捜索人数最大完全費用担保
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もう……どこにも足を向けて寝れないので今日から立って寝ようと思います(*´ω`*)
「大丈夫だよ……そもそも最初からゴーレムと戦うつもりなんかねぇからな」
軽く返した俺の言い分に、同時に三者の視線が俺に集まった。ただし、そこにこもる意図はそれぞれに違う。三人のうちフロアボスへの戦術を共有しているのは莉子ちゃんだけで、環奈にはこれから話すつもりだったし涼子には……まぁ、話しちまってもどうって事ないが……
「どういう意味?」
涼子が俺の言葉の真意を問いただす。環奈は興味深げに成り行きを見守っているし、莉子ちゃんは視線で『どうするんすか?』と問いかけてくる。
「意味も何もないさ。俺の方こそ……タワーが出来てからこっち、疑問で仕方ない事があるんだが……」
「??」
涼子と環奈が不思議そうに俺の言葉を待っている。
「そんなに難しい事は言ってないんだがな……良く考えてみろよ? 猟師が熊とナタで戦うか? エクスプローラーの連中はなんで真正面から戦いを挑むんだ? 」
俺としては至極当然の言い分なんだが涼子には納得がいかない様だ。
「確かに戦闘を避けるのは一つの戦術だけど……フロアボスを避けては次の階層にはいけないのよ? しかもここの“オリハルコンゴーレム”は動き出すまでは“破壊不能”のオブジェクト判定が付与されてるわ。つまり戦って勝つしかフロア攻略の方法が無いのよ?」
「正面から戦わなくてもやりようはあるさ。さあ、そろそろ出発しよう。あんまりのんびりしてると日が暮れちまう」
――――――――――
「そうか……彼は既にタワーへ入ったか……出来れば入塔する前に一度会ってみたかったが……」
そう言って鷹山は会議室の窓から見える“タワー”へ視線を向けた。
「彼はこちらが紹介した鼎涼子の帯同を拒否しなかったとの事ですから……情報収集については問題無いでしょう」
私がそう答えると、鷹山は窓から振り向いてこちらに視線を向けた。
「鼎君の実力は良く知っているが……どうにも先週から予想外の事態が続くのでね。まったく歳は取りたくないもんだ」
鷹山が言っているのは滝沢が入手した“アーマーバッファローの角”の件だろう。件の品は無事落札された後、落札者の使者を名乗る引取人が即日回収していった。
その落札者が、禁輸国のフロント企業の疑惑を持つ商社だった為、鷹山は急遽自前のコネクションで揃えた人員を追跡に宛てたのだが……隠密行動に特化した二人のエクスプローラーは、佐渡ヶ島から本土に渡った使者を追跡中に音信不通となってしまったのだ………
「心中お察しします……」
神山はそれだけ言うのが精一杯だった。二人の間に不意に静寂が訪れる。お互いに思っている事を口にするのを躊躇していた時、静寂を壊す様に会議室のトビラからノックが響いた。
「神山さん、会議中に申し訳ありません。緊急事態です」
「……? どうぞ、開いているわ」
「失礼します」
入って来たのは塔内探検者管理課の課長である士門國人だった。
「先程“塔内フラッシュパルス通信”で九階層から本部に緊急入電がありました。本日午前10時より『嚇天イーグルス・東京ソフトセイバーズのレイドによる“オリハルコンゴーレム”討伐作戦』が決行されましたが……結果は失敗に終わったそうです。レイドに参加していたエクスプローラーは大半が八階層への撤退が確認されましたが……パーティ“セイバーズ⊿”の公知清太郎以下4名が行方不明です」
「どういう事?? そんな報告は聞いて無いわよ……それにセイバーズ⊿は正真正銘のトップパーティよ、戦闘ならともかくゴーレム相手に逃げられないはずが……」
士門は、自らが緊急事態と言ったにも関わらず泰然とした口調で……
「ギルドには作戦の報告は入っておりません。どうも公知清太郎が主導して極秘にレイド参加者を募ったようです。セイバーズ⊿はパンクして逃げ遅れていたパーティから、オリハルコンゴーレムを引き離す為に殿に残った様です」
神山は先週の会議で顔を合わせた公知の顔を思い出す。実力は佐渡ヶ島でもトップレベルだが、まだあどけなさが残る顔の青年……もしやあの会議で焦って??
「なんでそんな事を……それに“セイバーズ⊿”は東京ソフトセイバーズの構成パーティでしょう? あのクランがそんな活動を許すとはとても思えないけど……」
「それについては東京セイバーズのフロントも知らなかった様です。どうも……公知が勝手に参加者を募った様ですね。実際の全体指揮は嚇天のリーダーに委託して本人は前衛に徹していたらしいですが……問題はオリハルコンゴーレムの起動を公知が行っていた事です。しかも……本来はエクスプローラーの安否は完全な自己責任なんですが……」
何故かそこで士門が言い淀む。
「先程の問い合わせの際に事情を知った《東京ソフトセイバーズ》のクランマスター“小佐野慶太”が、正式に(特別捜索願)を出しました。しかも“捜索人数最大完全費用担保”で……」
それを聞いた私と鷹山は思わず顔を見合わせた……私の記憶が正しければタワーが現れてから10年、“捜索人数最大完全費用担保”の特別捜索願は一度も発動された事が無かった筈だ。そこまで聞いた神山は、即座に指示を飛ばした。
「事態は分かりました。士門課長は即座に“ギルド規約三十八条四項に基づく相互協力制度”を発令して、救援に参加出来るパーティを招集して下さい。私もすぐフロアに下りて陣頭指揮に当たります」
「……承知いたしました」
余計な事を言わずに踵を返す士門を見送り、一つ深い溜め息をついた私は、
「すいません鷹山さん、お聞きの通りです。お話は後ほど改めて……」
そう言って私は、鷹山に頭を下げて部屋を出て行こうとしたのだが……鷹山はそんな私を呼び止めて忠告した。
「神山君、気をつけたまえ」
「は?」
「私は公知君等がソフトセイバーズにとってどんな存在かは知らんが……“小佐野慶太”という男がどんな人間かは多少知っている。彼は……端的に言えば自分の部下がどんな事になろうとも眉一つ動かさずに損切り出来る男だ。そんな男が“捜索人数最大完全費用担保”を依頼するなど……どう考えても何か裏があるとしか思えん」
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