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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第3章 西と東 赤の書編
84/170

第84話 東京の『覇気使い』。

ちょっと早めに投稿しておきます。今、龍が如く7に集中しすぎて遅くなっております。

「…お嬢ちゃん、危ないから下がってな」


 修二は彼女に危険が迫るのを阻止する為、注意を促していた。


「アンタこそ、あんま舐めた事を言ってるとボコるよ?」


「あのな、大人の言うことは素直に聞いとけよ?」


「いい年したオッサンが、一人を囲って素直に聞けって説得力がなくない?」


「オッサン、オッサンって俺は…? 一人を囲って素直に聞け?」


 修二は会話文で何かに気づく、まさかと思い彼女へ尋ねてみた。


「…一応、聞くけど…どっちが被害者だと思ってる?」


「はあ? アンタ、自分の行動に疑問とか思わない訳? 今、胸ぐら掴んでるアンタに言ってんだよタコ!」


 彼女からの衝撃的な発言で、修二は口をあんぐりと開けて驚愕し、同時に唖然としていた。


「おいおい、反撃した所を悪人扱いかよ。」


 大きくため息を吐き、修二は拘束しているチンピラを頭突き一発で気絶させ、他は放っておき、ホテルへ帰ろうとしていた。


「待てよ。」


 だが、彼女に左肩を右手片手のみで静止される。


「止めとけ、実力も分かんねぇ奴に、喧嘩吹っ掛けんのは馬鹿がやることだ。ここはムカつく気持ちを抑えて、ここは穏便にすませようや」


 修二はお節介にも、自分が幾度もなく体験した苦い思い出を彼女へ教示していた。


「だから、偉そうに指図してんじゃねぇよ。それに言っただろ? あんまり舐めた事を言ってるとボコるってな!」


 彼女の右手がドロドロと燃え始めた。

 それに気づいた修二は、素早くバックステップで離れた。

 アロハシャツの左肩部分を見た。燃えた部分が何か黒い破片が付着し、燃え続けていた。


「へぇ~今までの奴等は燃えた事に驚いて、呆然として逃げ出すのに…アンタだけは違うね」


 修二は燃え続けるアロハシャツを破り捨てる。


(マズイな。このまま半裸で帰ってしまうと、サツに聞かれんのがオチだ。まあ、それは後で考えるか。初めて合う『覇気使い』か、これは楽しみだな。)


 未知の『覇気』を見て感じ、修二は内心喜んでいた。


「マッチの火ごときで偉そうにすんな。大人を舐めてると痛い目に合うことを教えてやる。」


 修二はニヤけた表情で彼女へ近づく。が、先ず近くにいたチンピラ二人を、素早い頭突きで気絶させた。

 彼女は奇妙な行動にポカーンと呆然としていた。


「さてと、小娘。お前の実力はよく分かった。こけおどし程度の火じゃ俺には勝てねぇよ?」


 髪の毛を整え、修二は分かりやすい挑発を繰り出した。


「その様子だと、アンタは能力の正体を知ってるな?」


「まあな…教えてほしいか?」


 修二は彼女を試すように、思わせ振りな表情で尋ねた。


「そんな思わせ振りな表情して、もしかして告ってんの? それとも本当に馬鹿とか?」


 彼女は呆れた表情で、修二の言動に対し馬鹿にしていた。


「じゃあ馬鹿にされないように、俺に勝ってみな?」


 ヤンキーにとって、これだけの侮辱と挑発をされたからには、イモは引けなくなる。

 それを理解し不良を経験しているので、修二は戦略的に行動していた。


「病院送りされても文句言うなよ!」


 彼女は勝つ気でいるらしく、修二へ向かって走り出した。そして金的という男の急所へ迷いなく、蹴り上げたのだ。

 その時、修二はボーと立っており対策などしておらず、素直に攻撃を受けた。


(決まった! 男なら泣き出す攻撃、これなら能力なんか使わず…えっ!?)


 修二は金的の攻撃を受けたにも関わらず、平然としていた。


「確かに、そこは男にとって弱点だな。それで、終わりか?」


 修二は得意げな笑みで再び挑発する。


「舐めんなよ!」


 彼女は修二の鼻、顎、脇腹、腹等を色々と殴った。が、修二は平然とし、全て効果がなかった。


「…能力を使えば勝てるかもな?」


 修二は彼女に『覇気』を使わせる為だけ、挑発だけ繰り出していたのだ。まだ一度も反撃などしていなかった。


「あっそ、そんなに死にたいなら使ってやるよ!」


 彼女は怒りで自棄となり、ドロドロとした火の塊を両手に纏っていた。


(発火するドロドロの塊…成る程、『炎の覇気』ではない事は確かだ。奇遇っていうより、運命を感じるな)


 炎に関係する『覇気』だったので、修二は若干だが苦笑いを浮かべていた。


「何、笑ってんだよ! ヤル気あんのか!」


 彼女は望み通りに『覇気』を使い、喧嘩しようとしている所で、修二から馬鹿にされてると勘違いし、憤慨していた。


「いや、少し懐かしくて酸っぱい気持ちになっただけだ。」


 修二は彼女へ弁解していた。が、彼女は聞く耳を持たず、修二に右ストレートで頬へ殴りかかったのだ。

 修二の視界には全て、遅く見えていた。神崎忍、閻魔光、幻魔、ウロボロス達の人智を超えた攻撃ばかりを受け、感じ、見ていた。

 慣れというより、修二も人智を超えた鍛えにより、強くなっていた。

 それは一般人が放つ普通のパンチが、彼にとってどんより(・・・・)する遅さだった。


(欠伸が出るくらい遅いパンチだ。アイツは今まで、こんな攻撃ばかり見ていたのか? それとも俺が…化物になったのか?)


 内心、自分自身の正体を疑いながらも、修二は一歩後ろへ下がっていた。


「調子に乗ってるわりには避けるだけかよ!」


 彼女は修二が避けた事により、勝機を見出だしたのか調子付いていた。そのまま、連続パンチを繰り出していた。

 その勢いで修二は壁まで追い込まれ、危機となっていた。


「くたばれ!」


 彼女が拳を頬へ目掛けた所、修二は右手で止めた。

 右掌はグローブのゴムが焼かれる音、焦げる匂いの異臭が耳と鼻につんざく。が、修二はガッチリと拳を力強く握って捕まえていた。


「早く離しやがれ! お前の拳が使い物にならなくなるぞ!」


「…成る程、俺の『覇気』は…こんな事もできるのか。」


 暫くすると焼かれる音や異臭は、みるみると収まっていた。

 それは修二が所有する『太陽の覇気』が熱を吸収し、太陽の力となっていたのだ。


「な、なんで!?」


 みるみると自分の力が無くなっていく事を感じた彼女は、驚愕するしかなかった。


(神崎忍(アイツ)なら右腕と左足折るかもしれねぇけど、それは可哀想だからデコピンでいいか。)


 修二は左手をデコピンの形で、彼女の額へ当てた。そして修二は軽くデコピンした。

 軽いとはいえ、修二による強烈なデコピンなので意識を失った。


「…気絶させる気なんてなかったんだけどな。まあいいか」


 そして四人を放っておいてホテルへ帰ろうとした。が、思い止まったのか、すぐに立ち止まり気絶させた彼女をジッと見ていた。


「…俺も人の事は言えねぇからな…本当にしょうがねぇな」


 修二は焼き焦げたアロハシャツを拾い、彼女を肩へ抱えて、南雲が待つホテルへと帰って行ったのだ。


「それで上半身裸で、新宿の町を麻袋に女子高生を積めて背負って帰って来たと?」


 南雲はホテルのベッドへ深く座りながら、修二の話を最後まで聞いていた。その反応は文字通り、呆れと驚愕と怒りだった。

 三つの感情が同時に襲ってきたので、頭を整理させて落ち着かせてた。


「おい、クソリーゼント?」


 南雲は怖い笑顔で修二を呼び掛ける。


「どうした、キモロンゲ?」


 当の本人は何事もなかった様子で尋ねた。


「真夜中で新宿をグローブで上半身裸、女子高生を抱えてホテルへ帰ってくる。これを世間一般で何て言うと思う?」


「…教えてください、学校では習わなかったので」


「あのね、不審者であり犯罪者です。俺は頭おかしい奴と一緒に、寝泊まりする事がストレスになってきます!」


 そして数分後に南雲は落ち着きを取り戻し、一個ずつ解決しようとする。


「まあ、敵と遭遇したのは仕方ない。服が破損したなら、それも仕方ない…だが、敵である女子高生をホテルに連れて帰って来るのは、イカれてんのか?」


 南雲がキレていたのは対決した事でも、上半身裸で帰って来た事でもなく。敵である彼女を連れて来た事に対して憤慨していた。


「…それは俺も軽率だったな。まあ、大丈夫だ! ロープで縛ってるし、叫ばねぇように口元は布を噛ませてるしよ。」


 そう言った修二を信じられないのか、南雲は麻袋を取っ払った。そこには手足をロープで縛れ、口にはアロハシャツの布を噛ませ、涙目で修二に怒りながら、何か訴える彼女がいた。

 そんな誘拐した気分になった南雲は、黙りながら麻袋を彼女へ再び被せた。


「よし、今日は寝よう。冷静に話すのは明日にしないと、頭が破裂しそうだ。」


 最早、南雲は突っ込む事すらせずに思考停止してベッドへ寝そべった。 


「そうだな。」


 今日一日大変だった修二も、ベッドへ寝そべり、部屋を消灯させて、ぐっすりと夢の中へと向かった。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字な意見や質問等があれば教えてください。

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