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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第4章 覇気使い四天王。
131/171

第131話 中分けの応急措置。

また刑事さんと行動を共にします。

「ねぇ? 結構、適当に走ったけど何処で止まる?」


 ボロボロの車を走らせ、一華は天井にいる品川へ尋ねる。


「あそこのホテルに入れるか?」


「えっ!? でも、あそこは……」


 品川が停車する場所として求めたのは……ラブホテルだった。

 それが気まずくなり、一華は明らかに動揺する。


「一時的に借りるだけだ。このまま運転しても目立つだけだ」


「わ、分かったわ」


 どうか知り合いとかには出会いませんようにと、一華は願いながらラブホテルの地下駐車場へ停車する。


「どう? 歩けそう?」


「少し休んだら回復した……やっぱ無理。悪い、支えてくれるか?」


 車からは降りれたが、立つ膂力は無く、一華に支えられて歩く事しかできなかった。


「後、酒あるか?」


「こんな時に飲むの!?」


「ちげぇよ。応急措置と酔っ払いの振りする為だ。酒さえ持ってたら、泥酔したカップルとして見られるだろ?」


「カップル設定でいくの!?」


 品川のとんでも発言に、一華はドン引きし驚愕するしかなかった。

 確かに全身がボロボロで血塗れの男性と付き合う、彼女の方に問題あると第三者からは思われるだろう。


「じゃあセフレにしておくか?」


 セフレの意味すら、ちゃんと理解していないのに品川は適当な事を述べる。


「……カップル設定でいいです」


 屈辱受けるよりは、ここはカップルとして行くことにした。


「後、お酒なんだけど……今日、家で飲もうと思ったストロングゼロならあるけど?」


「結構、度数高いやつじゃねぇか。氷結酎ハイとかスーパードライとか金麦はねぇのかよ!」


 金は持ってる癖に、意外と貧乏臭い物ばかり飲んでいる品川。


「刑事関係って結構ストレス貯まるから……それに今も非現実なことばかりでストレス貯まってる」


「なんか――ごめんな……」


 少し攻めすぎた質問で、メンタルに関わる問題だと発覚し、気まずくなり品川も謝罪するしかなかった。


「後、その上半身のままだと怪しまれると思うから……私のコートで隠して。丁度、冬に近い季節だから」


 更に一華は気を利かせ、品川へコートを手渡す。


「あぁ、ありがとう……肩幅は腕辺りはキツイが、胸はスッキリとしてる……やっぱ女性も大胸筋は鍛えるんだな」


 デリカシーのない男なら興奮して、セクハラ発言ばかりする。が、この男には性欲どころか脳が筋肉に染まっており。

 胸が大きい=鍛えていると、五年前からコレだけは変わっていなかった。


「……あのさ、もしかして品川くんって弁護士だけど――馬鹿?」


「馬鹿だったら司法試験は受からないだろ?」


「そう言うことじゃなくて……あ~なんだろう、この噛み合わない、むず痒い、気持ち悪い感覚はー!」


 もう色々ありすぎて頭がパンクしそうで、最終的には叫んでしまう。


「……なんか俺が巻き込んでしまった所為で、ヒステリックにさせちまったな。今日だけ付き合ってくれたら、もう関わらなくていいぞ?」


「もう、こうなれば自棄よ。だって、このまま貴方を放っておけば無理して、潰れちゃうから最後まで付き合うわ」


 品川は精神的にキツければ、翌日には無関係で終わらせようと、一華へ提案した。

 けれど、今のまま品川を放っておけば知らず知らず内に、いつか本当に消えてしまいそうだったから、お節介が出てきてしまった。

 我ながら、何しているのだろうと一華は内心後悔していた。


「……なんだか昔の鏡を見てるようだな」


 見に覚えのある覚悟に、品川にも少し自覚があるしらしく、背中がむず痒くなり、気恥ずかしくなった。


「何、顔を赤くしてんのよ?」


「いや、ちょっと五年前を思い出してな……」


 まさか五年前に言った事が、今に帰ってくるとは思わなかった。


「さあ行くわよ!」


 もう自暴自棄な一華は気合いを入れ、重い品川を抱えながら、受付へ向かうのだった。

 受付はすんなりと通り、非常口に近い部屋を借り、回転する丸いベッドに品川を座らせ、応急措置の準備をする。


「コート脱いで、傷の様子を見るわ」


「あぁ」


 品川は指示通りにコートを脱ぎ、手渡し、見せる。


「……凄い傷だらけね。凍傷、火傷、刺し傷、切り傷……これで生きてるのが不思議なくらいよ。今まで、どんな戦い方をしてきたの?」


「凍傷は吹雪と喧嘩して、火傷は応急措置として自分でやって、刺し傷はチンピラに不意打ちで刺されたり、切り傷は輝さんを怒らせて……色々とやらかして傷が増えた」


 どうしたら、そんな非現実的な事件と発展し、巻き込まれながら生存できるのか、もう思考を停止させるしかなかった。


「……でも、これに関してはどういう事? この右腕は肩先まで違うし、色も肌色じゃなくて死人の白色、それに脈がなく……氷のように冷たい。でも、ちゃんと動いてる。何の障害もなく貴方の右腕は生きている。これ程の技術は先進国にもないわよ?」


「……悪魔とか信じる?」


 どう説明しようかと迷い、取り敢えず触り程度だけでも尋ねてみることにした。


「幽霊なら可能性ある。けど、そんな神様とか悪魔の宗教戦争みたいな話を信じろって言うの?」


「……じゃあ魔界連合は知ってるか?」


 悪魔の話は信じなくてもいいから、可能性あるとすれば、警察の敵なら知っている人物を上げる。


「えぇ、知ってるわ。あの組織で一番捕まえたいのは伊波一翔。伊波は魔界連合の若頭だから、正体不明の会長と組織図が判明する。それが何?」


「まあ、その……魔界連合の会長から右腕を移植されたんだよな……多分、その反応だと怒られるんだろうな」


 あんな話を聞かされ、こっちは半年前から大物と知り合ってましたなんて聞かされれば、誰だって怒るに違いなかった。

 その通り、一華は怒っていた。


「なんでソレを早く言わないのよ!」


「いや、だって知らなかったし……俺と会長は別に敵対関係じゃないから……それに右腕の件は刑事さんが聞いたんだろ?」


 品川が言っている事は最もであり、一華はここで我慢をして、治療を始める。


「じゃあ魔界連合の会長さんが、なんで貴方の右腕を移植する事になったの?」


 若干、ふてくされているが。右腕を移植する原因となった話へ戻る。


「……俺が無茶して、わざと捨てたんだよ」


「どうして?」


「相手をマジで殺すつもりでやった。折れた右腕なんて治す暇なんか無かった。だから、悪魔に破壊させて、新しい腕を作って……」


「……悪魔に人権があるかどうか分からないけど、本当に殺意を持って戦ったのね」


「あぁ、俺は悪魔に一度負けているから二人に明確な殺意(・・・・・)を持って、戦えとアドバイスされた。それで無茶してでも勝ちたかった」


 そんなイカれた理由に、自然と一華は品川の左頬へ強烈なビンタを喰らわせた。

 ビンタされた品川は呆気にとられていた。


「……本当はグーで殴ってやりたいけど、怪我人だからコレで勘弁してあげる。私がムカつくのは、そんな簡単な理由で、命を投げ捨てる戦いをするアンタ達が嫌い」


 包帯とガーゼを強く握りしめ、震えながら理由を述べる。


「下らないわ。もっと自分を大切にしたらどうなの? そんな自分を傷つける戦いばかりして……なんなの!? 贖罪? それとも生きてる証拠が欲しいの? 貴方、ちゃんと生きてるじゃない! ちゃんと心臓も脳も正常に動いてる人間じゃない! なんで……自分を大切にしないの? 痛くて、辛くて、何も得られない戦いじゃない……」


 一華は涙を流しながら、膝から崩れ落ちて、その場へ座り込む。

 一華からすれば、品川には何も得られない戦いであり、身を削ってまで手に入れた。

 名ばかりの勝利が気持ち悪く、不快感でしかなかった。


「……悪いな。馬鹿な俺だから、こんな戦い方しかできないんだ。こんな戦い方しか知らないんだ。言い訳するつもりはねぇけど、身を削ってまで勝たなきゃ見えねぇ物があったんだ……」


 品川はベッドから降りて、左腕で一華を躊躇なく抱き寄せる。


「えっ!?」


 いきなり男に抱き寄せられる経験が無かったので、一華は恥ずかしさと驚愕で顔を赤くさせる。


「でも、嬉しい。短い時間なのに、見ず知らずの俺を心配してくれて……ありがとう刑事さん」


 ここで品川は一華に礼を述べるのだった。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字や意見や質問などがあれば教えてください。

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