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桜の振り袖  作者: 白百合三咲
5/5

最終回 再会

白い肌、赤い唇、それから


わたくしは肝心なことを見落としていました。

目、雪子の目の色は青く15年前に出会ったフィリップ王子と同じ色でした。


「さくら」

わたくしは思わず娘の名前を呼びました。

「お母様私は雪子では」

「いいえ、貴女がわたくしの娘さくらよ。」

わたくしと雪子、いえさくらは手を取り合いその場で抱き合いました。





 あれから1年が経ちました。

「お母様、おはようございます。」

「おはよう。さくら、貴女またその振り袖着ているのね。」

今日のさくらはわたくしが修道院に置いた淡い青地に桜が枝に咲いている振り袖を着ています。どうやらお気に入りのようです。

さくらは今では日本の生活に馴れよく笑うようになりました。

「だってこの振り袖はお母様と私を引き合わせてくれた大切な振り袖ですもの。青い空に桜の花が咲いているみたいで好きなんです。

それに今日は花代お姉様の婚約者のご家族と会う大切な日じゃない。」



 花代お姉様とはわたくしが桃子と呼んだもう1人のリボンの少女のことです。彼女は元は神戸の劇団の大部屋女優で年も本当は17才だそうです。たまたま地元の新聞記事と一緒に掲載されていたさくらが振り袖で船を降りた姿とわたくしが書いた手紙の写真を目にして振り袖と手紙を劇団の小道具係に作らせてさくらの名を騙ったようです。

 わたくしはすっかり彼女の演技に騙されました。

花代はなぜそんなことをしたかと言うと彼女は孤児で母親と再会するさくらを羨ましく思ったからだそうです。

わたくしはさくらだけでなく花代も宮家に受け入れることにしました。わたくしの娘として。


花代は舞踏会で出会ったイギリスの外交官のジャンさんと恋に落ち婚約しました。今日はその挨拶の日です。先方の両親もいらっしゃることで両家の顔合わせを帝国ホテルですることになりました。彼女は先に夫とホテルに向かっております。

「奥様」

執事がわたくしの元へやってきました。

「お車の準備が整いました。」

「ありがとう。今行くわ。」

「お母様参りましょう。」

わたくしはさくらに手をひかれ屋敷を出ました。

外の庭には満開の桜が咲いていました。


                  FIN

2作目書き終りました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 華やかな世界観が素敵でした! [一言] ニ作品とも読ませていただきました。 どちらも耽美という言葉がぴったりな素敵な作品でした!
[良い点] ファンタジー小説で『二人とも本物』という妄想をしていますが違ってました。 ちなみにもう一つの方の話は百合小説だったので、古典の先生だと思ってました。
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