4話 初仕事
各自の携帯端末と部屋の端末から通知が来た。
何かの警報のような音に碧は身構えた。
「なんですかこのサイレンのような音。」
「これは仕事の合図だ。携帯端末を見てみろ。」
「碧ちゃん身構えちゃって可愛いねー。」
「からかわないでください星谷さん。」
そういった後、各々が携帯端末に顔を向けた。
そこに記載してあったのは二人の顔写真だった。他に記載されてある文章から二人のうち片方は殺人を犯し、もう片方がその被害者であった。そして殺害現場、殺害時刻、殺害方法が画像と共に送られてくる。
一通り目を通し終わる前に萩原が口を割った。
「これから現場に向かう。現場には俺と登坂さん、そして桐生が行く。神崎と星谷は待機だ。」
「え~、碧ちゃんと一緒じゃないのか~。」
「碧ちゃん、頑張ってね。」
星谷と神崎を残し三人は部屋を出て行った。
現場に着き車から降りた碧は萩原から遺体の元へ案内された。萩原が遺体近くの男性に名札を見せると男性は会釈し、遺体にかかっているシートをどけた。
「ウッ・・・」
そこには携帯端末に送られていた女性が裸でうつ伏せになっていた。首から下にかけて無数の痣があり、一目で被害者の苦痛が伝わる。
「暴行殺人とは知っていたがここまでとはな。」
遠坂が碧を支えながら口にした。そして萩原が端末を見ながら碧と遠坂に向かい
「アークと現場検証によると容疑者は25歳の男性、被害者とは2時間前にこの目の前のホテルにチェックインしている。殺害方法は睡眠薬を飲ませ暴行、被害者が暴行を受けている間に目が覚め、逃げだそうとしたが追いかけられ、この場で再度暴行を受け死亡。男性は現在も逃走中。」
言い終えた萩原は端末から碧に視線を向け
「これから逃走中の容疑者を追う。これが君の初仕事だ。」
そう言って萩原は碧に金属で出来た塊を渡した。