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第一話 気づいたら異世界でした……

 何してんだろ? 俺。


 テンプレ的流れで子供を庇ってトラックに轢かれ、気を失ったまでは覚えてる。

 んで目が覚めたらどっかの路地裏っぽい場所に居たんだよねぇ。

 どこだ此処? っと、目を丸くして周りを見渡そうとした時、会話が聞こえて来て……、


---


「なんなんだい君は!? コレは僕達のパーティ内での問題なのに、勝手に割り込んで来ないでくれるかい!」

「うっせぇナルシスト野郎! お前ら言い過ぎにも限度ってもんがあるって知らねえのかッ!?」

「なっ、ナルシストォオオオ!!?」


 今の状況になっております。


 俺現在、RPGキャラっぽい姿したコスプレイヤー三人と口喧嘩真っ最中であります。

 原因は、集団での虐げ行為を目撃したからである。

 コスプレしてる三人と口論してる俺の背後に、もう一人のコスプレイヤーがいます。


 その俺と同年代っぽそうな白髪碧眼の人物に対し、三人が罵声の集中砲火していた。

 どんな会話してそうなったかは分からんが、やれ無能とか、やれゴミだとか、挙句の果てには存在自体がマイナスとか。とにかく三人揃って白髪に対し言いたい放題だった。

 んでその白髪さんが悔しそうに「抜ける」とか言った途端、連中が「賢明な判断だ」とか言って大笑いして……。




 ブチ切れた俺が、殴り込み感覚で勝手に口挟みに行来ました。



「あんた誰だか知らないけどさぁ、こいつがそう言われるのが妥当って言われる程の役立たずだって知らないんでしょ? いや、それだと役立たずの人達に申し訳ないわね。こいつは荷物、いや、ゴミ。そっちの方が正しいわね」


 黒衣装で包まれてる典型的魔法使いコスプレの少女が普通にエゲツない事言いやがる。


「だーかーらー! コイツがなにしたか知らないけど、ここまで酷く言う必要性がどこにあるんだってッ! もっと傷つけない様にオブラートに言えないのか!?」

「あんたも結構ひどい事言ってない?」


 今も激昂してる俺はその魔法使いの言葉に反論すると、


「リコ、言い過ぎですよ」


 テンプレ的白衣装に着こなしてるコスプレ神官少女が俺の味方をしてくれた。

 流石にちょっと罪悪感を感じたのかーー


「レイニスも一応プライドがありますし、本当のゴミなのは間違いないですが言葉を選びましょう」


 ーー撤回したい。このアマも普通に酷え事言いやがった!!


「君は誰だか知らないけどさ、リコの言う通りこのレイニスは僕らの足を引っ張るゴミなんだ。それだけでも問題だけど、それ以上の問題児でね、存在そのもの自体が不幸を呼ぶ化身的存在なんだ」

「だっ!? 不幸呼ぶ化身だぁ!!?」


 んでリーダーっぽい感じの勇者コスプレ野郎の発言に素っ頓狂な声で返答しちまった。


「おい! 俺、事情知らねえとは言えさ、寄って集って言いたい放題しやがって! 何様なんだよお前ら! コイツがお前らに何しやがったんだ!?」


 まぁ、大体は想像つくけど。

 必要な衣装パーツを忘れたやらとかそんなんだろ。

 怒るのはしょうがないとしても折角のコスプレお披露目会なんだろ? そこまで酷え事言わなくても……とか思ってたら、


「部外者とは言え折角だから教えといてあげるよ。ちなみにレイニス、君も自分がどれだけ無能か再度確認するいい機会だからよく聞いとけよ。君の攻撃力じゃ敵にまともなダメージを与えられないよな?」

「……ぁ?」

「その反面敵に標的にされ、私達の手を煩わせましたよね?」

「ふぁ??」

「こいつが出来る事があるとすれば、そこいらに生息してる生き物を操って、荷物運びや周りの索敵程度じゃん。戦闘で役立った事はないのよねー」

「ワッツ???」


 意味不明な珍回答が返って来たのでした。


 え? 敵? ダメージ? 生き物を操る? 何言ってんのこの人達??


 そんでレイニスって人は何も言えなさそうな顔して悔しそうにしてるし。


 ちょ、理解追いつかない。どゆこと? 此処って厨二共和国? 何処の国出身なのこの人達???


「ほら、今のレイニスの顔をよく見てみろ。僕らの正論に対して何も反論してこない。つまり彼は正真正銘の役立たず。マイナスにしか持ってこれないクズって事なのさ」

「いや、あの、アンタらさ、なんの話してるわけ?? その、コスプレの費用とかカメラ忘れたとかそんなんじゃないの? ってかさ、生き物を操れるってどゆこと? そのまんまの意味だったらフツーに凄くね?」


 首傾げ全く言ってる意味が分からない俺を見て、コスプレイヤー三人衆の目が丸くなりました。


「あの……アギオス、この人ちょっと頭おかしいみたいですし、放って置いてもよろしいのでは?」

「それによく見るとこのゴミ、服装が妙にちんちくりんっていうかさ、関わらない方がいいと思うんですけどー」

「そ、そうだね。僕らも暇じゃないし、無視して行くとしよう」


 なんか俺の方が変な奴に見られてるって感じがするけど気のせいか?

 分からんけどなんか腹立つ。グーで殴りたい。


 グィ


「あ、それ……僕の荷物……」


 ーーとか思ってたら連中はさりげなく白髪の荷物袋を持ってこうとしやがった!


「ちょッ!? お前ら! それコイツの荷物だーー」

「ファイア・ボール」


 ボッ


「へ?」


 ボゥッ


「インギュァアアアアアアアアア!!」


 突如俺は火だるまになりました。

 何が起きたとか考える暇もなく、全身包み込む炎の熱さに悶え苦しみパニック状態。


 救急車! 消防車! 誰かこの火を消してくれッ! 助けてヘルプミィィィ!!!


「わわわっ!? あ、アドバンス・ウォーター!」


 レイニスの手から放たれた大量の水により炎が鎮火され、


 ジュゥ…… ドタ


 そのまま仰向けに倒れてしまった。


「ヒール! ヒール! ヒール!!」


 声を出すこともままならない様な火傷の痛みが、レイニスが懸命に同じ言葉を連呼する度に少しずつ和らいでいくのを感じる。


 えっ? 理解追いつかない。

 俺今どうなってんの???


「り、リコ! いくらなんでも酷すぎるじゃないか!」

「別にいいのよ。だってそいつが勝手に介入して来たからの自業自得だし。第一あそこまで世間知らずって事は無能人種に認定されてる奴だろうし。きゃはははっ」

「そういうことです。彼らはワタクシ達の様な、国に認められし有能人種に何をされても文句は言えない立場ですからね」

「そういうことだ。じゃあな」


 コプ三人衆はそう言って嘲笑った後、機嫌良さそうに去った。


「っ……、君、大丈夫?」

「な、何が起きたんだ……?」


 差し伸ばされたレイニスの手を掴み、俺は立ち上がった。


 それにしても何? あの魔法使いコプの女子?

 飾りもんの杖振ってファイアなんちゃら呟いたら火の玉飛んできやがったぞ?


 レイニスが水ぶっかけてくれたおかげで丸焼けにならずに済んだけど……、


 ッ!!?


「お前ッ! 自分の荷物は無事か!?」

「えっ? いや、大半の物は取られちゃったけど……、でも元々は彼らから貰った物だから……って何処いくんだよ!?」


 すぐダッシュしコプ三人衆を探しに出た。


 アイツらッ! 人の物を盗むどころか火だるまにしやがって!

 何としてでも見つけ出して奪い返して報復してやる!

 見かけた途端に大声出せば、警察も味方してくれる筈!


 とか勝手に思いながら勢いで路地裏から出ると……、





「………………は?」





 ゲーム等でよく見る、中世ヨーロッパ風のRPGオープンワールドが広がってました。


 え? マジで此処どこ??


 忘れてたこの一言が、今広がってる景色を見て思い出したのでした。


 此処の人達、鎧やら、魔導師っぽいローブやらなどを着てるんですけど。

 中には露出が凄い踊り子の服を着てる人もいて股の息子が勃つかと思った。


 一言で例えるなら、ハロウィン衣装を普段着にしているってか? マジかよ。


 髪の色もなんかおかしくね?

 一応俺と同じ黒髪もちょっとはいるよ。

 だけど殆どが金・茶・白髪をメインに緑髪や青髪まで種類が様々なんですけど?


 此処の人達全員がDQNなら納得出来るが流石にあり得ない。

 第一、彼らを見ても、DQNを見た時に感じる特有の嫌悪感が湧かなかったからだ。

 ここにいる人達全員、これが生まれながらの地毛って事なのか?


 建造物も煉瓦と木材だけという千何百年頃っぽい感じだし。鉄やコンクリートなどの現代物の建造物と全く違うし。


 車も一台も通り過ぎてない代わりに馬車が走ってるし。

 しかもその馬車を引っ張ってるのが馬じゃなく大きい白ダチョウだし。


 ……え? フィロリアル様? 知らないですぞ。


「き、君! 格好! 格好ッッッ!!」


 これって……例のアレなんじゃないか?

 だとしたら、さっきの火の玉攻撃も、そうだとしたらもしかして……


 マジかよ……


「俺、異世界に転移しちゃったって事なのかァアアア!!?」


 つい大声出して叫んじゃいました。

 その辺歩いてた人達がビックリしちゃって俺の方へと顔向けちゃってるんですけど。


「なっ、何大声出して注目帯びてんの!? 君、今の自分の姿がわわわッ!!?」


 豆鉄砲喰らった鳥の様な顔して来たレイニスを掴んで揺さぶりました。


「おいっ! さっきの魔法使いの奴が放った炎って魔法なのか!? アイツら俺がさっきまで着てた服なんかおかしいとか言ってたけどお前はどう見えた!?」

「おおお、落ち着いて落ち着いてッ! 何度も言ってるけど格好ッ! 服ッ!!」

「は? 服?」


 必死で何か伝えようとしてるレイニスの声で我に返った瞬間、


「ママー。あの人なんで下着だけなの?」

「しっ! 見ちゃいけません!」

「ヤダッ、ちょっ、えっ!?」

「ち、治安兵に伝えた方がいいか?」


 首傾げた様な顔して指差す子供。

 見ないように手で隠しながらもチラ見してる、顔真っ赤な少女達などなど。


 なんかみんな揃って、凄い顔して俺の方を見てないか?


 ……ん? さっき下着だけとか聞こえたような……ッッッ!!?


「まさかッ!?」


 咄嗟に自分の姿に目線を向けるとーー


「……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」


 俺、ボクサーパンツ一丁の変態と化してました。


 あのアマが放った炎の所為でも着ていた赤白ジャージ燃え尽きたのかよッ!?

 そりゃ珍妙な顔してこっち見るわ! 変人見るような目をするわっ!


「と、とにかく路地裏に戻って! まず服を着ろ!!」

「のわっ!!」


 驚き戸惑ってる最中、俺は顔が真っ青状態のレイニスに引っ張られ路地裏へと戻された。

 


今日はお祭り八話投稿です。

次の投稿時間は10分後っす

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章が綺麗に配置されている。読みやすい。 キャラクターに感情移入しやすい。
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