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終焉のミソロジー  作者: KAMOME111
5/6

【神の選別】

さて、ではお勧めアニメ紹介!

~終わりのセラフ~

ある日、致死性のウイルスによって13歳以上の人類は全滅した。そして13歳以下の子供たちは吸血鬼に管理されることとなった世界。主人公であり、管理されるまでは「百夜孤児院」という孤児院に入っていた百夜優一郎は親友の百夜ミカエラと他の孤児院の家族と管理された世界から抜け出す作戦を決行する。しかし、途中でこの脱出劇も吸血鬼に仕組まれたものだったことを知り、なんとか優一郎のみ生還を果たす。しかし、外には大人も生きている「帝鬼軍」という組織がありそこに入隊して新たな仲間達と吸血鬼を斃すと決意するも・・・


見どころ 優一郎がイケメンすぎます!そして最初の方は打ちひしがれてたのに段々「家族は俺が守る!」などと新しい家族を受け入れていくのがまた良い!個人的には3期が速く決定してほしい作品です!

 思い出、そんなんいらねえや。あったとしても需要なんかない。ただ今は、本物が欲しい。これからの思い出を作れる本物が。俺には、そんなもんはない。何やってんだ俺、カオリにも気持ちを伝えられずに死なせちまって、ファートとは思い出を作れずに・・・

 カイの目から大粒の涙がこぼれる。

―――もういい、なにもかも、もういいんだ―――

 カイは、絶望の頂きにいた。

―――やっと前を向けたのに、進めたのに―――

 彼の心の中でこの塔に対する憎悪が膨れ上がっていく。

そうだ―――

 ふと彼は、一番傷つかない方法を思い付いた。

―――もう何も考えなければいい。なにも考えなければ俺は傷つかない。そうだ、無だ―――

 そうして、彼は完全に独り、殻にこもってしまった。


「カイ―――」


 インディがカイを元気づけるために語りかける。彼も、思いは同じであった。大切な仲間を失い、さっきまでは自分の死の恐怖と対峙していた。しかしそれ以前に、カイとインディの間には大きな差があった。それは、


―――亡くしたものの数―――


 これは彼にずっしりとした重みをかけてきた。それに耐えかねた自己中心的な結果がこの行動だったのかもしれない。そう彼は自分自身自己嫌悪しつつもカイに問うた。


「大丈夫、此処にいる皆は大丈夫、もう誰も死なないよ」


「黙れ」


 帰ってきたのは、棘だった。それは、彼の胸に深く突き刺さり抜けないほど奥までめり込んだ。この傷は、きっともう消えない。彼はそう思って、カイと話すのをやめた。

―――怖かった。もうこれ以上自分が傷つくのが。自分が傷つけられるのが。友を救いたいなんてうわっ面だ。表面だけだ。所詮人間なんてそんなものである―――

 そう思って彼も考えることをやめた。


「カイ、テメエの気持ちは察するが、そろそろ行くぞ」


 アンガ―がいつになく優しく話しかける。いつもの声とは明らかに声色が違うのが見て取れた。


「察さなくていい。行くなら行こう。」


 カイは、ただただ冷徹に言い払って奥の闇へとスタスタと独り、歩いて行った。彼の周りに漂うオ―ラは、先ほどのものとは明らかに異なり禍々しさを形作っていた。


 カイ達が進んでいくと、少し不思議な空間に出た。真ん中に通路があり、長細い部屋である。その部屋の両端にはたくさんの棚が置かれている。そしてその棚の中には多量のきらきらと輝くものがあった。


「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 コスが叫び出す。守銭奴の彼にとってこの部屋は天国であり、彼の欲望そのものであった。一歩一歩歩くたびに宝物がカチャッ、カチャッと音を立てる。それがコスには気持ちがよくてたまらなかった。

―――これって、獲っていんだよな―――

彼の心の中に欲望がなだれ込む。そして彼はそれに負けた。

 パッと隣にあったとても価値の高そうな銅像を服の中に押し込む。それに誰も気づかなかった。そしてそれが、今回の戦犯となった。


 暗い道、それが延々と続く。そしてその道に変化があったのは、少し進んでからだった。

 突如、両端にあった壁がなくなり開放的な空間にでた。目の前には今までと同じ幅しかない道が続いており、下は見下ろしてもそこは見えそうになかった。幅、というとだいたい20CMくらい。一歩でも踏み外せば、たどり着くのは奈落である。


「おいおい、うそだろ・・・」


「あれ」


 ビシーが、何かに気付いたように道の奥を指さす。そこには穴があり、どうやらそこが「ゴール」のようだった。

 うだうだと時間のみが過ぎていく。皆、決心がつくまでに大量の時間を要した。そして、またしても檄を入れたのはアンガ―だった。


「いくぞ!こんなとこでもたもたしててもしゃあねえんだ!」


「クッ、いいだろう、いってやるよ」


 こうして一行は地獄へと続く一本道を進むこととなった。一歩一歩が震える。足を滑らせたら、と考えると皆、震えがした。


「皆!下見るなよ!」


 アンガ―がありがちな言葉を吐く。漫画なら一致団結する場面だろうが、リアルだと逆効果らしい。


「嫌なこと言うなよ!」


 ビシーが足を震わせながら怒鳴りつける。


「はあ?俺はお前らを気遣ってやったのに送ってくる言葉はそれかよ!呆れたぜ・・・」


「はあ?冗談じゃないわ!いいわ!気遣ってもらわなくて結構よ。主人公気取りのゴリラめ」


「そうだそうだ!」


「なにをおおおおおおおお!」


 またもやコップが変なところで話に加わる。それにアンガ―がキレたもののいつものことながら事実であった。

 しかし、ドン!という音に彼らの喧嘩は遮られることとなった。そしてその音はあたりの空気をいとも簡単にはることが出来た。


「こんどはなんだよ」


 アンガ―のフラグと共に右の何もなかった空間に大きなプレス機が降りてくる。そしてそれは耳をつんざくような音と共に起動し始めた。


「逃げましょう!」


 そのあまりの大きさに驚いたビシーが逃げることを提案するが、その提案は珍しく冷静だったアンガ―に打ち消された。


「まて、落ち着いて行こう!プレス機を見てみろ!」


 プレス機は、動いて向かってくる様子はなくただその場で空気をプレスし続けている。その時までは・・・


「う、うわあ!おい!おい!」


 後ろの方で悲鳴が上がる。その声の主は、コスだった。彼の体は宙に浮き、いや、空中に引っ張られたように浮き、プレス機の方へ向かいつつあった。その原因は


「これだ!この銅像!」


 コスの胸ポケットの盛り上がった部分には銅像があった。そして銅像が何か強力な力で引っ張られているらしく、結局コスはその謎の、宙に浮いた銅像にぶら下がる体制になった。そして、一直線で速さも変えずプレス機のプレスの中心へと動きを進めていく。


「た、助けてくれよオオオオオ!ウル!アンガ―!カイ!ビシー!ベット!ジル!コップ!だれでもいいからたずげでよおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 しかし、名前を呼ばれた者たちもどうしようもないのが現実だった。現に、コスはそれほどに「道」からは離れた所にいた。そう、死ぬ前にコスが皆に残したもの、それは自分たちが何もできないという不甲斐なさと、それから派生した自己嫌悪だけであった。その中で人一倍傷ついていたのがこの男であった。

―――なんだよ、無でいろよ俺!お前は殻に籠んだろ!周りの奴がいんでもお前だけは生き残る!そうだろ!―――

 カイが正気に戻った時にはすでに、プレス機から大量の血が滴っている後であった。

 呆然とたたずむこと数十分・・・いつものごとく彼らは打ちひしがれることとなったが、今回は自分達の名前を呼ばれた分堪えたようだった。しかし、またもアンガ―は指揮を執った。彼のこういう行動力には皆、引き付けられる物があるのは明白であった。


「皆、俺達のせいだなんて思うなよ・・・これは仕方がなかったことだ」


「何が仕方なかったことよ!人が、何人死んで・・・もうイヤ!」


 ビシーが悲痛の叫びをあげてむせび泣いた。もう皆、その道の細さではなく次の「試練」に恐怖を覚え始めていた。何が起こるかわからない試練よりは此処にいた方がましだと・・・そうして、彼らは完全に気力を失ったかに思えた。この男以外は


「皆さん!これは確かにデスゲームです!しかし必ず出口はある!必ずあります!」


 ルーアであった。そう、この男、全くうたれてなどいない。そもそも彼にとって此処にいた人間はカオリ以外初対面なわけで、その人たちが死んだからといってそれほどの感情を抱くほど彼の精神は不安定ではなかった。


「どうしてそう言い切れるのよ!」


「そりゃあ、ここはたぶん人工ですよね。なら、出口がないと成り立たない。逆に、あなたはこの『ゲーム』をなんと心得る?僕はそう、【神の選別】だ」


「馬鹿げてる」


「そうでしょうか。僕は愉快犯にとっては手がこみすぎていると思いますが」


 ルーアが次次と彼に襲いかかる反論をひらりとかわしていく。いとも手慣れたように・・・


「まあ皆さん!昇りましょう!昇るのです!」


 彼らの意見が変わろうとした時、ジュウアアアという音と共に奈落の底から赤い液体が上がってきた。その液体はまるで血のように赤く、燃えるようにメラメラとその形を流動させていた。


「なんだこれ!」


「とにかく走った方がいいでしょう」


 ルーアが冷静に分析しつつ、なだれ込むように皆が細い道の上を走る。下の液体は彼らのことなどお構いなしに水位を刻一刻と上げていく。彼らに一本道という意識はなくなっていた。だからこその全力ダッシュであった。そのおかげだろうか、彼らは誰ひとり落ちることなく出口へとたどり着くことが出来た。

やはり、「火事場の馬鹿力」をなめてはいけないのかもしれない。


「はあ、助かったアアアアアアア!ビシーちゃんは!ビシーチャン!」


「キモイんじゃ!」


 自分の命が助かって一安心なところに現れた邪魔ものにビシーが激怒し、ドロップキックをかます。なお、蹴られたウルはというと、何とも心地よさそうに床に突っ伏していた。その極楽顔というと、もうすぐ天にも召されそうであった。しかし、このことで周りに笑いが起きたのは吉報であろう。

 しかし、そのいい雰囲気が長く続くことは勿論ながらなかった。ゴボゴボという音と共にさっきの赤い液体が流れ込む。


「おいおい嘘だろ!取りあえず走れ!」


 皆、一斉に走り出す。そして、その目の前に現れたのは大きなホール上の部屋だった。壁には気味の悪い人々が屈服させられたような絵が描かれている。


「おいおい!出口はどこだよ!」


 見渡す限り出口はなさそうである。入って来た時には出口かと思われた場所もいずれはただの絵であるということが判明し、彼らはますます落胆することとなった。

 しかし、時はゆっくりと落胆する時間すら奪っていった。ジョアアアアアアと這い言ってきたところから例の赤い液体が噴出する。そしてその液体は豪快に彼らを頭上から攻め落とした。

三人目の脱落者 コス トマニー


そして彼はまた、殻に籠る

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