺を顔に表す。

 思惑が見抜かれていたのが意外なのだろう。


 まぁ五十嵐は怪しい動きをしていないので、本来であれば俺は気付かなかったかもしれない。


 だけど、既にそういう仕組みになっていることは、知識として得ていた。

 だから、当然手は打っている。


「そもそもおかしいと思わなかったのか? いくら近道を通ったとはいえ、お前が来るまでにここにいた子を安全に逃がせるほど、俺に時間はなかった」

「桂君と逃げてるんじゃないのか……?」


「戦闘になるかもしれない場に、戦闘向きじゃない人間をこさせられるわけないだろ? あの子を逃がしたのは、会長と安西だよ」


 もちろん、二人だけではなく、念のため桜木さんと進藤さんもついてくれているが。


「まじかよ……君、僕を捕らえるために、一般人まで巻き込んだのか……?」


 さすがにそこまでするとは思っていなかったようで、五十嵐は苦笑いを浮かべる。

 両足からは凄い痛みがきてるだろうに、激痛に耐えているところはさすがだな。


「確実に、お前らに勝つためにな」


 俺がしたことは、決して褒められたことではない。

 むしろ、最初はあの父さんにさえキレられた。

 それでも俺は、桂を助けるために手段を選ばなかったのだ。


 そのため、会長と雛菊にも協力を要請した。

 確実に成功させるには、彼女たちの力が必要だったからだ。


「なるほど……君が余裕なのは、生徒会長がいるからか……。山に入ってからいたあの猫たちは、僕の動きを監視するために、安西君が呼んだんだね?」

「会長は最強クラスの《ギフト》持ちだから、お前以外何人かかろうと敵じゃないからな。猫たちに関しては、お前に限らず安全な道を探るためのものだよ」


 会長の《ギフト》は言霊(ことだま)だ。

 彼女が言葉にしたものは現象になり、自然や人を自在に操ることさえできる。

 自在にとはいっても、人の場合体を支配できるだけで、心は支配できないらしいが。


 声が届かない遠距離から狙撃しない限り、彼女を止めることはできないが――彼女は言霊で防御壁のようなものを作れるため、正直狙撃も効かない。

 だから彼女にはボディガードの役目をしてもらい、桂の妹と雛菊を安全なところに連れて行ってもらった後は、《神々の使徒》を迎え撃つメンバーに入ってもらっている。


 雛菊に関しては、彼女の《ギフト》が猫モデルの獣人型なので、人間サイズの猫になれるし、猫と言葉を交わすことも可能だ。

 それによって、敵と鉢合わせしない道を猫に案内してもらうようにしたのだ。


 会長を封じれるのは空気を操れる五十嵐しかいないため、こいつが俺のほうに来ていた時点で俺たちの勝ちだった。


「このまま時間が経てば、お前の仲間は俺の仲間と会長によって捕まるだろうな」


 近くにいる奴らじゃないとこないだろうし、こいつ自身連絡がいくようにしているメンバーは絞っているだろうから、全員を捕まえられるわけじゃない。


 多くて五人ほどで、組織の大きさから考えると大した人数ではないだろう。

 だけど連絡が行く奴らは、こいつが特に信用を置く人間たち――幹部になるため、そいつらを捕まえられるのは、こちらにとって大きな収穫だ。


 会長がいる限り、あちらは安心して任せられるし。


「ふ、ふふふ……!」


 俺の言葉を聞いた五十嵐は、急に笑い声をあげ始めた。

 頭がおかしくなった――というわけでもないだろう。


「残念ながら、僕は君に捕まってあげないよ」


 俺が話している間、五十嵐が床を這いつくばってジリジリと離れていると思ったが、壁に辿り着くと何やら勝ち誇った笑みを浮かべた。


 そして――壁に隠してあった、ボタンを押す。


「今回は僕の負けだが、次はこうはいかないからね」


「――いや、次なんてあるわけがないだろ?」


 俺は床に這いつくばったままの五十嵐を、呆れながら見下ろす。

 そんな五十嵐はというと――。


「な、なんで、何も起きないんだよ……!? 壊れているのか……!?」


 ボタンを押しても何も起きないことで、焦りながらボタンを連打し始めた。


 何も起きるわけがない。

 なんせ――。


「会長が回線を切ってるから、脱出用の装置は動かないぞ?」


 ここで追い詰めたら、五十嵐が脱出用に用意していた装置で逃げると知っていたので、会長に話して既に対応をしてもらっているのだから。


「くそがぁあああああ!」

「やる時は徹底的にっての、大切だよな」


 俺はそう笑顔で言いながら、思いっきり五十嵐の腹をぶん殴るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ