エピローグ “タワーを取り巻くetc”……①
いつも読んでくださっている皆様、本当にありがとうございますm(_ _)m
やっと第一章のエピローグに到達した本作ですが、クライマックスであるドラゴン戦の後も、ローファンタジーランキング日間3位、週間3位、月間2位と高い順位を保っておりますm(_ _)m
しかも現時点で総合PVが179万アクセス?!?
第二章に続くエピローグの間もどうぞヨロシクお願いたしますm(_ _)m
【佐渡ヶ島タワー攻略 三日後】
佐渡ヶ島タワーを攻略して三日……俺は未だ佐渡ヶ島に滞在していた。
あの時……俺が唯一残ったドアノブを手から取り落とした瞬間のあの静寂……
「いっそ殺してくれ………」
俺はベッドの上で何回目かも分からない身悶えをした……
「いい大人があのくらいで何言ってるんすか……」
そう言って病室に入って来たのは莉子ちゃんだった。後ろには環奈も居て俺の嘆きを苦笑いして見ている。莉子ちゃんは今回のタワーアタックで最も重傷を負ったのだが……最上層で使ったエリクシルは、あのポンコツマスターが精製したとは思えない程の効果を発揮し……この10年、タワーからの急患を捌き続けてきた医師に『完全無欠の健康体』と太鼓判を押された。
逆に俺は……塔の一階層で移動の足を失った怒り……もといショックで、ちょっとばかり下品な雄叫びをあげた直後から記憶がない。
後で聞いた所によると……叫んだ直後、突然スイッチが切れたおもちゃの様に、その場に崩れ落ちてしまったらしい。
慌てた涼子と環奈は即座に救急車を要請し、堂島さんと、ちょうどその場に現れた金子マネージャーの計らいで、俺達は全員救急車に押し込まれ、島の総合病院に直行したそうだ。金子さんいわく……
「こちらの事は心配無用です。滝沢さん方の荷物及びドラゴンの素材はギルドで責任を持って保管しておきます。先ずはしっかり身体を休めて下さい」
との事らしい。そのまま救急外来に担ぎ込まれた俺は、外傷こそ無いものの全身が遍く極度の疲労に襲われて、本当に“虫の息”の見本状態だったらしい。
『身体への負担の大きさは事前に説明していた筈ですが?』
とは、直後意識を取り戻した俺へのPDの弁である……
「まあ、大分回復したみたいで安心したっすよ!」
と言って莉子ちゃんは笑うが……本当はそれ俺のセリフだからな。
「……まあいいよ。それより俺達のHPの状況は?」
あの時に発表したホームページの状況が気になって確認する。
「それがっすね……」
そう言って、持っていたバッグからタブレット端末を取り出し、電源を入れて見せてくれた画面には……
「何だこりゃ? 500インターナルサーバーエラー?」
莉子ちゃんが見せてくれたタブレットに映し出されていたのは、真っ青に染まった画面にページが見れないという表示だった。
「兄さんが大丈夫だと分かってからお爺ちゃんに連絡したら……どうも世界中から凄まじい数のアクセスがページへ集中してるらしくて……この三日間殆ど表示出来てないみたいっす。あっ……でもお爺ちゃんが『現場を離れて久しいが……諜報戦は腕がなるわい。若には心配無用と伝えよ。既に伝手のあるシステムでマルチノードを組む算段はついとります!』って言ってたっすよ……」
そう言って溜息をつく莉子ちゃん。俺が言うのもなんだが、あの爺さん何者なんだ?? 俺達が利平爺さんの事で頭を悩ませているその隣では、環奈が見舞いに持って来てくれたリンゴをペティナイフで器用に剥きつつ……
「実は……今朝京子ちゃんが家に来て教えてくれたんですけど、“佐渡ヶ島ギルド支部”も“佐渡ヶ島タワー”の現地も大変な事になっているみたいで………」
京子からの情報によると、俺達がタワーを攻略した直後、一階層の壁面に、
[『タワー閉鎖まであと九階層』……このタワーはエネルギーリソースの収集が中断されました。現存するタワー内のモンスターが討伐されるに従って、エネルギーリソースが開放され上階より順次閉鎖されます。長年のご愛顧ありがとうございました。]
という、ふざけた表示が現れたらしい。
「現状では何時“タワー”が完全に閉鎖されるかは分かりませんけど……一階層に投映された映像が、そこに居たエクスプローラー達に撮影されてユー○ューブにアップされたらしくて……」
「……なんだって?」
俺は環奈のセリフに言葉を失う……
「私は結局最後までガスマスクをしてましたけど……涼子さんや莉子ちゃん……あと滝沢さんもお顔がバッチリ……」
なんてこった………それで職場に無断欠勤の謝罪連絡をした時、様子がおかしかったのか。いつもなら確実にネチネチ嫌味を言う課長が、
「滝沢君は大事な身体だからね……無理をせずに療養するといい。長期療養になっても問題ないと市長も言ってるから……」
とか言ってたし……これは面倒な事になる予感しかないぞ。
「顔ばれなんかまだマシっすよ……わたしなんか先端こそ見えて無かったすけど、傷の治療シーンでオッパイが殆ど見えかけてたんすから……ネットでのお祭り騒ぎの内容聞きたいっすか?」
莉子ちゃんは……動画の内容を思い出したのか、真っ赤になってプルプルしている。
「それは……気の毒に……」
俺は何も言えずに固まってしまう。
「それもなんですけど……今度は佐渡ヶ島ギルドに滝沢さんは何者なのかって言うメディアの取材やら、ホームページに繋がらない他国のギルドから滝沢さんへのアポイントを依頼されたり……あと、京子ちゃんから《公益財団法人探検者協会》のトップ……財団理事長と統括支部長との面談を打診されてます」
環奈はとてもいいにくそうにそれだけ語るとフォークを添えたリンゴをくれた。俺は無言で皿を受け取り、
「マジかよ……これで後の事は世界中の探検者達が片付けてくれるもんだと思ってたのに……」
俺が皮算用していた中身をうっかり愚痴ってしまったその時……換気の為に開いていた病室の入口に、スキニージーンズにシングルライダースを羽織った女性が現れた。
「そんな妄想は……流石に虫が良すぎるじゃないかしら?」
「鼎さん……」
俺が思いっきり愚痴っている時に……まったくタイミング悪く涼子が姿を見せた。ちなみに俺が入院したあと……涼子も特に問題無かった為、そのまま抑えていたホテルに戻ったそうだ。しかも、俺の依頼通りにギルドの検閲前の動画をスタッフと共に急ピッチで編集しアップしてくれたらしい。
「……やあ、鼎さん……あの後、随分世話になったみたいだな。本当に恩に着るよ」
俺は愚痴ってたのを誤魔化す様に礼を言う。なんでも……俺をお姫様抱っこしてタワーの外まで連れ出し、救急車に乗せてくれたのは涼子らしいのだ。
「……プッ、ちょっとカッコつけるにしても今更じゃない? まあ、でもお礼を言われて嫌な気分でもないから許してあげるわ」
俺はますます困り……自分が仏頂面になっていくのが分かった。
「そんな仏頂面しないの。あなたって自分では無茶苦茶するくせに、周りの反応はお構い無しよね。まだ貴方くらいの歳の男って、普通はもう少し調子に乗ったりするのに」
そんな事を言われてもな……
「俺が長年やってきた努力の成果で“事を成した”んならいざ知らず……借り物の力で成功したくせにデカい面する訳にはなぁ……」
「ふうん……まぁ、あんまり難しく考えない事ね。どっちみちこれから物凄く面倒な事を考えないといけなくなるんだし……」
「これ以上何が……」
俺は訝しげに涼子の真意を問い質した。涼子はさっきまでとは明らかに違う厳しい表情で、
「どうも二人からは色々聞いてたみたいだけど……そっちはね、やっぱり世の中のダンジョン事情の表側なのよ。で、当然……表があれば裏もあるのが世の中の道理ってもので……」
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蛇足ですが……どうも後書きは作者の他の作品を宣伝してもいいみたいなのでお目汚しですが乗せておきます! お時間あれば是非……m(_ _)m
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