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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第2章 魔導使い襲来。
72/170

第72話 ケジメの取らせ方。

久し振りの更新です。

 輝達が鞍魔と戦闘している最中、閻魔一行は十字架に拘束され、瀕死のクロードと対峙していた。


「言い分があれば聞くぞ? まあ、俺は納得してもコイツ等が納得しなければ、俺にも面子っていうものがある。親分としてお前を処理(・・)しないとな。」


 閻魔は玉座で足を組み、クロードに対して見下しながら嘲笑い説明していた。これから起きる結末を。


「…ならば早くすればいい。どうせ、ここにいる連中は会長の力に屈服した愚かな連中だ。そんな奴等に殺されるよりは、アンタの方がマシだ。」


 圧倒的な力の前なのか、それとも策があるのか、クロードは愚鈍にも閻魔へ挑発していたのだ。

 そんな挑発に対しても、閻魔は顔色一つ変えず続ける。


「…因みに聞くが、お前は何の罪で裁かれると思っている?」


「…人間相手に魔界の植物を売って資金集めしてたからですか?」


「それは一部だ。覚えてないとは言わせないぞ、お前が…大事な組員を一人殺し、更には一般人を巻き込んだ。」


 そこまで調査していたのかとクロードは内心、閻魔の調査力を甘く見ていた。


「まさか、俺が証拠もなく決めつけで裁きに来たと思っていたのか? ふざけるな、そんな素人のやり方で、会長の座まで登り詰めたと思うか?」


「…アンタは出生が異質だからな! アンタの力は魔神と神、その両方を受け継いだ。謂わば特別扱いの存在だ。」


「ほう、特別? そこまで啖呵を切ったからには何かあるんだろうな?」


「噂じゃあ、前任会長を力で屈服させて、いきなり次期会長になった話じゃないですか。そんな脅迫が許されるなら、俺とアンタがやってる事は変わないでしょう。」


 クロードの結論を最後まで聞いた。閻魔は顔を俯かせて静かに笑っていた。


「な、何が可笑しい!」


 馬鹿にされていると感じたクロードは苛立ち、閻魔へ問いかけたのだ。


「これが笑わずにいられるか? 俺がチンピラみたいな行動で勝ち取った? それができたら苦労なんかしねぇよ。」


「…嘘だな。二つの力を持っているなら可能な筈だ!」


 まだ納得していないクロードに対して、閻魔は笑止し真っ直ぐと見ていた。


「前任の会長。東郷(とうごう)甚太郎(しんたろう)三代目会長は現金と宝石が好きな()だった。あの人がいた時は莫大な資金は魔界連合にはあった。」


「……。」


 流石のクロードも、ここは黙って話を聞くしかなかった。


「そんな莫大な金も俺が全部飲み代に使って消えた。まあ、そんな話は置いておいて…俺が成り上がったのはゼロから金を集め、会長に経済力を見せて次期会長に決まったからだ。」


「そ、そんな事がある…わけ…アンタに…経済力が?」


 クロードは悪魔界で今世紀最大の驚きを見せていた。

 普段は飲んだくれ、魔神と神という特別な存在という立場で君臨していた男が、金を稼ぎ、のし上がった事にだ。


「前任会長が実現できなかった()を俺が実現させたからだ。」


「夢だと!? ならば、その会長が叶えられるはずだ!」


「…無理だった。もう、その時会長には時間がなかった。だから、時間もあり暇な俺が生きてる(・・・・)間に実現させた。」


「待て! 生きてる(・・・・)間だと!? 前任会長は悪魔なのでは…。」


「…普通の人間だ。九十代まで生きて、ポックリと笑いながら逝ってしまった。あの人の夢は極道組織を統一する事だ。けれど、極道っていうのはやってみて分かったが、一癖二癖もある奴等ばかりだ。」


 閻魔はクロードへ語りながら、玉座から立ち上がり部下の一人に近づいた。

 そして木筒らしき物を部下から受け取り、クロードの前へ歩き立ち止まった。


「さてと、お前も極道の端くれなら、片付けるべき事は始末しないとな?」


 部下はクロードを十字架から解放し、抵抗させず跪かせた。


「まあ、やり方は人間と同じだ。ケジメとして小指を詰めるだけだ。普通はノミと金槌で小指を切断するが、普通じゃない俺達には“封魔のドス”で切り落とす。」


 淡々とした表情で部下は、まな板をクロードの目前に置いた。


「自分の意思でやれ、俺達は見てるだけだ。何分でも何時間でも数日でも待ってやる。お前が小指を詰めるまで、ここを動くつもりは毛頭ない。」


 鞘から鋭い鋭利な刃物を抜刀し、クロードの目前へ投げたのだ。

 クロードの表情には緊張が走り、額から汗が流れ落ちる。それは“封魔のドス”でケジメをつける行為に、怯えている様子だった。


(ここでケジメをつければ命だけは…助かる。だが、そうすると(・・・・・)俺が助かる未来はあるのか? まだストックにも余裕がある命で逃げるか? それとも、ここは素直に従って落とすべきか? …ふざけるな、なんで閻魔光(コイツ)の命令に従う必要がある! それならば道連れにして死んでやる!)


 死を覚悟したクロードは閻魔を道連れにしようと、“封魔のドス”へ手を伸ばした。

 そして、まな板の中心に左小指を置いた。


「…今日の晩飯は何がいい?」


 閻魔が隣にいる部下へ他愛のない話を語りかけた瞬間。

 その隙を狙い、クロードは勢いよくドスを掴み取って走り、閻魔の腹へと深く突き刺した。


「油断したな、これで貴様は普通以下の人間だ! 殺れ!」


 クロードの命令と共に部下達は拳銃を取り出した。そして一斉に閻魔へ容赦なく射撃した。

 閻魔の体は次々と銃弾が貫通し、遠くまで見える穴が開いていた。


「“封魔のドス”は文字通り、魔力を封じ込める魔具だ。いくら化物みたいな魔力を持っている貴様でも、致命傷は避けられないだろ!」


 勝利という愉悦と慢心に浸り、油断している時。

 一斉に射撃していた部下の動きが、突然ピタリと停止した。


「ど、どうした!? 何故、止まる!」


 急停止した部下に驚きを隠せなかった。


「…あ~あ、急に裏切るから俺の酒を運ぶ奴がいなくなった。」


 なんと風穴だらけだった、閻魔は平然とした様子だった。

 そして言葉と同時に、部下の首から血液がサラリと流れ落ち、頭が地面へと転がり落ちた。

 体も一緒にバタリとドミノの如く倒れていった。


「“魔界流抜刀術”、『斬首』。」


「な、何故! “封魔のドス”で刺されたのに魔力を放出できる!」


「兄貴のは魔力を放出しなくても、肉体的な力で悪魔を殺す方法を見つけたんだ。」


 修二達を追っていたと思っていた鬼塚が、悠々自適に歩き戻って来て、解説していたのだ。


「…お前さ、ちゃんと命のストックが無くなる寸前まで倒しとけよ。コイツまだ余裕ある様子で腹刺してきたぞ?」


「すんません兄貴。立場を分からせたかったので手加減しました。兄貴の凄さを分かれば考えが変わるかと思いまして…。」


「まあ、信じるのはいい。その選択肢()間違いではない。だが、礼儀を知らず、不貞とも思わないクズは…処分するしないだろ?」


「…会長がそう言うならーードス抜いてください。詰めさせるんで。」


 そう覚悟を決めた鬼塚が告げる。と、閻魔はクロードを蹴り離し、無表情でドスを体から引き抜いた。そしてドスを鬼塚へ投げ渡す。

 飛翔するドスを鬼塚は淡々と受け取る。


「…少しの我慢だ。」


 鬼塚は倒れているクロードを拘束し、押し付け、まな板へ左小指を置く。

 クロードは体を暴れさせて抵抗する。が、鬼塚には効果なかった。


「運が良ければストンと小指が落ちる。まあ、暴れたら色んな所が切れたり落ちたりするからな。」


 そして鬼塚は徐々にドスを小指の関節へ虜力を込める。すると血が滲み出て、クロードは痛みで絶叫する。

 数分後にクロードの小指は落ち、痛みで悶えていた。


「…兄貴、お納めください。」


 鬼塚は素手でクロードの小指を拾い、閻魔へ献上していた。


「…布とか準備しとけよ。」


 閻魔は懐から布を取り出し、クロードの小指を包み込んで仕舞う。


「さてと、極道としてのケジメは終わりだ。ここからは個人的な怨みだ。若頭補佐を手に掛けた事は、魔界連合へ大いに損害を与えた。だから、今ここでーー消す。」


「ま、待って…ください。ちゃ、ちゃんと…弁償を…。」


「もう遅い。チャンスは言わずとも何度もあった…『魔神覇斬激(ましんはざんげき)』。」


 小声で必殺技を名乗り、刀で斬る素振りを見せたのだ。

 そしてクロードの視界は何度も細かい線が入っていた。次に体は細かく刻まれ塵と化し、消滅した。


「…さてと、ウロボロスに会いに行くか。鬼塚、ドスを拾って行くぞ。二千年振りの同窓会だ。」


 閻魔は不気味な笑みを浮かべて、ウロボロスが待つ部屋へ向かって行った。

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