全世界に向けてだ
皆様の応援に支えられて……
本作がなろうの「日間総合ランキング」の21位にランキングされましたm(_ _)m
しかも総合PVがとうとう100万アクセスを突破!!
これはもう作者的には想像もしなかった望外の結果です(@_@;)
本編も後少しで第一章がまとまる所まで来ていますので、どうぞ区切りまで応援よろしくお願いたしますm(_ _)m
【佐渡ヶ島タワー攻略20時間前】
― Sat 22:45 八階層出口 ―
俺達は環奈のスキル“気配察知”の恩恵で、吉見聖人率いるレイドが陣取っている八階層出口に無事たどり付く事が出来た。
レイドを率いていた吉見聖人は50歳になるかならないかの細マッチョな男だが……俺は外見を知ってるだけで、彼の“人となり”迄は知らなかった。なぜなら、救援出発前の俺は、彼とは顔を合わせた程度で会話らしい会話をしていなかった。
というのも……セイバーズ⊿救援はあくまで鼎が主体で依頼を受けたからだ。これは当然過ぎるくらい当然の話で、誰がタワーアタック二度目のルーキーをA級エクスプローラーが率いるパーティのピンチに送るというのか。
「でも、本当は彼……アナタの事を知っていたのよ滝沢君」
「……どういう事だ?」
俺達はセイバーズ⊿の面々をレイドの陣地に送り届けた後、そのまま陣地の隅に野営していた。一日スキルを発動し詰めだった環奈と、初めてタワーに入った莉子ちゃんは流石に疲労が溜まっていたようで……二人に先に休んでもらった俺は、本当は自分も寝袋に潜り込みたい衝動を押し殺し、明日の予定を涼子と話していた。幾つかの予定を話していた中で、涼子から明かされた話の意味が分からず、俺は軽く困惑していた。
「吉見さんと公知君の二人……貴方がギルドに投げた情報についての会議に出席してたらしいわ。で……ギルマスは個人情報を伏せてたんだけど……」
なるほど……そんな時期に佐渡ヶ島タワーの最前線に現れた無名パーティに、富士のトップ探検者が同行していれば、勘が良い人間なら思い当たる事もある……か。俺は公知達四人を連れて戻った時の吉見の顔と言葉を思い出した……
「ありがとう滝沢君……本当にありがとう」
吉見は、俺達が公知達を無事に連れ返った事を、少し大袈裟なくらい喜んでくれていた。
――――――――――
嚇天イーグルスリーダー吉見聖人は元自衛隊員で、世界中にタワーが現れた黎明期からタワーに関わってきた、言わば最古参のエクスプローラーの一人だ。
「ありがとう滝沢君、ありがとう……彼等を死なせていたら……私は後悔してもしきれん所だったよ」
そう言って俺の手を握って大袈裟にぶん回してくる。公知青年の話では相当な重傷を負っている筈なんだが……見た所あちこちに包帯を巻いてはいるがそんな素振りはまるで無かった。俺は身体の具合を尋ねて無理をしないでくれと言ったのだが、
「清太郎がそんな事をな……なに、既にポーションも使ったし、これでもそれなりにタワーの最前線でのたくって来たんでな。これくらいは無理のうちに入らんよ」
そう言って笑っていた。どうにもエクスプローラーという人種は一筋縄ではいかない者達が多いらしい。
俺と涼子は吉見にオリハルコンゴーレム討伐を伝える。どうも吉見は涼子とも旧知であったらしく、救援の成功にはそれなりの勝算を持って送り出したらしいが……オリハルコンゴーレムの討伐までは予想外だったらしい。
「なんと……いや、そういう事もあるかも知れんと思ってはいたんだが……そうか、新しい時代は常に押し寄せているんだったな」
吉見は一人で何かを納得している様に見えたが……この時の俺にはさっぱり意味が分からなかった。一応砕け散ったオリハルコンゴーレムの破片の幾つかを吉見に見せ、俺達は破壊したオリハルコンゴーレムの回収をレイドに依頼出来ないか吉見に相談した。
この交渉は涼子が率先して行ってくれた。嚇天イーグルスを始めとする参加パーティの報酬は、オリハルコンゴーレムの素材に発生する権利30%を進呈する事で話がついた。
「良いのか? 確かにあの巨体を運搬するのはかなりホネだが……ガワのオリハルコンだけ見ても、俺達の取り分が多過ぎやしないか?」
吉見が俺の顔を見る。何で俺に尋ねるんだよ……
「そうなんだけどね吉見さん……私の今の雇い主がそれで良いって言うのよ」
涼子が俺の方をみて肩をすくめて見せる。お前はアメ○カ人かよ……いや、向こうの人間だって今時そんなヤツ居ないんじゃねぇか? 俺は仕方なく口を開いて説明を始める。
「確かにオリハルコンゴーレムにトドメを刺したのは俺ですがね……ヤツの討伐に対しての貢献度で言えば、ヤツは事前のレイド戦で相当消耗してましたよ。取り分としては、もっと多くてもいいくらいだ……そうだな、もし俺に対して何か忖度してくれるって言うなら、セイバーズ⊿の奴等を助けてやるといい……彼等、何やら微妙な立場なんだよな?」
俺は涼子に同意を求めながら吉見に自分自身の考えを告げた。それを聞いた吉見は途端に渋い顔を見せる……どうも俺が思ってるよりも拙い立場になっている様だな。
「俺も迂闊だった……清太郎の言った事を鵜呑みにしてレイドを組んだがセイバーズの代表に知らせず独断で事を運んでいたなんてな……だが、どうして君は清太郎達を助けるんだね? 何かメリットがあるとは思えんが?」
そう言った吉見は……既に気さくなオッサンの仮面を半分外して殺気を漂わせ始める。まったく……喰えないオッサンだ。
「オリハルコンゴーレムのどたまには一筋のキズが付いてた。公知青年が付けたソイツが無かったら……ヤツを壊せないって事は無かったろうが相当苦労しただろう。まあそんな借りが彼等にはあるんで……」
――――――――――
俺はついさっきの会話を思い出してやっと吉見の言い分を理解した。
「で、滝沢君……あなた達は明日から十階層の攻略を始めるつもりなんでしょう?」
「ああ、それについてなんだが……鼎さんには確認したい事がある。今迄は暗黙の了解としてあえて触れなかったが……君は俺がギルドに投げた情報は全部知ってると解釈していいんだな?」
俺はキャンピングチェアに座ったまま涼子に尋ねた。涼子は軽く頷いて、
「ええ、貴方がギルドに伝えた事は大体ね」
と言ってコーヒーの入ったマグを傾けた。
その答えを聞いた俺は、涼子に改めてPDに関する事以外の情報を開示し、更に自分一人では世界中の“タワー”を破壊することは不可能だと思っている事を話した。涼子は黙って俺の考えを聞いた後、
「で、貴方はこの先どうするつもりなの? 多分その口ぶりなら何か考えがあるんでしょ?」
と、俺の考えの続きを尋ねた。やはり仕事の出来る人間は話が早くて助かる。
「ああ、それに……君の同行を受け入れたのは、これからの事にも協力を頼みたいってのもあったんだ」
「どういう事かしら?」
「なに……今迄撮影した分も含めて、タワーの攻略の様子を動画で配信してほしいだけだ。但しギルドに報告する前に……全世界に向けてだ」
嚇天イーグルスの大将である吉見聖人氏……余り外見的な描写はありませんがモデルはイーグルスの四代目監督である☆野○一氏だったりします( ´◡‿ゝ◡`)
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