勝利の為
遊右騎 多寡丸と
遊右騎 阿歩連の兄弟の場合
遊右騎兄弟は十代後半の双子。
兄が多寡丸、弟が阿歩連。
容姿はそっくりだが、見分けがつかない程ではない。
背は高いが、歳に比べ幼く見える。
―――あなたは何故、人を殺したのですか?
兄が語る
「幼馴染の女で南並 波那っていてよ、そいつと付き合う為に弟と競争しててよ」
弟が語る
「昔から、俺も兄貴も波那が好きで、ずっと告ってはいるんだけど、いつもいつもはぐらかされてなあ………」
兄が語る
「『魅力がある方』と言われて競ったり、『頭がいい方』と言われて競ったり」
弟が語る
「今回はたまたま『強い方』だったからな」
兄が語る
「じゃあ、どうやって強さを比べようとしたとき、『たくさんのありとあらゆる人間をぶちのめせたら、強いんじゃね?』って弟と話して」
弟が語る
「怪我の程度だと、例えば一発殴っただけと、病院送りにしたとか差が大きすぎるから、いっそ息の根を止めた数にしようぜ!ってやったんだ
まあ、結果は兄貴も俺も5人ずつでドローだったけどな」
―――人を殺すことが強さ?
兄が語る
「それはそうだろ?最後に立っていた奴が強い!逆に先にくたばるのは弱い!」
弟が語る
「まぁ殺すまでいかなくてもいいんだけど、殺した方がわかりやすいからな、勝敗が」
―――兄弟で直接決闘はしなかったの?
兄が語る
「………その手があったか!
確かに弟に直接勝てるし、波那を独占できる!!」
弟が語る
「………俺としては波那を手に入れた後、兄貴の悔しがる顔も見たいから、直接やりあうのは避けたいな」
後日、遊右騎兄弟の知り合いである、南並波那に取材することができた。
「正直、もうあの兄弟には関わりあいたくありません。好意を向けられるのもおぞましいです。
私が『魅力がある人が好き』っていったら、たくさんの女性を拉致・監禁して犯した数を競ったり、
『頭がいい人』っていったら詐欺をして騙し盗った金額で競ったり、
あの兄弟、ホントに頭おかしいです!
それでもしつこく付き合う為の条件を聞いてくるから、適当に『強い人』って答えたんです。
そしたら、まさかこんな事になるなんて!!
………ホントは二人で殺し合って、二人共死んでくれたらどんなに良かったか」
―――そろそろ、お時間ですね。貴重なお話、ありがとうございました。
サブタイトル
「純愛の為」から「勝利の為」に変更しました