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メイド喫茶の一流シェフ  作者: 月夜ノ歌
4/9

一流は、メイド服を選ぶ


   『 客にドレスコードを守らせるなら、店のドレスコードは最上位でなくてはならない。』


                 

                  宗像清之助 著 【宇宙は私の厨房にある。】より抜粋






「な、なんだよコレ・・・?」



この、不思議の国のメイド喫茶を少しでもマシにしようと、僕とマネージャー(仮)で

買い出しが行われた。


費用はなんと、僕のフランス時代に稼いだ貯金が元手となっている


回収する事は出来るのか、それすらギャンブルのような状況だが、僕は涙を飲んだ



そんな中、都内のコスプレ服専門店にて まずは最も重要な制服


”メイド服”を選んで来たという訳である。


ウチの、大型格安バンバン売ります宣言店に置いてあるような

1000円するかしないかの、賑やかしファッションメイド服では話にならない


店員さんと、我らがマネージャー 女性二人によるセンスも加わり、今のトレンドメイド服を選んで来たのだ。


「こんなん!着れるかッ!!!!!」


が、それは無情にも 黒ギャルファッションメイドの小春氏によって 床へと叩き付けられた


「胸元全開じゃねーか!ピッチピチだし、背中もねえ!、オマケにスカートも短い!!」



「そう!そこがいいんだ!!生地が少ない分 お手頃なんだが セクシーで魅力的!!」



実際に、店員さんはコレを採用してるお店がどんどん増えていると仰っていた!



「どんなスケベ店だ!そりゃ!!! うちは、そういう夜の店じゃねーだろッッ!!!?」



うーん、思ったより拒否反応が出てしまった


しかも、制服をよく見てみると 確かに、そういう”いかがわしさ”を感じてくる


「フランスの店でも、かなり個性的なドレスの客を見てきて、感覚がマヒしていたか…」



しかし、おかしい 私が というより 店員さんとマネージャー2人の女性がキャッキャと

嬉しそうに盛り上がって選んだドスケベメイド服だったはずだが…


「可愛いと思ったんだけどな…」


マネージャーはガッカリとした様子で、その淫乱メイド服を拾い上げ意気消沈としている


「だったら、冬美さんが着ればいいんじゃん ソレ」


「むっ!!!!無理無理無理無理! コハルちゃんだから、似合うと思ったんだよ~!!」



そのハレンチメイド服を”似合う”と表現するのはどうなんだろ?と思いつつ

マネージャーが着たところを想像した


…うん、悪くない 胸元が物凄くキツそうだが

マネージャー目当てで来るお客様も沢山現れる事だろう



「メイド長である、彼女が着ないと言うなら仕方ありません 次は実際に彼女にも同行して貰って選んでもらいましょう」



これ以上の強要は、セクハラとパワハラの両面が成立する恐れがある


彼女がSNSに投稿すれば、たちまち面倒な…ゴホン

女性の権利に敏感な方々から、罵詈雑言で批判される事であろう


「あっ!スミマセン!!こんな時間! 私 行くところがあって!!」


マネージャーは時計を見ると、慌ただしく店を出て行った


店内には、僕とツンツンギャルメイドの小春さん、そしてセクハラメイド服の

3人がポツンと残された



「そういえば、不払い分の給料の事だけど 本当に貰わなくていいのかい?」


聞けば、彼女の給料は2か月分不払い状態らしい


それは いけないと僕のポケットマネーからの支払いを提案したが

彼女は拒否した


「金は欲しいが、お前からの施しなんて嫌だね それじゃあ、今みたいに強く反対出来なくなる」



彼女のプライドという訳だ


実際に、他のメイドさん達は不払いや待遇の問題で すぐ辞めたらしい

当たり前の話だ、訴えられてもおかしくない


しかし、コハルさんは残り この店を あの下手くそなケチャップ捌きで守ってくれていたのだ


「ドジで使えないとこだらけだけど、冬っちは頑張ってるからな…」


彼女の、悲しそうな呟きから なんだか泣きそうになってきた


だれだ、あのハレンチメイド服を着させようとしていた奴は!


お前もそう思うだろ、なぁハレンチ


際どいメイド服「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




家に帰る、今日は慣れない買い物で歩き回り疲れた


「おかえりー もう晩御飯出来てるよー」


「ありがとう、助かるよ」


「今のリュウくんの前で料理なんて緊張するけど、腕によりをかけて作ったから☆」


ちなみに、母は料理がそんなに上手い訳でもないし 下手でもない


ごくごく一般家庭と同じレベルであろう


それでも、幼少期から私を育ててくれた ”おふくろの味”である


私は母の料理が好きだった。



「あら、リュウちゃん 何これ?」


母が、今日話題となった、ドスケベハレンチメイド服が入った袋を持ち上げた


「ああ、例の就職先で制服になるかもしれなかったサンプルだよ」


「まぁ、リュウちゃんがコレを着るの!?」


いや、なんでよ、母はメイド喫茶で働くと聞いて 僕がメイド服を着ると想像していたのか?

そういう店も今や あるかもなのだろうが


「着ないなら、貰っていい? お父さんに見せたら喜びそう☆」



(ん…?)


そう言って、私の母親は自分の部屋へ行ってしまった…嬉しそうに


(ん?)



とりあえず、あのメイド服も無駄には ならずに済んだ そういう事であろう。




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