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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第2章 魔導使い襲来。
74/170

第74話 魔王戦、前編。

再び早く更新できました。

「…それよりよ。これはタイマンなのか?」


 修二はウロボロスと対決する前、疑問に思った事を忍へ聞いた。


「知らん。そんな物は状況見て考えろ、だから右腕を失うんだ。」


 忍は少しは考えたら分かるだろという、呆れた表情で修二を罵倒していた。


「あぁん!? 初めから全力で戦わず、肋骨折ってる天才さんが、何をおっしゃってるのですか?」


 忍の態度にムキとなり、修二は挑発的な行動で返答していた。


「じゃあ、今ここで五年前の決着をつけるか? まあ、絶対に俺が勝つに決まっているからな。」


「今すぐにでもやってやるよ!」


 短気な二人は今すぐにでも喧嘩しようとしていた。が、二人の間から物体が飛来してきた。

 二人は息ピッタリに飛来してきた物体を片手のみで、素早く粉砕したのだ。

 そして二人は誰が喧嘩の邪魔をしたのか、睨み確認する。


「貴様等、舐めているのか!」


 流石の自分勝手に喧嘩し始めた二人へ、業を煮やし、攻撃を仕掛けたのはウロボロスだった。


「うるせぇな。今、コイツにキレてんだ。邪魔すんじゃねぇよ。」


「許さん! 人間!」


 ウロボロスの身体は、みるみると変貌していったのだ。胴体は天井まで届きほど大きくなり、皮膚は鱗に覆われ、手足の爪は鋭く生え、顔は竜と化していた。


「…あのさ、実際に姿が変わる所を見たけど…意外と気持ち悪いんだな。」


「バイオハザードとかやってたら、その手の物は多いぞ。ゲームの進歩ってヤツだな、でもリアル過ぎるのも考え物だな。」


 吹雪と南雲は無気力な表情で、戦闘中なのに呑気にもゲームの話をしていた。


(皆、緊張感ないな。)


 そんなグダグダな空気と状況で、輝は苦笑いするしかなかった。


(やはり、ウロボロスの条件を飲むべきだったかもしれない…。)


 そして今更ながら、四人を見て不安に駆られていたアルカディアだった。


「じゃあ、どっちが早くウロボロスを倒すか勝負だ。負けたら一発芸だからな!」


「オーケー、じゃあやるか。」


 そして修二と忍は素早く移動し、魔王と戦闘開始した。

 手始めに、修二がウロボロスの右太股へ移動。忍は左肩へと移動した。


「くたばれ!」


「倒れろ!」


 猛烈な殺気立ちで二人は、ウロボロスへ同時に攻撃をした。修二は右ストレート、忍は右キックで仕掛けた。

 右太股の骨は粉々に砕け、肉は一瞬とミンチになっていた。左肩は骨ごと切り裂かれ、左腕は吹っ飛ばされた。

 そしてパンチとキックの連打がウロボロスを襲った。


「な、何ッ!」


 不意打ちを喰らったとはいえ、致命傷なのは変わりなかった。そして…


「このまま肉ごと消滅するまで殴り続けてやるぜ! このクソデカ蜥蜴野郎!」


「潰れる覚悟はあるか、この魔王かぶれのクソ悪魔が!」


 この二人の行動を見た。第三者は複雑な気持ちだった。

 もはやイジメに近い攻撃ばかりで、相手は一向に反撃させてもらえなかったからだ。

 それもそうだった。二人の瞳は狂気に満ちて、笑顔が魔王らしく、表情が生き生きしていたからだ。


「くたばれ!」


 そしてトドメの一撃をウロボロスへ与えた後、反撃を警戒し、急ぎ下がり様子見で待機していた。

 二人は沈黙したまま、ウロボロスへ目を向けていた。

 肉塊となり果て、原型をとどめず、タンパク質としての塊だけだった。

 だが、今までの戦いを通じ修二と忍は確信していた。“ウロボロスはまだ生きている”と。


「…確かに、この実力ならば『魔導使い』を倒して進んで来たのは納得する。だが、それだけだ! その程度では私を殺すことなどできぬ!」


 話しながら肉塊はみるみると再生し、ウロボロスの身体は数秒後に完全復活していた。


「…今までの奴等は再生なんて見せなかったのに、コイツだけは再生すんのかよ。」


「…裏がありそうだな。品川、力尽きるまで攻撃できるか?」


 ウロボロスに何かある(・・)と感じとった忍。そして修二へ妙案が浮かぶまで攻撃してもらおうと考えていた。


「俺の体力次第だ。」


「安心しろ、初めから全力で戦えなんて言ってない。そもそも全力で倒せたなら、こんな苦労なんかしなくてもいい。後ろの連中を使って、体力をキープしながら戦え。」


「…信用していいんだよな?」


「どっちでも構わん。けど、他に手があるならソレにするか?」


「無い!」


 さっきまで疑心暗鬼に、忍を疑っていた本人は“策は無い”と自信満々で返答していた。


「だったら、さっさとヤって来い。」


 修二の無茶苦茶な態度に心底呆れはした。が、持ち前の対応力で仕切り直し、疲労しながらも修二へ命令した。

 そして忍は密かに、散々振り回されたアイツ等(吹雪達)も大変だったんだろうな。と、確認するため顔だけ振り向いた。


「なあ? この建物の建築費って幾らぐらいなんだろうな?」


「知らん。それより先週に貸したAVを早く返せ。」


(…凄く緊張感ないね。)


 呆けた状態で吹雪は城の金額が気になり、南雲はTPO関係なく平然と返却を要求、輝は苦笑いを浮かべて心配する。混沌な空気の状態だった。

 やはり、コイツ等を同行させる事態が間違いだったのではないのかと、今更思っていた忍だった。


「おーい! 吹雪、キモロンゲ、輝さん。戦闘に参加してくれねぇか?」


 そして早速、忍の作戦通りに実行しようとする為、三人へ近づく修二だったが…。


「ふざけんな! 誰がテメェと組んで戦えだと!? このクソリーゼントが!」


「あぁ? 今、空気読めよキモロンゲ。あのクソ忍が、何かくだらねぇ事を思い付いたから、実行しろって渋々協力してやってんのに、テメェだけは大人になれねぇのか?」


 そして慣例行事なのか犬と猿の喧嘩が始まったのだ。


「大人になる、ならねぇの話じゃねぇんだよ。あのボケカスクソ嫌味、神崎忍の命令通りに従うのが気に喰わねぇんだよ。」


「俺だって嫌に決まってんだろ。あのボケカスクソアホバカ自己中、神崎忍に従うのはよ。」


「あぁん!? だったら断れよ。よりによって、あの自己中、嫌味、童貞、最低三原則の塊。ボケカスクソアホバカ、神崎忍の提案だろ? 少しは疑えよクソリーゼント。」


「だったら良い案があんのか? だったらテメェが…見下し、残念イケメン、マザコン、ウンコの塊。ボケカスクソアホバカ、神崎忍に抗議しろよ。キモカスボケアホロンゲが。」


「お前等、段々と神崎の悪口が寿限無で雑になってんぞ。それに品川は最後でつけ加えてるし…。」


 そこへ割って入ったのが吹雪だった。半ば呆れて突っ込んでいた。


「うるせぇ! このウンコパーマ!」


 犬と猿は同調するように、吹雪へ悪口を返答していた。


「なんだとテメェ等! よ~し、分かった。そこに並べ! 氷の彫刻にしてハンマーで粉々にしてやるからよ!」


 血走った目で吹雪は金槌を取り出し、二人へ殺意剥き出しにしていた。


「まあまあ、じゃあ僕の頼みだったら聞いてくれる?」


「輝さんが、そう言うなら…。」


「輝さんなら仕方ないな。」


「輝さんだったら良いか。」


 三人は落ち着きを取り戻し、輝に従うのだった。

 忍はここまで長い悪口を言われた事は無かった。が、そんな物は気にせず集中していた。

 けれど、背後から嫌悪感がある二人の視線だけは気になり…


「よし! そんじゃあヤるか!」


 あまりしつこかったので、忍は二人の頭にタンコブができる一撃の拳骨を食らわせて、戦闘へ集中させたのだ。


「吹雪くんと南雲くんは後方で支援、僕と品川は前衛でウロボロスを叩く。」


「はい!」


 輝の作戦通りに従い、三人は構えていた。

 そして修二と輝が、ウロボロスへ全力疾走した。今度は修二が上半身、輝は下半身へ手分けして攻撃した。

 ウロボロスは右手を大きく後ろへ引き、爪を振りかざし輝へ攻撃した。


「!」


 それに気づいた輝は、光速移動で回避したのだ。


「喰らえ!」


 その隙に修二は頭上高くまで飛翔し、ウロボロスの頭へ、助走つけた踵落としで攻撃したのだ。

 だが、ウロボロスは怯んだ様子もなく平然としていた。


「…マジかよ。」


 少し力を入れた攻撃だったが、自分以上に平然としている事で、修二はショックを受けていた。


「おい! 俺達が囮になるから、その隙に攻撃しろ!」


 そこに吹雪が地面と空中を凍結させた。それが道となり、吹雪はアイススケートの感覚で滑りながら移動していた。


「そうはいくか!」


 早速、ウロボロスは吹雪の作戦を壊そうとした。が、全身に痺れた感覚が襲い、これには怯んでいた。


「天才の俺を忘れんなよ。」


 それは得意気な表情で、南雲がウロボロスの足下に電流を流していたからだ。


「ぐう!」


「良くやった、クソハゲ!」


 吹雪は悪口で南雲を称賛し、ウロボロスの周りに大気を凍結させていた。それは綺麗なダイヤモンドダストとなっていた。


「必殺だ! 『自由なき凍結(フリーズン)』。」


 ウロボロスの全身は分厚い氷に覆われ、動く事ができなくなった。


「俺のも喰らっとけよ。『電圧直流』!」


 そのままの技名だが、電気は溶けた氷の水で中まで直接伝わり、ウロボロスにダメージを与えていた。


「ぶっ壊すぜ! 輝さん、ちゃんと合わせてくださいよ!」


「あぁ!」


 修二と輝は遠くから離れた場所で走り、助走をつけた速さでジャンプし飛翔する。

 そして修二は爆炎に燃え盛る右腕を大きく引いた。

 逆に輝は左手を発光させ、修二と同じく大きく引いたのだ。


「『爆炎弾』!」


「『発光爆裂拳』!」


 同時に二つの拳は氷に触れた。修二は拳に膂力を込め、輝は目にも留まらぬ速い拳の連打で殴る。

 そして氷の中では激しく爆発し、肉らしき物が千切れる音まで響いていた。暫くすると、氷は蓄積されたダメージで粉々に砕かれた。

 ウロボロスの肉体も一緒に凍結されながらミンチとなっていた。


「…これで死んだと思うか?」


「忍の時、見たろ? 多分、あんなにバラバラになっても生きてると思うぜ。」


「二人共、危ない!」


 そこに今まで口出ししなかったアルカディアが、油断している吹雪と南雲へ注意喚起していた。が、それは遅かった。


「がはっ!」


「ぐっ!」


 吹雪と南雲に鋭利な物が突き刺さっていた。

 吹雪は右肩、南雲は腹へと深く突き刺さり貫通し、重傷だった。

 そして鋭利の物から徐々に肉体が形成され、ウロボロスは復活したのだ。


「その程度、百年前に味わった事だ。そして対処法も知っている。残念だったな、人間。」


 ウロボロスは爪に突き刺さった。二人を力一杯に壁へと叩きつけたのだ。

 吹雪と南雲は叩きつけられた衝撃で、空気を吐き出し、目前がクラっと揺れた。


「テメェ!」


 それにいち早く気づいた修二はウロボロスへ攻撃を仕掛けた。


「駄目だ! 冷静じゃないままで攻撃しては!」


 必死な様子で輝は修二へ警告する。


「くだらん。」


 そうウロボロスは言葉で一蹴し、迫って来た修二を蹴りあげた。そして修二は天井に埋め込まれた。

 そして無抵抗の修二をウロボロスは両手を大きく後ろへ引き…


「神崎輝、貴様に本当の『爆裂拳』を見せてやろう。『魔王爆裂拳』!」


 無数とも思える拳の嵐が修二を襲った。

 修二はガードできず、全身に巨大な拳の連打を喰らっていた。額、口、頭、頬、腕、足には打撲や切り傷ができていた。

 止めの一撃と言わんばかりに、ウロボロスはアッパーで修二へ叩き込んだ。


「がはっ!」


 修二は内臓が傷つき、激しく吐血した。そして重力で天井から解放され、身体が落ちて行った。

 だが、ウロボロスはこのままで許さないのか修二へ止めの蹴りの態勢で、玉座まで蹴飛ばしたのだ。


「品川!」


「…ク…クソ…リーゼント…。」


「…品川…。」


 そして二人は痛みで耐えきれず意識を手放した。


「ウロボロス!」


 流石の温厚な輝でも怒りを露わにし、力強く一歩を踏み出した。が、それは忍に阻まれたのだ。


「に、兄さん!」


「…やっぱ分かんねぇ。色々と考えたが、コイツは閻魔光みたいに魔力で再生するのは理解している。だが、そう簡単に早く再生するのが引っ掛かっていた。」


「それは魔王だから…。」


「本来、悪魔でも魔王でも再生する時間に、俺達が次を仕掛ける余裕がある。だが、コイツのは異質すぎる。まるで時間が逆行してるみたいにな?」


「ほう、そこまで考えておきながら犠牲者を出したな? 神崎忍。」


「…輝、閻魔が来るまで時間を稼ごうと思っていたが。コイツの謎を解くまで戦わないといけなくなった。だから久し振りに、組んで戦うぞ。」


「…本気の神崎兄弟(・・・・)を見せるんだね?」


 組むという言葉を聞いた途端、輝は落ち着きを取り戻し、神妙な面持ちで尋ねた。


「あぁ。悪魔でも震え上がらせた兄弟のコンビネーションの復活だ。久し振りだからと言って、油断するなよ。」


「…分かってるよ。じゃあ、やるよ。」


 忍と輝はシャツをビリビリに引き裂き、上半身裸となっていた。


「『闇帝の翼』!」


「『光帝の羽』!」


 忍の背中からは闇で形成された漆黒の翼。

 輝の背中からは光で形成された光明の羽。

 つまり、この状況は神崎兄弟が本気になった証拠だった。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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