これの何処が“ドラゴン”なんだよ!?
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「兄さん……今更っすよ。みんなとっくにその気になってるんすから……ほら、さっさとゲートを作動させて下さいっす」
莉子ちゃんの言った事を肯定する様に……黙って頷く環奈と、笑いを堪えきれないで口元を抑える涼子。おいおい……そんなにおかしな事を言っちゃいないだろ……?
「滝沢君、私もそうだけど……みんな貴方が決して無理をしない人だって、もう分かってるのよ。それに……これは多分、貴方を知った人達全てがそうなんだけど……」
そうか……俺が無理を通す人間じゃないと分かってくれたのは嬉しいが……だけど?
「貴方を見てるとね……なんかこう……ワクワクするのよ! こんな言い方はどうかと思うんだけど……貴方といると常識が変わると言うか……いや違うわね、貴方は一緒に居るだけで、今まで知ってた事に“別の形が在る”って気付かせてくれるのよ」
涼子の言い分に、今度は莉子ちゃんが凄く納得したように頷いている。それにしても……ワクワクか……周りから見たら俺はどんな人間なんだろうか?
「こんな言い方しか出来なくてごめんなさい。ただ、貴方は間違いなく稀有な人だと思う。それは単に能力が高いとか、人柄が素晴らしいとかでは無いのよ。でも……ソレは周りの人間を、凄く心地良くさせるか……たまらなく不安にさせるの」
「なんだかそのタキザワってヤツは……俺と同名で随分とだいそれたヤツみたいだな……」
俺は涼子の言った事に、素直に頷く事が出来ずについ皮肉を言ってしまった。こんな子供っぽい奴の……いったい何処がすごいのかね。俺はそれ以上なんとも言えず黙ってしまう。すると今度は莉子ちゃんが涼子に、
「涼子さん、無駄無駄ムダムダっすヨ。兄さんホントに自分の事は、まぁっっったく分かって無いんすから……わたしが何回兄さんの無自覚に打ちのめされて来た事か……」
「莉子ちゃん……苦労してるのね……今度お姉さんがストレス解消に付き合ってあげる」
「わっ……私も、滝沢さんはもう少しこう、なんと言いますか……とにかく私も絶対ついて行きますから!!」
「環奈ちゃんもストレス解消が必要そうね……みんなで買い物でも行こうか?」
「……お願いします……ずーーーっとスキルを発動してるのってホント大変なんですよ……それなのに誰かさんと来たら……」
「ええ、滝沢君がこの探検が済んだら凄いボーナスを用意するって言ってたから」
女性陣の言い分に何も言えず押し黙っていた俺は、これ以上黙って居るとヤバいと感じて、慌てて三人の会話に介入する。
「ゴホン……ありがとうみんな。とりあえず無理はしないと約束する。みんなの覚悟が決まってるなら車に乗ってくれ、一応、鼎さんも転送が済むまでは車の方に。バイクも転送範囲内だし、万一の事を考えれば多少防御力のある車内の方が安心だからな」
俺は全員が乗ってから、車を運転席から直接石碑に接触出来る様に移動した。石碑は運転席よりかなり低かったが、ドアを開ければ問題なく接触出来る。
「やるぞ」
俺は、運転席から手を伸ばし手形に触れる。些か間抜けな姿だが、なにしろ俺は“無理をしない男”だからな。俺が石碑に手を触れると……広場の外側にあった景色が一変した。
「……なんともらしいじゃねぇか……」
十階層に立った最初の感想は……今迄ついぞ感じられなかった“ダンジョンらしさ”だ。
広場の周囲を境界とした外の景色は、TVのチャンネルを変えた様に一瞬で変わった。そこには円形の広場に被せる形で石積みのドームが現れ、俺達の上から今迄にないプレッシャーを掛けて来る。
俺はいったん車を降りて周囲を確認する。ドームの石積みは、理屈は分からないが薄く光る岩がランダムに配置され周囲の視界を確保する程度には明るさを保っていた。ドームの周囲には、小窓程度の四角い穴が無数に開いているが、人の通れる大きさでは無く外の景色もまったく見えない暗闇だ。
そして、俺は最後に……入った時から一番目立っていた眼前の扉の前に立つ。
眼前に聳える扉……見た目の構造からスライド式の合わせ扉だと覚しきそれは、大きさがゆうに一辺10Mを超える巨大な物で……扉の表面を良く見ると、そこには無数のモンスターの姿が彫刻されていた。
「滝沢さん……これって?」
「ああ、この中心部に刻まれてるのはそれぞれのフロアのボスだろう。オリハルコンゴーレムもそこに居るしな……」
その中でも中心部に大きく刻まれた九体のモンスター……そのど真ん中に刻まれたヤツの隣には、昨日俺達が破壊したオリハルコンゴーレムらしい姿が刻印されていた。
「まったく盛り上げてくれるぜ。これを見る限り、このど真ん中に居るコイツが……この奥に居るドラゴンなんだろうな」
俺達は扉に刻まれた一番大きなレリーフを見上げる。そこには……
「兄さん……これ、ドラゴンって言うより……」
「ああ……多分タワーってのは、地球の歴史やら文化やらの情報から、適度に情報を抽出して“モンスター”を作ってんだと思うが……この“佐渡ヶ島タワー”ってのはどうもズレてるというか……俺が言うのもなんだが……これの何処が“ドラゴン”なんだよ!!」
俺はつい最後に悪態をついてしまった。何故ならそこ刻まれていたのは……
「これ……どう見ても恐竜よね……多分ティラノサウルスかしら?」
レリーフを見た涼子が確認する様に呟いた。
――――――――――
俺達は巨大なレリーフに刻まれた恐竜……そもそもさほど詳しくも無いが、少なくともソレに近い形の恐竜は子供の頃から無数に目にしている。さもありなん……コイツは恐竜界(?)では知らぬ者無しの超有名竜(??)ティラノサウルス・レックスにそっくりだった。
「これって……滝沢さん、流石にこの子をドラゴンと言い張るのは無理があるんじゃないですかね?」
「……俺の掴んだ情報じゃあ、十階層のボスはドラゴンって話だったんだ。いや、俺も納得はしてないけどよ……」
俺がPDから得ていた情報は、フロアボスの大まかなテキストデータだけだったので、眼前の扉から知れる事実に少なからず動揺していた。だが、
「いや……ドラゴンにしろ恐竜にしろ……見たとこでかい爬虫類ってのは間違いねぇな」
「そんな適当な……」
「みんな! ちょっとこっちに来て!!」
俺の呟きに環奈が呆れていた時、扉の周りを見ていた涼子が扉の端に当たる部分で、何かを見つけたらしく俺達を呼んでいる。
そこにはこの部屋に来る時に使った石碑と同様の石碑があった。同じくらいの大きさの石碑には、九階層出口と同様に紋様と手形が刻まれている。それを見た三人は、一様に俺を見て……
「いや……やるから……ちょっと待ってくれ」
俺は三人の無言のプレッシャーを受けて、懐からPDの端末を慌てて取り出した。即座に撮影モードにして石碑を解析すると、イヤホンにPDからの解説が聞こえてくる。
俺はそれを聞いて、みんなに内容を伝えた。
「みんな……コイツはどうも最後のエスケープゲートの作動キーみたいだ」
「それって?」
環奈がどういう事か分からず困惑している。
「つまり……この扉を見てボスにビビったヤツは、ここから逃げろ。但し二度とこのタワーには入れないって書いてるな。しかも……戦闘中でもこっちの部屋に戻って逃げられるみたいだ。ふん……バカにしてんぜ」
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