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漫才「完璧な漫才」

作者: こやけ
掲載日:2022/03/24

A「はいどーも」


B「見せてあげるよ。完璧な漫才ってやつを」


A「うわ。いきなりなんなの」


B「ついにできたんです。完璧な漫才のネタが」


A「それは何よりなんだけど、俺は何も聞かされてないよ」


B「今さっき思いついたからね」


A「じゃあお客さんには見せられないよね。まったくネタ合わせしてないんだから」


B「大丈夫」


A「何を持ってして大丈夫なのよ」


B「やるのは僕らじゃないから」


A「マジかよ。じゃあ誰がやるの?」


B「概念(がいねん)


A「え?」


B「概念」


A「ごめん。もう一度いい?」


B「だから、概念」


A「あの概念?」


B「多分その概念」


A「大至急説明してくんない?」


B「五七五でいい?」


A「まあ、それで説明できるならば」


B「流石にそれは無理だよ」


A「じゃあ五七五とか言わないでもらえる?」


B「つい」


A「ついじゃなくて。普通に説明してよ」


B「分かった。Aみたいな髪型の人間にも分かるように説明するね」


A「髪型で何が分かるって言うんだ」


B「全て分かるよ」


A「マジで?」


B「昨日の夜ご飯はカレーだったでしょ?」


A「いいや。焼肉だったけど」


B「ね?」


A「ね?だと」


B「星座はしし座でしょ?」


A「いや、いて座」


B「A型?」


A「O型」


B「右利き?」


A「左利き」


B「ね?」


A「ね?じゃないよ。全部外してんじゃん。血液型からは明らかに当てにいって外してるからね」


B「A、カツラじゃないよね?」


A「俺の頭髪を疑う前におのれの能力を疑え。ていうか、俺のこと何も知らねえのな」


B「まあ髪型なんかどうでもいいじゃん」


A「お前が言い出したんだけどね」


B「で、何だっけ?重力の正体についてだっけ?」


A「あ、そんなアカデミックなテーマで漫才してないから。概念による完璧な漫才についてだよ」


B「ああ、そうだったね」


A「まあ、それはそれでアカデミックな雰囲気あるけども」


B「お、こうなったらアカデミック-1グランプリに出場しちゃう?」


A「うるせえ。ないよそんなの。いいから説明してくんない?」


B「分かったよ。えーと、そもそも笑いのツボなんて人それぞれ違うでしょ?」


A「まあ、それは確かにそうかも」


B「だから、まあ、そういうことだよ」


A「どういうことだよ」


B「まだ分かんないの?」


A「1ミリも分かんないね」


B「やれやれ」


A「え?俺が悪いの?」


B「Aが悪いわけではないよ。悪いのは、ここにいるお客さんたちだよ」


A「なんでだよ。お客さんは関係ないでしょ」


B「お客さんがAを甘やかすからですよ」


A「甘やかされたという覚えはないんだけど」


B「だいたいの末っ子はそう言うんだよ」


A「いや長男なんだけど。さっきから俺のパーソナルな情報、全部外すじゃん」


B「じゃあ、もっと噛み砕いて説明するよ」


A「うん、頼む」


B「人それぞれツボが違うわけだから、要するに、完璧な漫才を目指すなら、1人ひとりに合わせたネタが必要になると思うんだ」


A「なるほどね」


B「もっと言えば、自分が面白いことは自分がいちばん分かってるもんだよね」


A「まあ、そうなのかなぁ」


B「だから、漫才という概念だけを舞台上に置いて」


A「ん?」


B「お客さんにはそれぞれ好きな漫才を想像してもらって、各々がそれを舞台上に勝手に投影するの」


A「んー?」


B「これこそが完璧な漫才」


A「あらまあ、だよ」


B「もちろんリアリティを出すために出囃子はちゃんとかけるよ」


A「何がもちろんなのか」


B「そうじゃないと漫才じゃないからね」


A「もう充分漫才じゃねえよ」


B「心外だな」


A「いやもう、解散したいんだけど」


B「なんでよ」


A「えーと、めちゃくちゃオブラートに包んで言うなら、方向性の違いかな」


B「そんなざっくり」


A「いったん。いったん解散させて。また大丈夫になったら組み直そう。マジでマジで」


B「いやそんな怯えないでよ。目覚めなさい」


A「あ、もう本格的にそういう人にしか見えない」


B「まあ安心して。嘘だから」


A「嘘?」


B「うん」


A「どこが?」


B「髪型で全て分かるっていう」


A「そこかい。え、完璧な漫才がうんぬんっていうのは?」


B「あ、それは本心」


A「やっぱ解散しまーす」

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