表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉のミソロジー  作者: KAMOME111
3/6

リンボ『辺獄』

さて、ではお勧めアニメ紹介!

~青春ブタやろうはバニーガール先輩の夢を見ない~

主人公の咲太は、図書館で偶然バニーガールの恰好をした、同じ高校の先輩であり芸能人の桜島麻衣(通称麻衣さん)と出会う。しかし、咲太以外には麻衣さんの姿が見えていないという謎の現象(思春期症候群)が起きており、それを解決していく異色のラブコメディーです!


見どころ 取りあえずキャラが可愛い!推しが選べないアニメランキング(自称)の第二位にも入るほど(あくまで自称です)。そして、たまに見せる咲太の男気がイケメンすぎる!文句なしの名作アニメです!

「うわああああ!何だこれ?」


 カイ達は、大きな門の前にいた。その門は今まで階段に使われていた材質とは少し異なり、階段より少し暗めの色の石だった。また、表面には漏斗型の塔ようなものが彫られておりその絵は「古代」という単語を連想させた。


「どうやって開けんだろう・・・」


「さあ」


 門は開く様子もなくただそこに佇んでいた。横に燃える二つの松明が少年たちを明るく、淡く照らし出していた。


「こういうのって・・・」


 ザシュッ 場に惨い音が響いた。その音が聞こえたこともあり、皆が声の主であるルーアに注目する。

 そこには、血の滴った右手を「痛いなあ、やっぱり」といいながら左手で摩るルーアの姿があった。彼の近くの壁にはおそらくそこで切ったのであろうという鋭利な棘の先から同じ紅色の血が滴っていた。


「何をやってんのよ、あんたは」


「いやあ、ちょっとどいて下さい」


 ルーアは、心配していたビシーを押しのけて門の方へと歩みを進めた。一歩一歩歩くたびに雫が二、三滴落ちている。その様すからしてそこそこの出血のようだ。しかし、彼はサイコパスではないらしい。彼の顔は見るからにひきつっていた。いかにも痛みに耐えている、といった顔だった。

 

「ああああああああああああああああ!」


 ルーアが悲鳴を発しながら自分の血を門の表面に塗りたくった。見ていられない、顔を背けたくなるような光景だった。しかし、利はあったらしい。

 ガガガガと大きな轟音を響かせながら門は口をあける。


「ほら、やったろ・・・」


 ルーアの声は、いかにも死にそうな老人のようだった。


「さあ、行こう」


 サネスが何事もなかったかのように冷酷に言う。それにつられて、アンガ―も進み始めた。こうして一行は、門へと歩みを進めることとなる。


           ――――この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ―――――

この銘を知らない少年たちは、いよいよ血に染まっていくこととなる


 暗い通路。灯もなく、ただ続く一本道は少年たちに恐怖を植え付けるには十分だった。そして、悲鳴が上がるにはこの数秒後のことである。


「キャアアアアアアアア!」


 突如、ビシーの悲鳴が闇を切り裂いた。次に、


「なんだこれ!」


「おいおい!」


 他の少年達も遺憾を口走る。その遺憾の正体を最初に口走ったのはカイであった。彼は遺憾の正体を丁寧に分析し、それが無数の「蟲」であることを突き止めた。


「蟲だ!」


 カイの声が一本道にこだまする。場はパニックである。特に、女性陣は死をも覚悟した。


「とにかく走れ!」


 このカイの言葉がどれだけの子供達を救ったことか・・・

 十一人の少年少女達がどっと一つの方向へ走る。狭苦しい通路は、走るのを妨害するための造りなのではないかという考えさえ頭に浮かぶ。そしてこの「蟲の間」は、進むごとにどんどん過酷さを増していった。最初はハエやアブなど小型の虫だった。しかし走り始めて一分ほどすると段々蜂や蝶、蛾も交じるようになり当たると、多少の衝撃を感じるほどになってきた。皮膚を走る多数の質感。しっぽん一本の細い触角が自分の顔に纏わりつく遺憾に堪えながら、少年たちは息を切らせて走った。

 走り始めて何分だろうか、もう精神も限界といったところで、出口の白い光が見えた。真っ先にその光へと飛び込んだ。たとえその光の奥が掛けで、底から落ちたとしても彼らは後悔すらしなかっただろう。それほどまでに「蟲」は彼らの精神をむしばんだ。


「ヒヤアアアアアア!気っ持ち悪い!」


「ああ、全くだ・・・」


 ビシーが、まだ蟲の集った服を脱ぎ捨ててぶんぶん振り払いながら言う。彼女にとっては「蟲」は強敵であり、あの部屋はまさに地獄であっただろう。彼女の顔にはいまだに多くのアブやハエが集っており、その数々の虫たちが彼女の蟲の顔の表面をうろつきまわっていた。いつも濃く塗られている化粧は逆効果なほどに蟲の体液との混合液となって彼女の顔の血色をうせさせていた。いつもの彼女であればハエ一匹で大騒ぎなのだがあんなことがあったからか、まだましだと感じたらしく目や鼻、口に入ろうとする蟲以外は放任していた。


「とりあえず、大丈夫か?皆」


 サネスがリーダー気取りで心にもないことを言う。それに反応したのがファートだった。


「これが大丈夫に見えるか?」


 ファートの顔にはビシーとは違って緑ではなく黄色の液体がビッチャリとついていた。頭には大きな塊が付いておりそこから流れ出ているのだろうか。オノマトペで言うと、ビシーのはドロドロといった感じだったが、ファートのはべベタベタといった感じだろうか。なんせビシーのものと違う液体が付着しているのは一目瞭然であった。


「なんだそれ、ファート」


「これか?これは、たぶん蜂蜜だと思う。甘いし」


「なんだ、じゃあいいじゃねえか」


 アンガ―がファートに食いつくように言う。しかし、その数秒後アンガ―は言葉を取り下げることとなった。

 ファートの頭についていた大きな塊、おそらくハチの巣から大量の幼虫が噴き出す。これは流石にいつもは穏やかなファートでも恐怖を感じたらしく、ハチの巣を誰もいない方向に投げ捨てた。


「まあ、皆目立った外傷はないみたいだね」


 またもサネスが指揮を執る。


「じゃあ、二手に分かれてこの道を行かないかい?」


「いいわ、5と6に分かれていきましょう」


 ビシーは早くこのことを忘れたいのか、珍しくサネスの提案に乗り気だった。


「よし、じゃ行こう」


「ちょっと待って」


 一行が「いざ行こうと」一致団結したところにカイが横やりをいれた。


「ここでちょっと待ってて」


 カイは、急に立ち上がり左の道の奥へと走って行った。あまりに急だったカイの行動は誰にモ邪魔されることなく実行された。


「おいおい!あいつはどこ行ったんだ?」


 アンガ―が怒り口調で言う。彼にとってはさっきまで蟲に怒り、ハチの巣を放り投げたファートに怒り、今では1人勝手に行動したカイに怒っていたのだ。怒り上戸というのは、愚かな生き物であると再度自覚せざるを得ないいい例だろう。


「おーい」


 次の瞬間、皆か驚いた。何故か、カイが右の道から走って来たのだ。


「どういうことだ?カイ」


「これ、たぶん円形だよこの部屋。いや正確に言うと楕円形ら楕円形を切りぬいた形かな」


「つまり、ディスクのようになっているということかい?」


「まあ、簡単にいえばそういうことだ」


「じゃあ、出口がねえじゃねえか」


 そう、ディスク型の部屋の難点は出口がないということである。何度歩いても帰ってくるところは同じであり、行きつくところなどない。


「じゃあ」


 サネスが問題点を上げようとしたところで、皆にとって予想外のことが起こった。それは強風だった。

 ヴィーーンと言う轟音と共に前から強風が吹き荒れる。どこからきたのか得体のしれない風は、少年少女達の体を浮かせるには十分だった。


「うわああああああ」


「キャアアアアアア」


 皆の体が浮き、このディスク型の部屋を周回し始める。変化が起きたのは、ちょうどこの部屋を5週ほどした時だった。

 ガガガガガガというさっきとは違う音と共に、少年たちが飛ばされる進行方向に大きなとげの壁が出現する。このまま吹き飛ばされて当たれば、身体は原形をとどめることは出来ないだろう。そして出現したものはもう一つ。それは飛ばされないよう捕まるロープだった。ちょうど十一本用意されている。1人一本で、間違いないようだった。それに最初にきずいたのはカイだった。


「おい!全員あれ見ろ!とげだ!ロープにつかまれよ!」


「おいお前、俺より先に指示を出すな!」


 カイは、指示を出したこといよって急に不機嫌になったサネスの暴言を無視しつつ、慎重にロープにつかまった。腐っても鯛とはこのことだろう。みな、リーダーとしてある程度の身体能力は心得ているため、次々とロープにつかまる。この男以外は・・・


「カイ―――――!」


 インディだった。彼は、リーダーながらも陰キャ的な性格でほとんど寮の部屋からもでないひきこもりであった。

 しかし、それをカイが見逃すはずがなかった。


「インディ!つかまれええええええええ!」


 カイが魂を震わせて叫び、手を伸ばした。その手をインディががっしりと、しっかりとつかむ。インディには、つかんでくれたカイの手が震えているのがよく感じられた。それもそのはずである。本来、この試練は両手でしっかりとつかんで風を耐え、自分の体重と向き合うものである。しかし、カイは軽いとはいえインディの体重と自分の体重、そしてそれを片手で支えているのである。いくら筋トレを欠かさないカイでさえこの過酷な状況には一種の恐怖を感じた。


「いいか、引き上げるぞ」


 カイが呻きながらインディをロープのところまで持ってくる。


「ありがとう」


「礼はこの試練が終わってからにしろって」


「おいおい!俺たちゃいつまでこうしていなきゃなんねえ!」


 アンガ―がまた怒り気味に言う。

 それもそうである。いつまでもこうしていることなど不可能に等しく、彼らの腕はもう限界だと叫び始めていた。

 ガゴン、ととげの方から音がする。少年少女たちが一斉に後ろを振り向く。するとそこには、ディスクの穴の部分に通気口程の穴があいているのが確認できた。あれが出口を意味することは、見れば簡単にわかった。


「つまり、手を離してあの出口につかまれってこと?」


「いやいやいやいや、ムリなんですけど!」


「誰か早く行けよ」


 またこれである。速くこの場は回避したいが一番は嫌だという矛盾しかない人間の心理。俺は、それに嫌気がさして自ら名乗り出ることにした。


「やるよ」


 カイは、皆の反応を確認するより早く出口に向かって勢いを付けて手を離した。全てがゆっくりに見える。おそらく失敗したとわかった瞬間、時間の歪みは元に戻るのだろう。

 まあ、そうなる事もなくカイは出口の金網をがっしりとつかみ、無事この試練を突破するにいたった。

 カイが穴に入ると、その奥には狭い通路が続いていた。カイ達なら匍匐前進をすれば十分通れるくらいの大きさだった。そして、入ってすぐのところの壁には「勇気の試練」と言う文字が彫られていた。

カイはその書かれていた位置に違和感を感じた。少し、下側に空間が開いている。まあしかし、カイには、それよりも皆の安否の方が重要であった。

 前述したとおり、1人が行けば簡単なものである。順調に皆が小さな穴に跳びこんでくる。

 そして、ついに最後の一人となった。


「おーい!サネス!お前まさかビビってんのかあ?」


「ふざけないでくれよ」


 アンガ―がサネスをあおりそれをサネスが柔軟にかわす。そして次の彼のひと言が、彼の運命を左右することとなった。


「おい!カイ イミテッド!俺はお前よりも凄い!だからこそ俺はお前よりも遠い所から飛んでやる!」


「おい、やめとけ・・・危ない」


「知ったことか!」


 このとき、サネスの心の中はカイへの嫉妬で埋め尽くされていた。彼にとって、「自分」こそが全てであり、それ以外ははっきり言って雑草にすぎない。そんな世界を生きてきた彼にとって、カイははっきり言ってうざかった。この試練が始まってからというもの、いつもカイの言うことは正しくそして自分の言うことは違うのだ。「嫉妬」、それは時に人の命すら奪いうる。


「やめろおおおおおおおおお!」


 皆の張り上げた悲鳴の中をサネスは優雅に滑空する。彼の表情は、今までで最も輝いていたといっても過言ではないだろう。しかし、それはほんの一時にすぎない。

 急にサネスの体系が崩れる。それと共に彼の顔すらも・・・その犯人は「突風」であった。だれも予期しなかった一瞬の強風に彼の命は散ったのである。

 グチャッという嫌な音と共に赤い液体が出口のふちに付着する。そして、カイの違和感が現実となった。ガンっという音と共に下の部分がはがれる。そこには「慎重性欠くべからず」と明記しており、彼らに対抗の余地はなくなった。

1人目の脱落者、サネス ナルシン


そしてここからも、塔の試練は過酷さを増していくこととなる・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ