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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第4章 覇気使い四天王。
168/170

第168話 クレイジードレッド対キモロンゲ。

4月の初めての更新。

 先程、南雲が潜り込んだ懐を伊波は更に深く潜り込んでいた。

 体勢が地面スレスレまで低くし、アッパーの要領で左フックを南雲へかます。


(や、ヤベェ! あまりにも威圧感でボーとしちまった! 今からでもガード上げろ!)


 南雲は伊波の攻撃が本能で危険と察知し、素早くクロスガードをした。


「まずまずの万能速度。強度はどうかな?」


 南雲の素早い対応を見て、思わず声に出て褒めてしまう伊波。

 そしてクロスガードと伊波の拳が衝突した。

 南雲の両腕は上空へ舞い上がり、無防備な状態となった。


(う、腕がぁッ!)


 次の攻撃へ対応しようにも腕は痛みで痺れ、下げる事ができなかった。

 けれど伊波は追撃せず、ただポケットに手を入れて待機していた。


「……余裕のつもりかよ」


 その行動が不審に思い、南雲も腕が回復するまで話して時間稼ぎする。


「あぁ余裕だ。今、無防備なお前を倒したとしても当たり前で──つまらねぇからな。だからというより、敢えてそうした」


 伊波のつまらねぇと言う一言と舐めプにより、完全にプッツンとキレた南雲。


「……あぁ、そうかい。だったら、この天才がテメェにやれる事は──弱点を探し出して、嫌がらせする事だ!」


 もう実力では勝てないと知り、ここからは伊波の情報を集め、誰かに知らせる作戦へ移行した。


(悟った。戦況は早いが悟ってしまった。壁が分厚すぎる。今というより、暫くは乗り越えられそうにないベルリンの壁だ。崩壊させようにも、強い権力も持っていない。クソリーゼントみたいに化物みたいな力なんて持ってない……だったら貧乏くじでも構わねぇ。テメェに嫌がらせできるなら、深く噛みついてやるよ)


 まるで最悪な悪戯するような子供の表情を向ける南雲。


「よからぬ事を始めるつもりだな? だがいいぜ! 来いよ! ここ最近、クソ共の相手ばっかで飽きてたどころだ! テメェみたいな自称する馬鹿相手してた方が、まだ楽しいぜ! なんでもしてこい! ナイフで腹刺そうが、チャカ持ってきて額をぶち抜こうが──テメェごときに負ける気がねぇからな?」


 決死の覚悟をした人物でも、伊波は驚愕するどころか、寧ろ気持ちが昂っていた。

 そして脳内では、力尽きた南雲をどう料理して殺してやるかだけ想像していた。ちゃっかりとミスした時も考えていた。


「遺言書書いとけば良かったぜ……雷神!」


 学生の頃から、未だ不完全な状態となる電流による強制的肉体強化。

 伊波は別ベクトルで危険な強敵として認定し、自己犠牲しなければ嫌がらせにもならないと判断した。


(コイツを扱うのに、五年間輝さんに付き合ってもらって鍛えたが、俺の成長ごときで制御できる時間が三十分。我ながら泣けてくる俺の天才能力成長速度。けど、今無い物ねだりしてもコイツに勝てる想像なんてねぇよ!)


 体は雷と同じ速度となっており、一歩移動しただけで伊波の背後へと立ち、ハイキックを後頭部へ目掛けて入れた。


「おっと」


 伊波は知っていたかの様に、そしてわざとらしく焦って、前屈みとなり回避した。


雷千連打(らいせんれんだ)


 最初、南雲から名前の案として出てきた。『ライングループ』だった。

 その名前を聞いた輝は微妙な表情を浮かべて、名前をあげるという形で与えられた名前。

 その雷千連打は四肢を巧みに扱い、バランスよく攻撃する。電気を加えた連打。

 当たってもカスっても、電流だけは接触するので、その場で麻痺し拘束できる。神崎輝と一緒に考えた南雲のスタイルだ。


(……この電撃に当たると麻痺確定だな。流石、雷神っていう形態の名前であるな。でも、ちょっとだけ──)


「自分のスタイルじゃねぇから、全然つまらねぇな?」


 それは完全なる図星だった。

 けれど、南雲が異質に感じたのは南雲オリジナルじゃない所に気が付いた所だった。


(嘘だろコイツ!? 普通、よく観察しなきゃ癖とか分からねぇだろうが! この数秒間で分析するって……いや、可能性はある。弱点を探れるなら──聞いてみる(・・・・・)か)


 ある疑問が浮き彫りとなり、南雲は試したくなった。


「……どうして分かった?」


 話を聞きながら攻撃の手は止めなかった。


「気になるか? まあ、そんな気がしただけだ。ただ勘が働いた。それだけだ。残念だったな?」


 伊波は大した弱点ではないと述べる。が、南雲にとっては大きな一歩だった。

 そしてニヤリと笑っていた。嬉しさで隠す気もなかった。


(雰囲気が変わった。イカれたというより、何か閃いたな。さっきの会話から、俺の弱点となるヒントを得たか? まあ、それならそれで俺の知らない事を知れるな。どっちでもいいが)


 そして伊波も南雲が何かしら掴んだのを理解した。これは面白そうだと思い、何を掴んだのか気にはなっていた。

 だが、弱点でも伊波にとって南雲は脅威ではない雑魚としか見ていない為、いつでも勝てると思っている。

 だから、余裕的な笑みが止まらないのだ。


「いつでも気色悪い笑顔を振り撒いとけよ。この天才が、今からする事はテメェの小さい頭で予想できなかった発見させてやるんだからよ」


「わお、それは楽しみ……だったかもな」


 我ながら後悔する卑怯な戦法を取った南雲。

 残念ながら伊波には見透かされていて、簡単にバックステップで避けられた。


「ElectricSpiderWeb」


 突如、いい発音で技名を叫ぶ南雲。地面へ向けてクモの巣状の電気が流れる。


「?」


 だが、伊波は英語の意味を理解してない。が、地面から危機を感じ、跳び跳ねた。


「電磁包!」


 それから間髪入れず、高火力ではないが品川みたくエネルギー弾を放った。


「ほう」


 伊波は浮きながらも即座に反応し、初めて両腕でガードした。

 無事、放たれたエネルギー弾は防いだ。が、ガードは死角となっており、南雲は目前へと迫っていた。

 そして……


「雷千──爆裂拳!」


 足は踏ん張りとして使い、空中に浮かんでいる防御しかできない伊波を両拳を使い、連続殴打する。


(これなら降りる事はできねぇだろ!)


 伊波の回避が凄ければ上空へ逃げさせ、空中浮遊してる間は無抵抗となると考え、南雲は連打で何もさせない手に出たのだ。

 そして雷神の効果も後数分で終了する所だった。


「くたばれ、このクソドレッド野郎!」


 無抵抗を良いことに南雲は暴言を吐く。


「……ちょっとだけ見直したぜ」


「!?」


 南雲にとっては非現実だった。これだけ高電圧の連打を浴びせられ、身体的に麻痺し、喋れる訳もないのに、伊波が話し出した事に驚愕した。


「空中なら確かに俺も避けられねぇな。まあ、それだけの事だ」


 すると伊波は防御を解き、両肘でジーニアスサックごしに南雲の両拳を砕いた。

 砕けた拳から骨と血液が吹き出し、痛々しい姿だった。

 そして無事、安全に着地する伊波。


「ぐっ!」


 あまりにも猛烈な痛みで連打が止まり、後退りしてしまう。


「……なるほど俺の弱点は本能(・・)だな」


 南雲は痛みに耐えながら、何故分かったという怪訝な面持ち。


「お前との戦いで俺の暴力的本能が知らせてくれたんだろうな。コイツは俺を知ろうとしてる。コイツは俺を倒そうとしてない、だから全力を出さないってな具合だ」


「……マジかよ。性能良すぎるだろうが」


「まあ、自然と頭に入ってくるから不快感はねぇが……テメェが俺に対して諦め、全力でかかってこねぇで、生き残ろうとしてる所に不愉快になったがな」


 コレは危険だと南雲は判断した。

 相手は気に入らない事ならば、理不尽な理由で殺してくる相手。そうなれば、生きて帰る事が不可能になる。


(もう制限時間で雷神は使えねぇ、ジーニアスサックも壊れた。逃げようにも両拳が砕けた。しかもコイツの覇気も解明できなかった上、弱点まで教えてしまう戦犯行為……詰みかもな)


「……一応、聞いておくぜ。お前の名前と職業を」


「南雲暖人、職業は無職だ」


 なんの意味のない伊波からの質問に、南雲は抵抗せずに返答する。


「南雲暖人。お前は東京(ここ)にいる半端な連中より天才だと認めてやるぜ。だが、スリーアウトだ。あの赤髪の兄ちゃんから恨まれるが、それはそれで俺を満たしてくれるだろうな」


 それは正に死刑宣告だった。


(さて、どうする。死んだ振りとか通用しそうな相手でもない。カスみたいな残りの覇気を振り絞っても、当たらねぇだろうな)


 南雲は諦めの境地へ達していた。


「じゃあな……」


 そろそろ始末しようとしていた伊波。すると突然背後から、炎を纏った岩石が飛翔した。

 伊波は見ずとも回避でき、振り返った。


「今度は私が相手だ! クソドレッド野郎!」


 それは憤慨した木戸だった。

いかがでしたか?


もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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