第150話 大阪問題児と連合。
書けました。ちょっと忙しくて遅れました。
「と、とりあえず落ち着いて冷静になりましょう! ここで南雲さんが焦ったら余計な被害が…」
「俺は……天才だ……天才なのだ……」
起動させまいと完全を狙っていた南雲だったが、失敗してしまったというショックで自信喪失していた。
三角座りし縮こまっていた。
「あのアホパーマさんは!」
「いえいいえい! 来世では金持ちのボンボンに生まれて、こんな馬鹿共とは会わず暮らしたい!」
吹雪はもはや落ち着くどころか変なテンションとなり、現実的逃避までしてしまう始末。
「あの……ミヤービに似ている人」
「ミヤービって言うな! 私だってなミヤービじゃなくミヤ子とかミヤミっていう名前にしたかった!」
雅だけ灰皿は手放さず拮抗状態のまま、アイドルに対しての不満を泣きながら吐露する。
(この中でマトモな人がいねぇ!)
木戸も木戸で大変だった。
こんな纏まりがない状態、更に爆弾のタイマーまで作動し残り時間三分、頼みである品川も起きてこない。
(詰みましたコレ。もう無理です!)
遂に木戸までが諦めてしまった。
ここに神崎忍がいれば場は纏まる筈なのだが、今はここにいない為、ストッパーがいないのだ。
「うるせぇな、こんなんじゃおちおちと眠れねぇだろ」
そこへ休んでいた品川が大きな騒ぎに駆け付けて来た。
「あ、品川先生助けて~」
もうこなれば品川に頼るしかなかった木戸。
「酷い阿鼻叫喚だな。おい、うるせぇよアホパーマ」
そう言って品川は吹雪の額へ容赦なく頭突きをかまし、大人しくさせた。
「えー!」
あまりにも予想外な行動に出たので木戸は絶叫で驚く。
「おい木元。あんま騒いでると輝さんに言いつけるし、柏木さんにも報告するぞ?」
そう言われた雅はシュンとした表情し、大人しくなった。更に灰皿も手放した。
(何、輝さんっていう人……しかももう一人聞いたことのない名前が!)
そして最後に自信喪失し、ぶつぶつと何か呟く南雲へ向かい……
「……あーあ、天才って自称しても結局その程度だったんだな。呆れたぜ」
品川は蔑んだ目で南雲を罵り始めた。
「ちょ、ちょっと品川先生……」
木戸は追い討ちする品川を止めようとするが、冷静となった吹雪に肩を捕まれ静止される。
「これだったら五、六発殴られてもいいから輝さんと一緒に来れば良かったぜ。輝さんの方が賢いし、なんでもできるし、お前より強いからな~」
更に個人名を出し、品川は煽る。
「――輝さんじゃなく、シェリアちゃんでも良かったな。シェリアちゃんおっぱいデカイし、社長だし、優秀なスーツ作りの天才だし、上品だよな~」
シェリアの名前を出したが、耳をピクッと動かしたぐらいだ。
「美鈴ちゃんでも良かったな~頭いいし、おっぱいは微妙だけど性格いいし、夢に走る姿は可憐だよな~おっぱいは微妙だけど」
「おい、テメェ品川! 南雲しばく前に先に殺してやろうか!」
付き合っている彼氏にしてみれば気分いい話ではない。が、ニヤニヤしながら雅が羽交い締めして止める。
そして南雲の耳がピクピクと動く。
「あ、そうだ。相川でもいいよな! 相川は頭いいし、気が利くし、お前より強いから相川がいいな。うんうん、なんで気づかなかったんだろうな~! 別にお前がパートナーじゃなくても検事だから法律の仕事だもんな! 検事と弁護士のタッグって格好いいな。相川も天才だからな!」
「ふざけんな相川ぁぁぁぁぁぁッ!」
怒りで南雲は立ち上がり、理不尽にも相川の名前を絶叫する。
「あ、復活した」
今まで深刻に慌ててた吹雪が呑気なことを言っていた。
「おい、クソリーゼント! 相川の野郎は何処にいやがる! 勝負してやらぁ! 相川出て来いコラァ! 今日こそ大学での勝負をつけてやる!」
「相川の奴も南雲を奮い立たせるのに利用されて可哀想だな」
腕組みし吹雪は相川に同情していた。
一方その頃、煽りに使われた相川は……
(……なんだろう? 大学に残した遺恨が今になって起こされた気がするのは?)
自宅で書類に目を通していた時に悪寒が走っていた。
そして場面は戻り……
「何処だぁぁぁぁぁッ! 相川この野郎ぅぅぅぅぅッ!」
怒り狂った南雲は風呂場から飛び出し何処かへ去った。
「不味いな。南雲がいねぇと爆弾の解除できねぇぞ」
「ったく。おい吹雪この爆弾を一度凍結させろ。電池が一瞬だけ凍れば、ドレスから無理に引き離しても爆発することは……僅かに無いと思う……」
品川も自信なさせげに提案する。
「思うだけ!」
「しょうがねぇだろ! 映画とゲームじゃそうやってたんだよ!」
品川の爆弾解体は映画とゲームでの知識しかなかった。
「映画とゲーム!? 現実はそう上手くいかないんですよ!?」
「まあ失敗したら俺の覇気で熱は吸収してやる……破片だけはゴメンだけど飛ぶわ」
「死なばもろともだ」
「アンタは現実から戻ってこいミヤービ」
虚空な目で雅は木戸の肩に手を起き、既に諦めろと伝えていた。
流石の木戸も憤り突っ込む。
「作戦はこうだ。吹雪が爆弾を凍結させ、雅が風を覆ったクナイで配線を切り、俺達は家から脱出する。以上だ、何か意見ある者は?」
「「「ないでーす!」」」
「よし、じゃあやるぞ。まず吹雪が爆弾を凍結させる。両手で覆ってな、刺激すると爆発しては駄目だから慎重に触るぐらいにな」
「お、おう!」
吹雪は震える手で慎重に爆弾へ触れて一瞬にして凍結させた。
すると品川の言った通り爆弾のタイマーは停止した。
「雅、今だ切れ!」
そして雅が風を纏ったクナイでドレスに絡まった配線を切り裂いた。
配線を切った事により予備電源が入り、カウントダウンが再開した。
「よし逃げるぞ!」
そして四人は風呂場から脱出し、急ぎ部屋から出た。
「爆弾の範囲は分からねぇがとにかく離れようぜ」
品川は一刻も早く爆弾から離れようと提案し、三人は同意した。
「でもさ、他の住人はどうするの?」
そこへ一般人が爆発に巻き込まれないか心配になった木戸。
「安心しろ、いつも敵がいないか私が全てのフロアを確認した。隣の部屋は旅行で暫くは留守、下の階は家族で外食する予定があるらしく不在。爆発するなら、この少ない時間では帰ってこないから大丈夫だ」
雅は事前に各フロアを隅々まで調査していた。
この情報が正しければ誰も被害がでずに終われるからだ。
「よし、ここは雅を信じよう」
「おい、雅やで?」
「雅だから信じられる。輝さんと忍が側近として置いてる女だ。たまにポカやらかすぐらいだろ? それに俺達は今は協力関係、ここで互いに喧嘩しても仕方ねぇだろ?」
「……わーったよ。ったくテメェは昔から変わらねぇな。おい雅、ちゃんと上司として仕事してくれよ。お前の情報だけと行動力が頼りなんだからな」
「……当たり前だ。私はコレでも忍者メイド長、お前等とは暫く協力関係ではあるが、全力でサポートぐらいはしてやる」
「それでこそ雅だな」
一時的にだが吹雪から、雅の信用を得られたことに品川は喜ぶ。
「よし、だったらここは危ねぇから早く……!」
「……おい雅。今のは気づいたか?」
「いや、全くだ。というよりコイツは……人間なのか?」
品川が何か気付き、連鎖し吹雪と雅も気づいた。木戸だけ置いてきぼりされていた。
それもそのはず、品川達の目前に廊下で堂々と立っているフードを被った奴がいたのだ。
「……後二歩前へ進み扉から離れろ。俺は三度は言わない」
それは魔界連合十三総長で三番総長の黒政だった。
だが、そんな身分を知らない四人にすれば怪しいフードの男が、意味不明な事を告げている事に、誰も耳を傾けないだろう。
「どうする? アイツの感じ……悪魔みたいな感じやで」
そして見に覚えのある感覚。半年前に命懸けで戦った悪魔のオーラ。
「三度は言わない。これが最後だ、二歩前へ進めて、そこの扉から離れろ。もし従わなければ……実力行使だ」
冗談ではない殺気、威圧、恐怖の三つがソコにはあった。
経験が浅い木戸には理解できないが、品川達には違っていた。
何も手が出せない、蛇に睨まれた蛙だった。
そして品川は木戸の手を引っ張り、二歩前へと進んだ。
吹雪と雅も品川の真似をして、二歩前へと進んだ。
「……そろそろか」
四人が前へ進み終えた瞬間、黒政は呟いた。
すると背後から一華の部屋は爆発し、ドアを吹き飛ばした。
威力は大きいが燃える物が無かったのでボヤで済んだ。
木戸だけは初めての爆発に驚愕していた。そんな興奮の中で三人だけは青い表情で黒政を見ていた。
「閻魔会長が呼んでいる。これから車へ乗り、そこで神崎忍の状態、予定をお前達に伝える。俺に三度言わせるな。一度か二度で理解しろ」
魔界連合の者でも品川達にとっては生きた心地しなかった。
いかがでしたか?
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