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メイド喫茶の一流シェフ  作者: 月夜ノ歌
9/9

一流は、一流に着られる。


『宇宙は今も拡大している、それは料理の可能性と比例する。』


                            宗像清之助





眼を覚まし、オレンジ色の光が窓から入っている事に気付く


朝焼けだろうか…

そんな早く起きるつもりはなかったんだけどな



「へ…?」



時計を見て気付く、これは夕焼けだ



 ◇ 潰れかけのメイド喫茶 マネージャー兼雑用 冬美 起床



『時はここから、3時間程 巻き戻る。』





「こはるじゃん、今日はバイトじゃなかったけ?」



ぐ…、なんてこった

クラスメイト

しかも、一番つるんでると言っていい こいつらに見られるなんて…



こはちー!いえーい!


サツキが抱きついてくる

こいつはベタベタしたスキンシップ全開なタイプ

おっとりテンション高め


「ちょうど暇しててさー、小春は…」


こいつは如月

ガチのサバサバ系、冷静沈着

クールでカジュアルオシャレ

地味にモテ、地味に勉強もでき、地味に運動神経もよく、地味に要領が良い


テストの点に関係なく、いわゆる頭が本当に良いタイプ

人間として憧れる部分が全て詰まった 地味に完璧人間だ。


完璧などという人間はこの世にいないと言われるが

いたとしたら、こいつの事を言うのだろう


これだけ良い女、スーパーハイスペック人間に関わらず

私みたいな中途半端ギャルとも仲良く出来る


故に完璧人間なのだ



ん?サツキの説明と比べてあまりにも差があるような?


まあ、サツキは私と同じくアホだが良い奴だ

付き合っていけば友人紹介を作文原稿用紙5枚分ぐらいで提出出来る程になるだろう



…‥‥あのフランス野郎のせいで

私まで長文語り思考になっている気がする



とにかく、2人は私の仲良しグループ

私がメイド喫茶でバイトしている事は秘密

サツキがバスト90越えのムチムチボディだという事は


バッチリ伝えられたと思う。



「ん?あの人…」


やばい、フランス野郎兼シェフに気付かれた

面倒な事になる…


「ああ、小春さんの御学友ですか はじめまして…」


「ごがくゆー??」


サツキの頭に疑問符が浮いている

いちいちサツキの国語力にツッコミを入れていたら会話が進まない事は

私のクラスではあまりにも有名だ


「こはるの、彼氏さんですか?」


「え~~~~~!!こはっちズルイ~~~!ひどいよ!恋人なんていないって言ってたのに~~!!


まずは、こうなる

面倒だが 仕方がない事なのかもしれない

私だって、こいつらの立場なら 1年はこのネタでいじる


「ちがうわ、バイト先の~~~~~…上司的な??」


嘘は言っていない

そもそも説明も難しい

いや、簡単だろうが 私の職場を隠す必要がある


「上司というよりは、彼女が行っているメイ…」


ぐふっ!


彼女の肘が私の”みぞおち”を的確に捉えた

これが格闘漫画であったなら、私は呼吸困難になり アゴが下がり、ガードが緩んだ事であろう

私が三戦サンチンを習得していなければ危なかった…


「めい~~~~??」


「ゴホゴホ!!!ゴホッ!!!!!」


肘が思った以上に深く入ってしまった

そこには、今日1日だけでも積もり積もった不満もあったのかもしれない



「ねえ、こはる ちょっと…」


如月が私にぐいっと近づき耳打ちをしてきた

物凄くいい匂いが微かに くどくなく漂ってきた

クラスの男子連中がこれをされたらイチコロだろう


コソコソ「あの人、何者? 着てる服 私もそこまで詳しくないけど フランス本場の有名ブランドだよ? 確か、上下で50万以上する…」


「…マジ!?」


こいつ、そんな高級ファッションで来てたのかよ‥‥

私の事なんて気にしてないと思ったけど

意外と気合入れてたってこと…?



■ 説明しよう!聞いて頂きたい!!


今日はショッピングという事でフランスで購入した、自慢の一張羅を着てきた訳だが

購入した時に目玉が飛び出た事は良い思い出である。


飛び出た目玉を洗う間もなく、遠征費と給料が吹っ飛んだ訳だが

何の知識もなく、オシャレそうだな~

と、何気なく入った店で店員にお任せしたのがいけなかった


そこは間違いなく一流のブランド店だったのだ

が、私はファッションについては5流以下だった


フランス語も満足に話せず

断る勇気もなかった

怖い黒服のおじさんにボコボコにされるのが怖かった

そんな人たちはいなかったが


フランスでは買って箱に入った状態で寝かせていた

思い出したくないし、箱すら開けるの怖いし、汚したくないし、着るのも怖いし



日本に帰って、気持ちが切り替わったのか

着ないままならもったいないだけだと

今日、着て来た訳だ


着てみると何の事はなかった

服は服だ


着た当初は身が引き締まる思いと、気分の高揚があったが

メイド衣装と食事の事を考えている内に、もはや忘れていた。


むしろこの服が不憫だ、私になんか着られて

いや、明らかに私が着られている。



おそらく、街ゆくファンションに詳しいビトの人達なら

「なかなかやるな…」

となる、一品なのだろう

自分は堂々として、虚勢を張り続けるしかない



「それより、えみたそ~もうお腹減ったよ~ 早くどっか入ろう~」


「あんたが金欠だから、どうしようって話になってたんじゃん ったく…」



ん?

さらに面倒になりそうなワードが…




続く。

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