2話
俺はケイン・カーラー、自由騎士団所属の騎士だ。
今日の仕事は入団試験の試験官、3人の相手をしなければならない。
女が2人、男が1人。
合格したらこの3人でチームができるのだろう。
一人目の女は魔術師だった。
魔術師はオーダーの特権を自身の探究に用いるために入団を希望することが多い。
その魔術師の神技はなかなか悪辣だった。
前半は相手の土俵の間合いで相手をしてやり、後半は魔術師の弱点を突いて倒した。
二人目の女は剣士であった。
やけに殺気立っている女だ。
細身の長剣を年齢の割に巧みに操っている。
神技もよく考えている。
剣の種類は異なるが同じ剣士だ、力量は計りやすかった。
3人目の男はよくわからねぇ。
ショートソードの振り方は素人当然だが、腕力は強い。
かと言って筋肉質ではない。
魔術が使えるようだから強化魔法か?
そして神技を使ってこないことが気になる。
まさか持っていないのか?
神技を持っていない。
それはつまり必殺技を持っていないということだ。
戦闘職につく市民は10代半ばにはすでに身につけている者がほとんどだ。
神技を使わずに生きていたということは、戦いから離れた生活をしていたのだろうか。
もちろん攻撃系だけではないが、攻撃系以外の系統の神技は稀だ。
成人するまで神技を身につけていないものはさらに稀だ。
そこまで熟慮を重ねて技を身につけるということは、争いと関わらない庶民、あるいは武家や貴族の出である可能性がある。
本当に神技を持っていないのか。
試してみるか?
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