9話 紅葉さん
碧がデスクで作業をしていると背後から声がかかった。
「桐生さん。お昼いきませんか?」
神崎紅葉。碧の後ろのデスクを使用している第一課で碧の他唯一の女性だ。
「いいですね。いきますか。」
2人は席を立ち社員食堂へ足を運んだ。
食事を持ち席に座ると神崎がタイミングをまっていたかのように碧に話し始める。
「桐生さん、初仕事が暴行殺人だなんでとんだ災難だったわね。それに被害者が女性ですし。」
「はい・・・」
「ごめんなさいね、これから食事なのに話題変えましょうか。」
碧の反応をすぐさま感じ取り、神崎は話題を変えようとする。
「・・・神崎さん、アークの判断は絶対に正しいんでしょうか。私は男性が更生する可能性が少しでもあるなら処分以外の方法があったと思うんですよね。」
「・・・アークは正しいわ。実際、対象を追い詰めた際、あなたは人質にされたじゃない。」
「それは・・・」
「少なくとも対象の過去などをアークが精査して、更生の余地や放置した場合の被害が大きいとシュミレーションされたからアークは処分と判断したんじゃないかしら。」
「・・・それでも・・・」
「諦めなさい。私たちの仕事はアークの判断を実行すること。それよりお昼食べましょう。」
「そう・・ですね。」
「桐生さん。下の名前で呼んでいいかしら?」
「別にかまいませんよ。」
「じゃあ、私のことも紅葉って呼んで碧ちゃん。」
「・・・紅葉・・さん・・・」
2人が昼食を取り終え一課の部屋へ戻ると各自の携帯端末と部屋の端末に通知が来た。