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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第3章 西と東 赤の書編
101/170

第101話 中分けによる『覇気使い』の説明。

品川からの『覇気使い』による説明です。

まあタイトル通りなんですけどね……

「話を戻すとしよう。まあ刑事さんが知りたい手品の正体は『覇気』だな。俺達はそう名称付けている」


「覇気? 気合いとかヤル気というオーラで銃弾を防いだの?」


「いや違う。『覇気』には色々と異なる能力がある。『氷の覇気』なら氷関係の能力が使えたり、『炎の覇気』なら炎関係で用途は様々だ。そしてそのまま、俺達は『覇気使い』って呼んでる」


「じゃあ貴方は『覇気』みたいな物で銃弾を溶かして防いだ訳?」


「まあ、そうなるな……。このミックスサンドうめぇな」


 ある程度の情報を一華へ伝えて、修二はミックスサンドを一口食べて、呑気に感想を述べていた。


「……信じられないわ。そんな空想が現実になる話なんて……」


「まあ、当然だわな。誰も信じねぇし、本当かどうかと分からねぇ――けど、現実に起きてる事は変えねぇような真実だ。諦めて受け入れるか馬鹿みてぇに最後まで抗うかだ」


 一華の受け入れられない心情に修二は意外と冷静で返答する。


「でも、科学的に証明する事はできるわ。右腕に熱気を放つ装置何かを着けて、空中に浮遊する銃弾を溶かしたんでしょ?」


「……じゃあ聞くが、音速にも匹敵するほどの銃弾を数秒で溶かす装置なんてあるのか? まあ、先ずねぇよな? それに装置があったとしても自分自身にも被害がありそうな熱量を操れるか? それも何も変哲もないスーツでよ?」


「そう言い出したら『覇気』という物を出現させる方法もないじゃない?」


 未だに信じていない一華は高圧的な態度で修二へ反論する。

 すると右手を軽くスッと出して、修二は気の抜けた表情で、木戸より早く『覇気玉』を作って見せた。

 そしたら一華が両手で素早く修二の右手を覆い被せ、誰にも見られていないか周りへ警戒し、目玉を大きくさせながら大量に発汗させ困惑し驚愕していた。


「有り得ない……有り得ない……有り得ない……ないない……絶対にない――だって非現実的だもん。人の右手から太陽の輝きをした玉なんて有り得ないから……」


 今起こった現実を受け入れず必死に一華は否定していた。暫くすると再び手を離して、覗いた。

 だが、現実は全く変わらず『覇気玉』がそこには存在していた。


「どうする? 現実を受け入れるか?」


「……ホログラムの可能性もあるわ。だってスマートフォンが開発されてるから、アプリで誤魔化す事ぐらい――」


「じゃあ、触ってみろ。スマホが放つ熱量程度以上の熱さを感じるぞ? 因みに俺の系統は『太陽の覇気』だからな?」


 敢えて『月の覇気』だけは完全に伏せ、一華へ『太陽』の微力ながらの熱さを実感させようとした。


「……」


 一華は恐る恐ると『覇気玉』へ震える人差し指で触れた。そこには温度があり、奥へ差し込むと一瞬でも皮膚が火傷しそうな力も感じた。


「これは現実だ。多分、自分に痛みを与えても夢じゃないし、コメカミに銃を突き付けても死ぬだけだから止めとけよ。俺が他人の痛みを見るのが耐えられないからな?」


 再度、一華へ現実だと認識させ、最後には自害だけはするなとメンタルケアもしていた。


「……そうね。ここまでされたら認知しないといけないわね」


 一華は『覇気玉』から指を離し、メモ帳を持って続ける。

 やっと認めてくれたかと修二は一安心し、一息つくためアイスコーヒーを飲む。


「すみません! アイスコーヒーもう一つお願いします!」


 もの足りなかったのか修二は、その場で店員へ聞こえるよう、お代わりのアイスコーヒーを頼んだ。

 一華は急なお代わりにゲッという衝撃を受けて、止めようにも注文されてしまったので、取り消そうにも、ケチだと思われるのも癪なので大人しく黙ったのだ。


「じゃあ、話続けてもいいかしら?」


 勝手なことされて少し苛立った一華は、修二へ少し強めに話を続けようと伝える。


「あ、あぁ……じゃあ、次は何を聞きたい?」


 少し苛立っている一華に修二は気付き、「俺なんかしたか?」と思った、困惑とした表情ではあるが、機嫌を取り戻そうと次の話題へと移った。


「気になるのは、どうすれば『覇気使い』とかになれるの?」


「どうすれば?」


 考えた事のない質問だったので、修二はキョトンとした表情で返答してしまう。


「例えば、SF映画みたいに何か注射されたり、仮面ライダーみたいに人体を改造手術されたり、もしかしたら貴方は人造人間で記憶が組織によって改善されて、邪魔になる人を始末してるとか?」


 想像力豊かな一華から能力の入手経路が色々と説明される。が、修二は何か勘違いしている一華を見て、微妙な表情をしていた。


「な、なんですか! この刑事、ヤバイなという表情は!?」


「うん、だって実際ヤバイじゃん。いきなり初対面の人間に改造されたんですか? なんていう質問されたら困惑するし、反応に困る」


 確かに突如とは言え出会って日が浅い人物から、アナタ改造人間ですねと言われたら、不快な思いをする。と、修二に説得され一華は気付き、謝罪して落ち着く。


「まあ、答えを言うと俺は人間だし、手術は何回もしてるけど改造された事は一度もない。そこは安心しろよ……」


「そ、そうなのね。ごめんなさい、取り乱して……さあ、続きを話してくれる?」


 普段の落ち着きを取り戻すと、再び『覇気使い』になる方法を探る。


「俺達が確認できてるのは四つ。」


 修二は右手の四本指を立て説明する。


「先天、継承、譲渡、蘇生の四つだ」


「先天と譲渡は分かるわ。その二つの意味がよく分からない」


「じゃあ説明するぞ。先天は生まれつきに備わった者、これは説明しなくてもいいな。継承は、あるべき場所へと向かい『覇気』を継承する事だ」


「いきなりファンタジーになったわね?」


「俺が『太陽の覇気』を継承する時、脳裏から情報が流れ込んできたからな。彼等は継承と言って俺に『覇気』をくれた」


 半年前に塔を一日掛けて登り、修二は『太陽』を継承した。という事を体験談として説明していた。


「私はアナタじゃないから分からないけど……譲渡って、そのままの意味?」


「あぁ、『覇気使い』が別の人へ譲り渡す行為だな。次に蘇生……これに関しては俺の知人が多かった。何かしらの病気と事故で瀕死の状態から復活すると、ごく稀に『覇気使い』になってる事があるらしい。これが蘇生……『覇気使い』になろうと思ってんならやめときな? あんまりオススメできねぇからよ」


 『覇気使い』になることへのリスキーさを説明し、最後にはオススメできないと語った。


「そうね……じゃあ次の質問、その力を他人に行使したことは?」


「……過去に数回程度。その時は小学生だ。中学生になってから教えてくれる人ができたから、他人には絶対使わないようにしてる」


「それを証言してくれる人は?」


「いねぇな。けど、過去に俺が力を行使した証拠もねぇから、この質問は意味ないな」


「……そうね。こんなに『覇気使い』が一杯いるのに名乗りでないのね? 今の現代なら噂程度でパパラッチが来そうなのに?」


「それは知らねぇ。温厚な日々を過ごしたい奴もいんじゃねぇのか? それか待ってる(・・・・)かだ」


「?」


「俺は何時も何かを待ってる(・・・・)。その正体は分からねぇけど、少しでも何かと出会した時、身体が求める。闘争を求めろ、同じ存在と戦って頂点を決めろって、意味分かんねぇ物が教えてくれる。だから、俺も追い求めてるんだよ。『覇気使い最強』っていう唯一無二の称号を……」


「アナタが『覇気使い最強』になったら手錠が幾らあっても足りないわね……それに一般人の私の予感でいいなら聞いてね。確かに今のアナタなら、その実力なら他には負けないかもしれないわ――けど、何時か何かしらの壁に当たるわ。それも『覇気使い最強』なんていう目前じゃなく、小さく分厚く冷たい壁に衝突する。そんな気がする……」


 一華による個人的な意見と予想を語られ、修二は真剣な表情で考えていた。


「……かもな。まあ、その時はその時だ。対策しようにも未来のことは分かねぇし――でも、その時が来ない事を祈りてぇな……」


「……そう。じゃあ質問はこれでお仕舞い。捜査に行くわよ?」


「え? 捜査? 俺、刑事さんじゃねぇよ?」


 突然と一華から捜査と言われて、キョトンとした表情で返答する修二。


「任意同行だから大丈夫。もし今、追ってる人物が『覇気使い』なら協力してほしいわ」


「……夕方までには帰してくれるよな?」


「約束するわ」


「じゃあ、行こうか!」


 修二はお代わりのアイスコーヒーを一気に飲み干し、立ち上がってレジへと一足向かった。


「え? ちょっと! ここは私が……」


「アドバイス料と協力費だと思ってくれや。金銭に困ってる女に金を出さすのは、男として恥ずかしいからな?」


(私の取り越し苦労じゃないの……)


 最初から奢るなら言ってくれと一華は修二を恨むのだった。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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