夜は明けない
夜の闇が金色に染まりだした夜明けの空
冬の澄んだ空気が私の肺に満たされている
いつ見ても朝日に照らされた街は美しい
境界線の曖昧な朝の空が私は好きだ
夜が明けきっていない、今だけの景色が私は好きだ
あまりに世界が美しいから
少し、少しだけ、泣きたくなった
夜が明けて今日が始まる
そう、その前に、
世界の始まりのその前に、
この景色の中に切り取られたいと思った
ふわりと世界が浮いた
見上げた空はまだ暗かった
美しい景色の一部になりたかった
遠くに見える美しい空をこの目に焼き付けて
私は満足そうに笑い、目を閉じた
そうして世界は終わり、幸せな眠りについた