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【累計700万PV突破!】タワーオブチューン “人類で唯一人ダンジョンを攻略した男” ☆第10回ネット小説大賞『コミックシナリオ賞』を受賞!!  作者: 鰺屋華袋
第一章 塔の破壊、承り〼

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内閣不審建造物調査室


「いやなに、今夜の事だがね……」


 軽い口調で重い話題をふるんじゃねえっすよ……


「クククッ……そう緊張しなくてもいいじゃあないか? なあ、我々はお互いに率直で誠実な取引を行ってきた間柄ではなかったかね? それを考えれば当然、両者の間には相応の信頼関係が構築されていて然るべきだ? そうだろう?」


 この時点で……背後から漂う殺気は、物理的存在すら感じさせる濃密さを備えており、オイラの耳に届いてくる言葉は()()()()()()()()にしか聞こえなくなっていた。


「オッ、オッ、オイラには……今迄もこれからも香主(シャンジュゥ)に逆らうつもりは……」


「ああ、そういうのはいいから。ところで話は変わるが……“佐渡ヶ島ゴールディズ”のリーダー相馬雅之とその妻である相馬由美子が、建造物不法侵入・窃盗・強盗・塔内限定許可能力の不当使用等の容疑で逮捕されたそうだよ……幸いな事に死傷者は出ていない様だがね」


 ()()はオイラにとって、確定に近い未来だったので、今更驚くには当たらない。ただ、死傷者が出てない事には素直に驚いた。


「それを踏まえてだがね……今夜、我々の間には()()()()()()()()()()? 勿論、君が()()()まで所属していたパーティとの間に……だよ?」


「いえ、我々の間には如何なる約束事もありません……ええ、間違いなく!!」


 オイラは、僅かにこぼれ落ちてきた生存の可能性に全力で縋り付いた。ああ、もしここで生き残れる()があるなら、オイラ靴の裏でも喜んで舐めるだろう。高位のベテランエクスプローラーに、そう思わせる程、背後から伝わる殺気には濃密な“死の気配”が漂っていた。


「ああ、そうだったね……さっき捕縛された愚か者達は当然の事、私と君の間にも……そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……そうだね? ()()()()()()()調()()()()()()()()()……()()()()()()


 …………何処から漏れた!?!


「……いっ、いったい何の事っすか? オイラはしがないC級エクスプローラーの神田勘太郎っ……」


「ああ、君は実に有能だが……冗談のセンスだけはどうにもいただけない。まあ、優秀な君の事だ。今夜起こった不幸な()()行為に我々の意図が無い事など十分に理解しているだろうがね」


 ちっ、こいつらは何時もそうだ……具体的に指示していなければ、プレッシャーを掛けて追いつめた事に罪は無いと? 逃げた先で奈落に落ち込んだ人間は間抜けだったとでも? 


「ああ、良いね……実に良い殺気だ。任務の為なら“犯罪に巻き込まれる人間が出ても平然と見捨てられる”君と、権利を脅かす存在への義憤を抑えられない青臭い君。その二面性こそ()()()()()()()()()()()()()なんだと言ったら信じるかね? ああ、勿論……組織としての第一は、君の上司に対しての報告を期待しての事だが……まあいい。さぁ、名残惜しいが私も忙しい身でね。申し訳無いがここらで失礼させてもらうよ」


 は、僅かに殺気が薄れた瞬間“精神耐性”スキルを発動し、その場で背後の男に飛びかかろうとした。だが……


 そこにはニコニコと微笑む老女が座っているだけで、他には誰一人居なかった。


――――――――――


 目の前のハゲとケバ……ええい、言いにくい。こんな奴等は一言“バカ共”で十分だ。ともかく俺はバカ共から意識を離さない用に注意しつつ、これからどうするかを思案していた。とりあえずは警察に連……


 そう思った俺は、不意に背後から迫る気配を感じて振り向いた。最初、気配を感じた時は奴等の最後のメンバーかと思ったが、そこに居たのは佐渡ヶ島探検者協会(ギルド)F(フロア)M(マネージャー)である金子だった。帰ってきた金子は見たところ怪我もなく元気だったが……何故か右手にレジ袋を持っていた。


「大丈夫ですか、タキザワさん?」


「ええ、何とか……それは?」


「本間さんが提供して下さったガムテープです。とりあえずコレを使って拘束してしまいましょう」


 おお、気が利くな! 俺達は手分けしてバカ共の手と足を後ろにまわし、ガムテープでぐるぐる巻きにしていく。


「滝沢さんのおかげで我々は全員無事です。既に関係各所には連絡済ですので、今は応援を待ちましょう。幸い駐車場所が良かったので延焼の心配も無さそうですし……」

 

「あっ………」


 そこで初めて俺は自慢の愛車を改めて観察した。そこに残っていたのは、未だタイヤから黒煙を吹き上げ続ける焦げたフレームと、折角買い揃えた装備品の残骸だけだった。

 

「くそっ、アイツラもう少し酷い目に遭わせてやれば良かった……」


 一応俺の背中には400万円相当のアーマーバッファローの角があるのでかろうじて赤字にはならないと思うが……


「気持ちは分かりますが物騒なセリフはそれくらいにしておいて下さい。それよりも……一つだけ私の疑問に答えていただけませんか?」


「……何です?」


()()()()()()()()()()()()()()?」 


 あまりにも抽象的な質問に、俺は答えを躊躇ってしまう。逃したタイミングは思った以上に深刻で……既に冗談で流せる空気を押し流してしまっていた。


「そもそも貴方は、初めてギルドに来た時から不審な所だらけでした。探検者証(タグ)の記録から判断すれば貴方は佐渡ヶ島タワーのみではなく()()()()()()()()()()に入った事のない完全なルーキーです」


 金子は、ガムテープを持って来てくれた時とはまるで違う冷徹な目で俺を観察していた。


「にも関わらず、2ndフロアでは屈指の難易度を誇る“アーマーバッファロー”を単独で仕留めた。これについては百歩譲って容認しました。個体のモンスターを対象とするなら、身体能力によらずとも罠などのテクニックを持って当たれば不可能ではありませんから……だが、先程の戦闘は違う。あなたは対人戦闘で、ギルドが定めるC級エクスプローラー二人を単独で倒して見せた……」


「……一人は勝手にビビってケツをまくったんですがね」


「あなたは“スキル持ちのC級エクスプローラー”がどういう存在なのかの認識が全く足りていません。勿論、一口にスキル持ちやC級と言っても能力にバラつきはあります。だが……少なくともそこに居る二人は、外の人間から見たら十分なバケモノなんですよ」


もし続きが気になるようでしたら………☆☆☆☆☆とか貰えたら嬉しいですm(_ _)m

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ワクワク♪♪♪♪♪
[一言] 「あなたは“スキル持ちのC級エクスプローラー”がどういう存在なのかの認識が全く足りていません。勿論、一口にスキル持ちやC級と言っても能力にバラつきはあります。だが……少なくともそこに居る二人…
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