間章 オリハルコンの秘密……③
今日こそ……今日こそ休もうと思っていたんですが……(─.─||)
とうとう本作の総合PVが200万を突破していました!!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
これわ……やはり読者の皆様にお礼をせねばと思い……今日もやります二話同時更新!!
是非……お楽しみ下さいm(_ _)m
「バカヤロウ!! 最初から説明しとけよ!!!」
俺は目の前で真っ二つになった岩を見て慎太郎に怒鳴ってしまった。慎太郎は興奮冷めやらぬ様子で更に言葉を続け、
「清太郎、デュランダルの柄を見てみてくれ。聖遺物のレプリカはどうなってる?」
俺はまだ右手に握ったままになっていたデュランダルの柄を覗き込んだ。さっきまで鈍く光っていた聖遺物は、既にその光を無くして元の状態に戻っていた。
「……元の状態に戻ってる。ってことは……あれは電力のチャージランプってことか?」
「そういう機能もあるだろうが……今の実験からすると俺は単純にその聖遺物のレプリカ自体がバッテリーなんだと思う」
つまり……このデュランダルは、剣自体に『聖剣スキル』を放つ為のエネルギーを、四回分チャージ出来るって事か……
「……ねぇ、ソレが電池で動いてるとして……さっき言ってた“超音波振動剣”って何なの?」
千歳から根本的な疑問が飛び出した。俺だってフィクションの中では見かけるけどよ……
「フィクションじゃよく見る武器なんだけどな。他にも“高周波ブレード”とか呼び名は幾つかあるが……簡単に言うと“刃物を超音波で高速振動させて切ってる”んだよ。一秒間に数万回も“刃を押し引き”してるようなもんだと思えばいい」
千歳は一瞬黙り込んで想像したのだろう……少し青くなって……
「それって……ただでさえ硬いオリハルコンの刃先でって事よね?」
説明を聞いて青褪める千歳……そりゃビビるわ。
「俺達の世界にだってこれと同じ原理の物は既にあるんだぜ。クリスタルを圧電素子にして超音波を発生させるなんて結構古くからある技術だしな。ただ……こんな重量と大きさの刃物を超振動させて、あまつさえ柄ではその振動を相殺させたりとか……はっきりいって完全なオーバーテクノロジーだ」
(こんな些細な疑問から、誰も気付かなかった真実に辿り着くなんて……こいつやっぱりすげーわ)
俺は慎太郎が喋りまくる姿を見ながら、改めて凄い男がサブリーダーを務めてくれている事に感謝した……だが、
「これは……殆ど俺の妄想だけど、デュランダルや、あのゴーレムを見て思ったんだ……多分オリハルコンの一番の特性ってのは“硬い”事じゃなくて……色々な金属と合金化することで様々な特性を発揮するって事なんじゃないかと……」
ほら見ろ。誰かが止めねぇと……慎太郎の考察と妄想が、そのままの勢いで暴走を始めようとする。で、それを遮る様に隆太が新たな疑問を口にした。……ナイスだ隆太。
「だけどよ……たしか小佐野さんは一度、富士でそのスキルを発動させてんだよな? なんでその時に『聖剣スキル』の正体に気付かなかったんだ?」
「これは……完全に想像だけど、鵺と呼ばれてるキメラが電撃を使ってたんじゃないかと思うんだ。なにしろ伝説じゃ稲妻を纏って現れる“雷獣”って設定だし……たぶん攻撃の直前に電撃を受けて、デュランダルにチャージされたエネルギーを間髪入れずに使っちまった……ってのが真相なんじゃないかな」
流石にそこは想像するしかないが……小佐野さんがその後『聖剣デュランダル』を装備しなくなったのを見れば、なんとなくだが“発動は偶然だった”ってのも納得がいく。
「それが偶然だったにしろ……俺達、実は結構ヤバい事実を知っちゃったんじゃねぇか?」
俺は『東京ソフトセイバーズ』のクランマスター“小佐野慶太”の顔を思い浮かべ、軽く身震いする。
“天魔スキル”に勝るとも劣らないスキル群の頂点“極聖スキル”……その中でも極めて強力な技術拡張型スキル【剣聖】を持ち、構成員9000人を誇る巨大クランを力で纏めあげた男……『強理主義者』……『酷薄の語源』……『青い血の新人類』……小佐野慶太を形容する言葉は枚挙にいとまがない。
そんな小佐野がのし上がるきっかけとなったのが……スペイン留学中に、後の神魔十大霊器の一つ『聖剣デュランダル』を獲得し、その功績を認められた事だった。そんな小佐野が……実は手にした聖剣を使いこなせていなかったなんて……
隆太の言葉に俺達が言葉を飲み込んで沈黙していた時……俺達にとって、今一番聞きたくない声が近くから響いた。
「お前達が、“デュランダル”を持ち出す様なバカな真似をするなんて……残念だよ清太郎」
「ハッ……身体能力を買われてスカウトされたからって探検者としてモノになるかどうかに関係無い……って典型だなお前等は。所詮スキルや装備に頼ってるからこんな無様を晒すんだよガキども」
俺達は突然の声に、咄嗟に身を寄せて警戒する。俺達四人にここまで気配を悟らせずに近づけるなんて……
「そんな所に隠れてないで出てきたらどうです? 恥ずかしがって出られない歳でもないでしょう?」
慎太郎が愛用のコンパウンドボウに矢をつがえて引き絞る。そして……慎太郎が矢を向けた方向……10M少し先の木立から二人の男女が現れた。
「慎太郎よ……相変わらずお前はキャンキャンとさえずってるな。なんでクランの先輩にそんなもん向けてやがる?」
「……清太郎。彼に武器を下ろす様に言いなさい。そもそも私達は争いに来たのではないのですから……」
俺は眼前にこの二人が現れた事で、改めて小佐野さんの本気を理解した。
「救援要請を撤回する連絡は……昨晩のうちに送らせてもらいましたよ。伽羅羽さん。クズ……九頭竜さん」
「おい……口のきき方に気をつけろ。なんならお前等全員行方不明だって報告してもいいんだぜ……おっと千歳……お前だけは助けてやってもいいがな」
「おととい帰りやがれ!!」
こんなに堂々とセクハラをかます様な最低な男が、セイバーズθのリーダーとは……
「……口を慎みなさい九頭竜。清太郎、我々は救援に来たのではありません。それは分かっているのでしょう? さあ、デュランダルをこちらに渡し、我々に同行して貰います」
そう言って一歩踏み出した途端……伽羅羽から溢れる威圧感……マスターを除くクラン9000人の頂点は伊達ではない……俺は右手のデュランダルをちらりと見て、
「伽羅羽さん。デュランダルは還す……それから……俺はセイバーズを脱退する。書類が必要なら後日郵送するよ。マスターにはそう伝えておいてくれ」
「おっと……お前一人で行かせると思うか? 俺達は全員清太郎と一緒に抜けるぜ。異議のある奴はいるか?」
「「異議なし!!」」
俺の脱退宣言に続き……隆太がタンカを切ると、全員がそれに乗ってしまった。まったく……バカヤロー共め……俺は一歩前に出てパーティー全員の前に立つ。前衛はこのパーティでの俺のポジションだからな!
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蛇足ですが……どうも後書きには、作者の他の作品を宣伝してもいいみたいなので、お目汚しですが乗せておきます! お時間あれば是非……m(_ _)m
トランスファー “空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか?”
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マシニングオラクル “AIが神を『学習』した世界”
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