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恋のキューピッド

 ある日の放課後、杏里がやって来た。

「天音ーっ!」

 天音を呼び三組に入って来る愛らしいツインテールの杏里に男子の視線は釘付けである。

 しかし、その杏里がチラチラと視線を送る先は幸太郎であった。同じクラスの片割れには興味を示さずイケてない方に乙女心を募らせたのは幸太郎の内面に惚れたのか、ちゃらんぽらんの本質と比較した結果かもしれない。


「そうか、そゆことね」と呟いたのは天音だ。

 今回ばかりは良きキューピッドになれそうだと意気揚々とする。


「天音、一緒に帰ろう」

「うん。あ、こーちゃんは?」

「俺バイトだから先にダッシュで帰らなきゃ」

「あ、そう」


 ぼっちゃりさんとツインテールは並んで歩く。通りすがりの人には痩せたら天音の可愛さはツインテール杏里をはるかに超えるいわゆる『痩せたらかわいい子』だなど想像もつかないだろう。よって今の天音は杏里の引き立て役まっしぐらであった。


「天音はクリスマス何するの?」

「さあ チキン食べてケーキ食べて、寝てぐらいかな」

「ははは 食べて寝るだけじゃん」


 笑う杏里は嫉妬するくらい可愛いのであった。

 ただ、こんな可愛い子が幸太郎に思いを寄せているならば、キューピッド日和に尽きる。


「あのさあ ハアハア ちょっと休も」

「……ああ」


 早歩きで歩き、息切れしたのである。

 花壇の枠に座る二人


「あっおしり痛いねここ」

「そう?あっ肉座布団ないからね杏里は」


 身の程をわきまえたように天音はすっかりぼっちゃりさんキャラを地で行っているようだ。


 結局ベンチに移動する二人は今回こそ女子トークをする。


「杏里さ、もしかして こーちゃん好き?」

「え」


 明らかに赤らむ杏里の頬。それを見た天音は額の玉のような汗を拭いながら明るい声をあげる。


「そうなんだーっ」

「なんで分かったの?」

「ちらちら見てたから」

「はは。カッコよくないかも知れないけどさ、すごく優しいでしょ。こうたろう君ってさ」

「そうだよ。良いやつだよね。あ!じゃクリスマス、デートしたら?」

「そんなっ誘えないよ」

「まかせなさいっ」


「天音は?好きな人いないの?」

「はあ?私にいると思う?いたとしても叶わないでしょ。まず痩せないと はははは」

「そう?可愛いけどなあ。天音。しょうたろう君は?」

「え?」

「いや 何でもない。」


 杏里は双子と、自分達が二組のカップルにでもなれたら楽しかろうとでも思ったのだろう。可愛いけどなあなんて言ったのも単なるお世辞であろう。


 天音は幼馴染幸太郎にクリスマス会をしようともちかける。もちろん双子セットなので、合計四名様である。


「天音 クリスマス会母ちゃんがうちでやったらって」

「えっいーの?」

「おう」

「ありがとう!」

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