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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第3章 西と東 赤の書編
85/170

第85話 彼女の取り扱い注意。

すみません、体調不良で更新が遅れました。

 明朝早く起きた南雲は、冷蔵庫へ向かう、東京のスーパーで買って来た。菓子パンとカフェオレを冷蔵庫から出した。

 そしてベッドの近くにあった木製机へ、パンとコップに注いだカフェオレを二つ並べる。


「おい、起きろ。脳を働かせるのに何か食わないとスッキリしないぞ?」


 隣のベッドで寝ている修二を優しく起こす。


「…おはよう。」


 起きた修二は南雲へ挨拶し直ぐ様、朝食が用意された机へ身体を向かせる。

 狭い部屋なので、二人はベッドを椅子代わりとして使っていたのだ。


「これからどうする?」


 修二は朝食を食べながら、南雲へ今後の予定を尋ねた。


「午前には調べ物をする。そして午後には部屋を出て、秋葉原で足りない部品を探す。お前は?」


 修二の質問に対し、嫌な顔をせず素直に応答する。


「また治安が悪い所で事情聴取だ。」


「六本木と銀座には近づくなよ。あそこは『魔界連合』が仕切ってるシマだ。こんな時、あの会長の力が使えたら便利なのにな?」


「俺、そこまで閻魔さんと親しくねぇよ。」


「だろうな…そしてどうする? コレ?」


 南雲の目が死んで、昨日から放置している麻袋へ目を向けていた。

 彼女は、ずっと暴れているのが無駄だと感じたのか、動かなくなっていた。


「…もしかしたらギャング集団の仲間かもと思って連れて来たんだが、この調子だと関係なさそうだな」


「…そうなったら、俺達は本当の犯罪者だぞ? どうするんだ? 俺達は弁護士でもなければ、正義の味方でもない、ただの質の悪いチンピラだ。神崎邸を狙ったギャング集団が見つからなければ、このままブタ箱だ。もう少し、利口な考えは出ねぇのか?」


 このまま進んでも先の見えない地獄、後へ引き返しても誘拐という罪と海道へ帰れない地獄、南雲は修二へ選択を迫っていた。


「…今更、そんな事言う奴だったか? このまま引き返す訳には行かねぇ、だったら壁にぶち当たるまで進んでみようぜ。もしかしたら、俺達の罪が無くなるような話になるかもしれねぇしよ?」


 策でもあるのか、修二は誘拐の件は気にするなと南雲へ説得していた。


「…分かった。けど、ヤバくなったら俺のプランで行く。それだけは譲れねぇぞ?」


 深くを息を吐き、少し考えた。そしてやれる所までやろうと考えに至り、南雲は修二の提案を飲んだのだ。

 保険として南雲も計画を考えており、危機的な状況の場合、それを実行すると言った。


「あぁ、構わねぇ! お前とは犬猿の仲ではあるが、運命共同体みたいな物だ。絶対に喧嘩売って来た奴を見つけるまで、戦う仲間だ。」


「俺は吹雪のように群れるのは嫌いだ。だが、これは俺のプライドでもあり、輝さんへの恩返しだ。ここは一時的な仲間だ」


「まだ拘ってんのかよ。五年前の事を?」


「当たり前だ。あの時、『覇気』を無くした貴様に負けたんだ。あんな屈辱を受けては、返さねぇと俺の気がすまねぇ」


「…似てんかもな。俺は神崎忍を追いかけてる。お前は俺を追いかけてる…気持ち悪いな」


「こっちの台詞だ」


「…あのさ、今から話を聞こうっていうのに喧嘩すんのやめねぇ?」


 流石に、何時も通りに喧嘩していると先へ進めないので停止を求めていた。


「――分かった。それよりどうする? 拷問するか? 一応、秋葉原のアダルトショップで色々と買い揃えたんだが?」


「女相手に何しようとしてんだよ? いや、普通に質問する」


 真顔で女性に恐ろしい事を、しようとしている南雲へ修二が突っ込む。

 修二は彼女へ普通の対応をすると宣言した。


「…『覇気使い』だから気をつけろよ?」


 反撃の可能性があるので、修二は南雲へ警告していた。

 そして修二はゆっくりと麻袋を取った。

 彼女は疲労感が襲い、ぐっすりと涎垂らしながら眠っていた。


「緊張感がねぇな。後、だらしないな」


「――そりゃ俺達もだろ? よし、縛ったまま話を聞こうか。」


 修二は猿轡代わりにしていたアロハシャツを取り除き、身体をベッドに寝かせた。


「おい、起きろ。」


 修二は右手で、彼女をゆっくりと身体を揺さぶり起こしていた。


「……テメェ!」


 彼女はゆっくりと瞼を開き目覚め、修二の顔を見た瞬間、怒りを顕し襲いかかろうとした。が、修二の左人差し指で額を触れているだけで、動きを止めていた。


「ちょっと落ち着け、少し話を聞きてぇだけだからよ」


 修二は呆れながらも彼女へは、敵意を向けることなく、冷静に質問をした。


「はあ!? 変態オヤジに答える質問なんかねぇよ!」


 彼女は未だに気が立っており、簡単には質問を答えてくれる様子でなかった。


「…よし、じゃあ先ずは自己紹介からしよう。俺は品川修二、隣にいるのは南雲暖人、俺達は…」


 修二は冷静に大人となって自己紹介から始めた。が、肝心な所で彼女が、修二の顔に唾を吐いたのだ。

 隣で見ていた南雲も、目を細めて驚愕していた。


「……」


 あまりにも衝撃的な出来事で、修二は呆然とするしかなかった。


「大丈夫か? ムカついたら使うか?」


 心配した南雲は、黒い袋からディルドを取り出して修二へ尋ねる。南雲は女性に屈辱を与えれば、何でも言うことを聞くという考えのようだ。


「そんな物は必要ないし、俺は大丈夫だ。俺も師匠と初めて出会った時は何かと反発した…が、唾を吐くことはしなかった。」


 修二のコメカミから、太い欠陥の青筋が浮かんでいた。が、ここは何とか堪えていた。


「お、おう。お前が言うなら…」


 今にも修二がプッツンしそうな雰囲気のまま、話は続いた。


「よし、じゃあ初めからな。俺は品川修二、隣にいるのは南雲暖人、俺達は…」


 再び、修二は自己紹介から始めた。が、先へ進ませない為、彼女は再び修二の顔へ唾を吐いたのだ。


「…おい、なんか危ぶねぇ薬とか売ってなかったか? 二度と唾なんか吐けねぇぐらいに精神崩壊させる薬とか!」


 流石にプッツンときた修二は、彼女から離れて、南雲が購入した物をまさぐり、危険な薬品を探していた。


「…ここは力ずくで聞き出した方が、良いんじゃねぇのか?」


 隣で見ていた南雲は修二へ彼女を殴って聞けば良いと判断し提案した。


「…そうだな。ここはお前の案で…」


 修二は探索を止めて、南雲へ向き意見を受け入れようとした。が、彼女の表情を見て、思い止まった。

 それは南雲の力ずく(・・・)という単語で、彼女が怯え力強く瞼を閉じて、我慢する表情をしていたからだ。

 そんな表情を見て、修二は暴力で解決は難しいと考えていた。


「…いや、力ずくは無しだ。それより、もっと良い方法がある」


 修二はキャリーバックから青いアロハシャツを取り出し、着替える。


「お前アロハ何枚あるんだよ? それに力ずくより、良い方法ってあんのか?」


「お前の考え方はな、レイプ犯と同じだ。証拠を立件させない、弱い者を踏みにじる行為だ。今まで、そう言う被害と関わってこなかったが冷静に考えると――最悪だ」


 修二は彼女の背後へと回り込み、ロープを切り、拘束から解放する。

 彼女は何も来ないと感じ、瞼を開けて、修二の行動に驚愕した。


「おい、飯食いに行くぞ。何がいい? 肉か? 魚か? なんなら今から居酒屋で酒でも飲みに行くか?」


 予想外の事に修二は彼女へ拷問する訳でもなく、食事しようと言い出したのだ。

 彼女と南雲は驚愕し、言葉を失っていた。


「おい、何勝手な事を!?」


「良いんだよ。腹が減ったら男も女も機嫌が悪くなるのは一緒だ。飯食ったら、スッキリするかもしれねぇだろ?」


 科学的な根拠もない理屈で、敵である彼女と食事をする。端から見れば異常であった。


「ほら、行くぞ。南雲も早く来いよ! 朝食の小さい菓子パン程度で腹膨れる訳ねぇだろ? 思いっきり食って、策考えようぜ?」


「…分かった。全く、こっちが世話かかるのかよ」


 先に修二は彼女を後ろから押して部屋から出た。

 呆れながらも南雲は鍵を忘れず、部屋から退出し、ドアをロックした。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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