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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第2章 魔導使い襲来。
62/170

第62話 ハラハラドキドキなチーム。

今回は戦闘はなしです。が、吹雪の意外な秘密が明らかとなります。

「あのさ、どうやって『魔界』っていう場所に行くんだ?」


 儀式を終えた途端、吹雪が『魔界』の行き方について疑問を浮かべたので尋ねた。


「その点は心配するな、ちゃんと手配している…噂をすれば来たぞ。」


 心配するなと言わんばかりに忍は上空へ顔を向けた。薄暗い夜の空から一機のヘリコプターが、此方へゆっくりと下降していた。

 全員は風圧で巻き込まれないようにヘリコプターから離れていた。ヘリコプターは無事に着陸し、扉が開かれ、白いスーツの男が現れたのだ。


「すみません、遅れてしまって『覇気使い(人間)』の皆様。少々、上と揉めまして…初めまして皆様、私は『天界』で天使長を努めてます。アルカディアと申します。どうぞ、お見知り置きよ。」


 ヘリコプターから現れたのはアルカディアだった。アルカディアは白いハットを礼儀として取り、お辞儀していた。


「御託はいい。さっさと『魔界門』を開けろ、クソ天使。」


 そんな天使も神も嫌いな忍は棘のある態度で接していた。


「まあまあ、開けるのに時間は掛かりますので色々とやり残した事はありませんか? 今からやっておいては損はないですよ?」


 そう告げるとアルカディアは後ろに顔を向けた。ヘリコプターから、もう一人降りて来たのだ。


「…あー面倒くせ。」


 もはやダルそうでヤル気のない桐崎だった。


「桐崎か、何しに来た?」


「俺が用はあるのは…おい、バカ。こっちに来い、いいものやる。」


 桐崎は修二に用事があるらしく近くまで呼び出した。


「なんだよ師匠?」


「『太陽の覇気』を見せてみろ。」


 桐崎から『太陽の覇気』を見せてくれと頼まれたので、右掌に刻まれている。『太陽の刻印』を見せた。


「俺と左手で握手しろ。」


「お、おう。」


 桐崎と修二は左手で握手し、暫くそのまま静止していた。すると左掌が熱くなり、修二は離そうとするが、桐崎はガッチリと掴んでいるので離れる事さえできなかった。


「……終わったぞ。」


 桐崎は修二から手を離し、用事が済んだとばかりにヘリコプターへ戻っていた。

 修二は左掌を異常がないか調べてると『月の紋章』が刻まれていた。


「師匠、これは!?」


 修二は理解できなかったのだ。桐崎が自分に何をして、『月の紋章』の意味はどんなのかと理解できなかった。


「俺が所有していた『月の覇気』だ。『太陽の覇気』を所有している。お前が使うべき『覇気』だ。」


「アンタ、『覇気使い』じゃなくなるんだぞ!」


「それでいいんだよ。そろそろ人間に戻る時が来たんだ。俺は普通の人間で生きて死ぬさ、その『覇気』で忍を倒せ。」


 桐崎の願いを聞いて、修二は躊躇した。が、少し考えて、そういう事なら修二は納得し、『月の覇気』を受け入れた。


「お前だけ強化イベントかよ。」


 修二が新たな能力を得た事により、吹雪はゲーム感覚で感想述べ羨ましく思っていた。

 そんな事を思っているとポケットに入っていた携帯電話のバイブが震え、吹雪は誰なのか確認した。

 そうすると吹雪は血相を変えて、皆から離れて電話に出たのだ。


「どうしたんだアイツ?」


 吹雪の謎な行動に不思議がっていた修二。けれど隣で南雲は怪しくニヤニヤしていた。

 南雲は指で修二の肩をチョンチョンと軽く叩き、耳打ちし囁いた。


「え!? マジで!」


「どうしたの?」


 修二の驚愕に反応したのか輝が気になって近づいた。理由を説明するため修二は輝にも耳打ちし教えていた。


「へぇ~なんだか青春だね。」


「どうした?」


 輝の嬉しそうな反応が気になったのか忍も近づいた。輝も忍にコソコソと耳打ちした。


「…アイツ、そんな調子でちゃんと戦えるのか?」


 逆に忍は四人と反応が違い、頭を抱えて呆れ果てていたのだ。そして最後に雅が聞きたそうとしていたので、仕方なく忍も耳打ちした。

 雅だけは忍に耳打ちされた事で、歓喜の表情を浮かべていた。


「た、確かに! そ、そんな浮わついた気持ちで戦えるのか心配になりますね!」


 他人の事が言えない、雅は若干吃りながらも忍と同じ意見を述べていた。

 南雲から雅まで色んな反応を露に伝わった内容とは…美鈴と吹雪は五年間、皆に隠して付き合ってた事だった。


「アイツ、最近付き合い悪いなと思ってたらそう言う事かよ。」


「なんでも『覇気使い戦争』が終わって落ち着いた頃に、吹雪から告白したらしいぞ。」


「なんで南雲くんが知ってるの?」


「口が固そうな相川に、酒を飲ませたら偶然にベラベラと話してくれました。一応、アイツを待っている人もいるって事ですね。」


「この話が皆に知られてると思うとアイツ、穴があったら入りたくなって逃げ出すんじゃないんですか?」


「じゃあ吹雪くんの為にも黙ってようか。」


「そうですね。」


 修二、南雲、輝は吹雪に知らない素振りを見せておこうと誓った。


「雅、嫌いでもやるなよ?」


 すぐにでも邪魔者を排除したい雅にとってのチャンスを早く潰した忍だった。

 雅の足と身体はビクッと静止していた。どうやら本当にやろうとしていた様子だった。


(大丈夫か? こんな『覇気使い(人間)』達で『魔導使い(悪魔)』を?)


 端から見ていたアルカディアは全員の気が抜けた行為に疑った目で見て思っていた。


「心配か? あんな気の抜けた連中に悪魔共を倒せるのか。」


 アルカディアの心配を桐崎は察したのか、尋ねた。


「そうですね。一人は主に対して恨みを持つ者、もう一人はどっちつかずの者。本当に信用できるのでしょうか?」


「忍は分からんが、修二なら大丈夫だ。まあ、気楽に一緒にいてみろ。今回は“最強で最高”のタッグだからスペシャル感はあるぜ。」


 桐崎から安心しろと太鼓判を押され、アルカディアは信用する事にした。


「じゃあ、ちゃんと全部終わったらな。」


 そう吹雪は告げて通話を切り、疲れ気味で全員の元へ戻る。


「お前等、何してんの?」


 吹雪が戻ると全員は何故かよそよそしかったのだ。修二は明日へ向いて口笛を吹き、南雲と輝はじゃんけんしたり、忍と雅に至っては社交ダンスしていた。


「品川、南雲、輝さんには何も言わねぇが。神崎忍よ、それは何のギャグだ?」


「社交ダンスの練習だ。」


「見て分からんのか? これだから浮わついた者…!」


 忍は吹雪が内緒している話を、うっかりと漏らそうとしていた雅の口を急いで塞いでいた。


「…そろそろ行こうぜ、『魔界』によ…」


 腑に落ちない表情の吹雪だったが、気を取り直し『魔界』へ行こうと提案する。


「そうだったな、アルカディア『魔界門』を開けてくれ。」


「分かりました。皆様、少し離れていてください。」


 全員が離れた事を確認する。と、アルカディアは黒い鍵を懐から取り出した。そして空間に差し込み、グルリと回した。

 すると空間に黒い縦線が入り、独りでに大きく開放された。その先は真っ暗で何も見えない空間だった。


「…『魔界』の入口だ。入って少し進めばウロボロスがいる場所まで行ける。」


 謎の空間を分かりやすく説明したのは忍だった。


「では、私が先に行きましょう。もしかしたら敵がいるかもしれませんから用心しておきましょう。」


 様子見としてアルカディアが先に入った。そして数秒後に後から追い掛けるよう忍がズブズブと入って行った。

 次に輝、雅、吹雪、南雲、修二という順番で入って行った。後ろで、心配しているシェリアは全員の無事を祈るように合掌していた。


(…なんだろうな? 『地獄』より大したことがない。『地獄』は嫌な予感と恐怖が降り混ざってグチャグチャな気分だった。けど、『魔界』はシンプルな感じだ…。)


 修二は『地獄』と『魔界』の道を比べていた。『地獄』より『魔界』の方が何も邪魔されず気楽に進めていたからだ。

 暫く歩いていると光が差し掛かり、そこまで辿り着くと外へ出ていた。

 修二は崖らしき場所で、初めて『魔界』を見た。それは『地獄』みたく何も存在しないではなく、森林、山、池、異形な生物が存在し蠢いていた。


「この場所が『魔導使い』と戦う、『魔界』です。気をつけてください、ここは油断すると簡単に死にますからね。」


 アルカディアから注意事項を説明されながら六人は『魔界城』へ向かって行った。


「…来たな! 楽しみだ。『地獄』から生還したんだ、つまならなかったら殺してやるよ。」


 赤い部屋で幻魔は玉座らしき椅子に座り、修二達が来た事を感知し、狂った高笑いで歓喜していた。

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