表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第2章 魔導使い襲来。
35/170

第35話 中分け弁護士。

今回は短いです。

 四月十日、地下鉄の電車内にて…

 朝は人が仕事に出勤する為、すぐに電車は満員となり混雑していた。

 そんな中、一人の中年男性が人混みを利用し、ビジネススーツを着ていた女性に、淫靡いんびな手つきで痴漢行為を働いていた。

 女性は初めてされる痴漢行為で怖くて声を上げられなかった。内心、早く終わってくれと祈るばかりで時間が過ぎるのを待っていた。

 だが、そんな時、痴漢行為を働いている男性の腕をガッチリと捕まえる手があったのだ。


「オッサンさ、それは幾ら何でもヤバイって。」


 その腕を掴んで男性の耳元で囁いたのは修二だった。


「な、なんだね! 君は! いきなり手を掴んできて…むぐっ!」


 修二は左手で男性の口を押さえつけ、喋れなくした。


「良いから聞けよ。今、騒いだって分が悪いぞ? 俺は弁護士だし、アンタの定期券も財布も取り上げた。痴漢した証拠だって押さえてるんだ。ここは俺が仲介人になって穏便に話をしようや。アンタもそれで良いだろ?」


 女性はいきなり現れた修二に対してビクッと反応した。が、修二が弁護士だと確認すると誘いを受け入れた。


「これで成立だ。次の駅で降りるぞ。」


 そして駅に到着し、修二は男性が逃げられないように片腕を拘束し女性と一緒に降りた。

 だが、降りた先には五人の警察官が立ち止まっていた。


「後は頼んだ。」


 修二は男性を裏切るように警察に身柄を渡したのだ。男性は修二の行動に驚きを隠せずにいた。


「どうしてだ! 約束したじゃないか!? 穏便に話を済ませようって!」


「誰が駅構内で話を穏便に済ませるって言ったんだ? 考える事が甘いし、テメェの罪は女性の心を傷つけたんだ。獄中で反省しろ…ったく朝から痴漢なんてしやがって…。」


 修二は気だるげに頭をボリボリと掻きながら駅から出ようとした。


「ふざけるな! オイ! ソイツは俺に暴力を加えたんだぞ! あんなクソ弁護士を野放しにして良いのか! お前等、税金泥棒はエリートの俺じゃなく! あの低能弁護士を…!」


 あれだけ騒いでた男性は修二が目前まで顔を近づけると恐怖で言葉が詰まり、怯えていた。


「悪かったな低能弁護士でよ。そんなに文句があるなら神崎法律事務所まで来い、それか裁判所でも良いぜ。」


 修二の常人とは思えない恐怖のオーラを当てられた男性は老けるように白髪になり、ヘタりこんでしまった。

 修二は興味がなくなった様子で駅の出口へと目指した。


「全く、海道の外は問題だらけだな。」


 改札機から出て、喫煙所に立ち寄った修二は愚痴りながらも懐からジッポライターと銘柄はセブンスターの煙草を取り出す。

 箱から一本の煙草を突き出させ、直に咥え、先端部分にライターで着火する。

 修二は深々と煙草を肺まで吸い込み、口から煙草を離し、紫煙を吐き出す。


「確か、今日は新人の事務員が来るんだったな。急がねぇと…。」


 これからの予定を思い出した修二は吸殻を灰皿に捨てる。


「あの~?」


 吸殻を廃棄している最中、背後から声が聞こえて振り返る。その正体は痴漢されていた被害者の女性だった。


「さっきは、ありがとうございました。私…怖くて…。」


「…これからが大変だぞ。」


「え?」


「被害者のアンタは加害者と対面して慰謝料の申し込みと被害状況を裁判長と弁護士に細かく説明することになる。それに第三者の俺も関わってるから出頭しなきゃなんねぇけど…まあ、それはいいか。大変っていう意味はそう言う事だ。」


「あの…なんだか分からないですけど、本当にありがとうございました。」


 女性は修二に感謝の言葉を残し去って行った。修二もそろそろ会社に向かおうとする。と、駅名を見て、ある事に気づいてしまった。


「…一駅降りる所を間違えた。」


 修二は海道橋に向かう駅を一つ間違え降りてしまっていたのだ。

 仕方ないと思った修二は近くのバス停でベンチに座り、バスを待つことにした。


「最悪だ。」


 会社に遅れるよりも面倒事に巻き込まれ、更に降りる駅を間違え、貴重な時間を潰された事に悪態を付いていた。


「兄ちゃんや、蜜柑はいらないか?」


 停留所で待機していると隣に座っていた老婆から蜜柑が差し出され…


「あ、ありがとうございます。いただきます。」


 修二の機嫌は瞬く間に直り、蜜柑を受け取り筋は取らず、蜜柑の味を噛み締めながら喜んでいた。

いかがでしたか?

もし良ければ、誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

次回は新しい仲間についてです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ