天魔スキル
タワーオブチューンをお読み下さっている皆様、何時もありがとうございますm(_ _)m
皆様のおかげで絶好調のタワーオブチューンですが、日間、週間に続いて月間ランキングでもベスト5にランクインしました✧\(>o<)ノ✧
しかも……ブックマークが5000件、総合評価ポイントも20000をオーバーしました!!
やはり月間ランキングともなればこういった継続した応援が不可欠かと思います!!
皆様の応援に作者も益々やる気が出ておりますので……何卒今後とも応援よろしくおねがいいたしますm(_ _)m
「なぁ、俺は気を失っていたから分かんねぇんだけど……俺達なんで助かったんだ?」
負傷者用のエアマットに胡座をかいてレーションを掻っ込んでいた俺は、ひと息ついた所でみんなの顔を見回す。俺の疑問にメンバー全員が表情を変えた。
コール○ン製のクライミングテントに吊るされた幾つかのLEDランタンは、充分な明るさを提供してくれていたから……見間違いって訳じゃ無さそうだ。俺が不思議そうしているのを見た慎太郎が、
「簡単に説明するなら……お前が俺達を庇って負傷した後、救援が間に合ってな……」
「そうなのか!? よくあのタイミングで……やっぱり俺達はツイてるな」
俺達は……オリハルコンゴーレムに勝てなかったが生きて戻ってこれた。なら経験を積んで何度でもアタックしてやればいい。一度や二度の負けで折れる程、俺達はヤワじゃない。だが……なんで皆、そんな暗い顔をしてるんだよ?
「……!! そうか、セイバーズの本隊……γかβの奴らが来たんだな? 奴ら俺達を追放するとでも言って来たのか? くそっ! それこそこっちから出て行ってやろうぜ!! あんな奴らの下に付かなくても俺達なら……」
「ちょっと落ち着け隆太!」
俺のセリフが終わる前に……慎太郎が掌を俺の顔の前に押し出し、更に吠えようとする俺を止める。俺は上位チームで威張りくさっている何人かのメンバーを思い浮かべ……奴らに頭を下げる位ならクランなんて何時でも抜けてやると覚悟したのだが……慎太郎は、
「お前の気持ちは分かってるが……良く考えてみろ。奴らが来るとしても、時間的に最低明日の夜だ。あのな……事態はお前が思ってるよりもう少し複雑なんだよ」
そこで初めて……俺達を救ってくれたのは俺が思っている奴らとは別人だと知った。ならいったい誰が……吉見さん達が無理して来てくれたのか? 俺が益々疑問を増していると、見かねた慎太郎が、
「俺達を助けに来てくれたのは、富士タワー所属A+級の鼎涼子さんが率いる……臨時パーティの人達だ」
慎太郎が何故か言いにくそうに俺達の恩人の事を教えてくれた。偶然……佐渡ヶ島タワーに調査に来ていた鼎さんに、撤退中の吉見さん達が救援を要請してくれたらしい。
「鼎涼子って言えば……富士の最前線を張るトップエクスプローラーじゃないか? そんな人が佐渡ヶ島に何の調査に?」
俺の新たな疑問に今度は清太郎が答える。
「彼女が何の目的で来ていたかは今も知らない……ただ、俺が先週ギルドから緊急会議に呼ばれたのを憶えているだろ? 俺はその時の議題が関係してると思ってる」
…………??
「それ……突然現れて“タワーを攻略した”って言い出した男の事か?」
俺達が九階層攻略に挑むきっかけになった会議の事を思い出す。確かにその話が無ければ俺達は、こんな無理をしてまでオリハルコンゴーレムに挑まなかったろうが……清太郎が苦い顔をしながら自分の考えを話し出した。
「隆太は見ていないから仕方ないが、慎太郎と千歳は俺と一緒に見たんだよ……オリハルコンゴーレムがたった一人の男に壊されるところをな。俺は多分……滝沢と名乗ったあの男が会議で議題になった人物だと思ってる」
――――――――――
俺は、隆太が気絶してからの事を一通り説明した。あれだけの耐久力を誇ったオリハルコンゴーレムが……そこらで売ってるハンマーの一振りで粉砕された事まで全部だ……
「お前等を疑う訳じゃないが……とても信じられねぇよ。清太郎のデュランダルや吉見さんのパイルフィストですら、傷を付けるのがやっとだったあのバケツ頭を……ただのハンマーでカチ割ったってのか?」
隆太の思いは分かる。俺だって自分の目で見た事じゃ無ければとても信じなかっただろう。それほどあの男のした事は信じ難い……
「いや、あれはオリハルコンを粉砕した事はそこまで不思議じゃ無いんだ。まぁ種明かしを見た後で言うのは卑怯だけどな」
俺の説明に残った疑問を慎太郎が引き継ぐ。確かに慎太郎は現場で見ていた時から何かに気付いてたみたいだが……
「断っとくが……俺にも奴をぶっ飛ばした鉄球の投擲技術や、奴のバケツ頭を燃え上がらせたアイテムの事は分からん。ただ……あの男がオリハルコンをハンマーの一撃で砕いたカラクリだけは分かる……と言うか現象としてはありふれた物だよ。お前たちも、熱湯を注いだカップが割れる事があるのは知ってるよな?」
俺と隆太は顔を見合わせる。千歳に至っては何を言ってるんだ? って顔だ。確かにそんな事があるのは知ってるが……それは陶器で出来たカップでの事だろ?
「そんな顔をするなよ。奴の頭が砕けたのは熱衝撃破壊……簡単に言うと、『極端に熱い物が急激に冷やされると素材の熱膨張にムラが生じて破壊される現象』なんだが……オリハルコンゴーレムの頭が燃やされた時、どんなカラクリかは知れないが頭部が赤熱化してたのを憶えているだろう? 頭部だけを真っ赤になるまで燃やされて、即座に冷たい湖水で冷やされたんだ……そりゃあ脆くもなるさ」
……確かに慎太郎の言う理屈は分かる。だが、
「勘違いするなよ……俺だって解答を見せられてやっと気付いたんだからな。それに……あの男は何らかのアイテムと湖水という環境を使ってそれを実行したが、俺達のレイドならフレアスキルやフロストスキルの持ち主が代わりをする事だって出来た筈だ」
確かに、俺達のレイドは遠距離攻撃が出来るスキル持ちが何人も居た。だが……
「もしそうだとしても……最後の一撃、あれはどう説明する? 俺はこれでもA級エクスプローラーの端くれだぜ? その俺からしてもあの男の動きは異常だった。あんな動きが出来るとしたら……それこそ世界に一握りしかいない“天魔スキル”持ちぐらいだぞ」
俺はもう一度あの時の事を思い出し……軽く身震いをする。最後のあの動き……あれだけは絶対に並のスキルでは不可能だ。だが慎太郎は、
「世界に6人しか確認されてない“天使と悪魔の名を関したスキルホルダー”か……だがな清太郎、俺のスキルが【鑑定】なのは知ってるだろう? 確かに俺のスキルはそこまで深く情報を暴ける訳じゃないがな……鑑定対象がスキルホルダーかどうかぐらいは分かるんだぜ?」
俺達は慎太郎の言わんとしてる事が分からなかった……こいつはいったい何を言いたいんだ?
「俺の【鑑定】では……あの滝沢って男、何のスキルも持っていないと出てるんだよ。あの男は……間違い無く何もスキルなんか持っちゃいないんだ」
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