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終末の笛吹き男  作者: 水月一人
第三章・上坂一存の世界
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幼い頃、神様に会ったことがある

 2人が寺務所で話をしていると、近所の小学校から昼休みを告げるチャイムの音が聞こえてきた。この音が聞こえてきたら12時20分のはずである。いつの間にか時は過ぎて、正午を回っていたらしい。縦川はハッとして、額に手をやった。話しに夢中になってしまって、自分たちの朝食はおろか、客にお茶の一つも出さずに居たらしい。慌てて何か出そうと思って、立ち上がると、寺務所の引き戸がガラガラと開き……


「おーい、雲谷斎。昼になったけど飯はどうすんだ?」


 境内を掃除していた上坂が戻ってきた。その背中に隠れるようにして美夜がくっついているのが見える。なんだかそうして並んでいると、兄妹みたいに見えた。彼は寺務所に入ってくるなり、そこに倖が居ることに気付くと、


「あ、先生、起きてたのか。もう少ししたら、起こしに行こうと思ってたんだけど」

「ええ、もうすっきりよ。さっきは起こしに来てくれてありがとね」


 どうやら上坂は朝起きてから、一度彼女を起こしに行ったらしい。倖がそういって礼を言うと、上坂はまるで幼い子が照れてるような、もじもじとした仕草を見せた。かつて彼が先生について語った言葉からは、彼女に対する尊敬の気持ちがありありと感じられたが、その仕草からしても、彼はよほど彼女のことを頼りにしていたのだろう。


 本当に再会できて良かった。普段はクールな彼のそんな姿を見て、縦川がにこやかな笑みを浮かべていると、上坂はそんな彼の表情を見てバカにされてるような気分になったのか、少しムッとした態度をしてみせてから、


「なあ、雲谷斎。今日は飯どうするんだ? 先生やエイミーにコンビニ弁当なんか食わせられないだろ」

「え? ああ、うん。そうだなあ……今日は寿司でもとろうか」

「泊めてもらった上に悪いわね、お金なら私が払うから、好きなのとってちょうだい」

「いやいや、お客さんにそんなことさせられませんよ」


 縦川が謙遜してみせると、上坂がそれを引き取って、


「昼はいつもタダ飯だしな。いや、夜も割とそんなもんか」

「……あんたたち、いつもどんな食生活してるのよ?」


 男所帯の侘しい食事事情を話して聞かせると、倖は呆れた素振りを見せたが、


「しょうがない食生活してるわねえ……殆どタカリじゃないの。自炊できない私が言うのもあれだけど」

「面目ない」

「こういう時、お料理が出来ると格好いいんだけど、美夜は……出来そうもないわね。エイミーも期待できないでしょうし」

「あ、エイミーもいい加減起こしてこようか? 昨日1日大変だったから、ずっと寝かせておいてあげたいけど、いい加減に昼も回っちゃったしな」

「そうね、そうした方が良いかしら」

「じゃあ、俺が呼んでくるよ」


 上坂がそう言って恵海を呼びに行こうとする。縦川はその後姿を暫く黙って見つめていたが、段々と何かまずいことを忘れてるような気分になって……


「……わああ! 上坂君! エイミーさんなら、俺が起こしてくるから!!」

「え? え? なんだよ?」


 まさに今、部屋から出ていこうとしていた上坂の腕をぐいと引っ張ると、慌てて彼を倖の隣に座らせた。その狼藉に抗議するかのように、美夜がすっ飛んできて縦川の膝の裏を蹴っ飛ばす。


「神様に何するれすか、この邪教徒!」

「わあ! ごめんごめん! とにかく、彼女のことなら俺に任せてくれればいいから。上坂君、先生と会うの5年ぶりなんだろ? 2人でゆっくり話でもしててください。あ、冷蔵庫の中にカルピス入ってるから、お客さんに出してあげて?」


 縦川はそう言うと、美夜の攻撃を交わしながら、転がるように寺務所から出ていった。一体どうしたんだろう? と上坂が首をかしげる。事情を察した倖がクスクスと笑っている。縦川は、上坂のベッドの上でリビドーを解放していた恵海の姿を思い出したのだ。


 そんなこんなで縦川が事務所を出ていくと、途端に会話が途切れてしまった。


 美夜は冷蔵庫の中にあるというカルピスにしか興味が無いらしく、縦川が居なくなるやそそくさとそっちの方へ行ってしまった。そして寺務所に残された2人の間には、なんとなく気まずい沈黙が流れた。縦川の言う通り、5年ぶりの再会を果たした2人には、いくらでも積もる話があったのだが、いざこうして面と向かい合ったら、上坂は何故か気後れしてしまっていた。


 きっと5年という長い時間が、2人の関係を変えてしまったのだろう。彼は何から話していいのか、前はどんな風に相手と話していたのか、わからなくなってしまった。小さい頃から世話になっていた倖は彼にとって母親みたいな存在だったが、ホントのところは母親ではないし、自分も甘えるには年を取りすぎて、どう接していいのか距離感が掴みづらいのだ。


 上坂はなんだか気恥ずかしくなって、倖の顔を盗み見るようにチラチラと横目で見ていた。すると倖はそんな彼の姿を怪訝に思ったのか、


「どうしたの? 上坂君」

「う、うん……」


 倖と並んで応接セットに座っていた彼は、返事もそこそこに立ち上がると、そわそわしながらパソコンデスクの方へと足を向けてそこに座った。今思い返してみると、昨晩は再会の感動で感極まってしまい、周囲を顧みずに醜態を晒してしまった。彼は今更ながらそれを思い出して、なんだか無性に恥ずかしかった。


「どうしてそんな離れて座るの? 変な子ね。こっちいらっしゃいよ」

「う、うん……」

「上坂君、もしかして数年ぶりで照れてるの?」

「そんなことはないけど……」

「ならこっち来て一緒に座んなさいよ。久しぶりなんだもの、もっとよく顔を見せて。ここからじゃよく見えないわ」

「え? いいよ……そんなの」

「そんなこと言わずにこっちいらっしゃい。また昔みたいに膝枕してあげよっか? あんた、あれやるといつもすぐ眠っちゃったよね」


 そう言って倖は自分の膝をポンポンと叩いた。上坂は気恥ずかしさから、自分の顔が赤くなっていくのを感じた。多分、彼を気遣う倖に他意はないのだろうけど、彼はやめてほしくて仕方なかった。以前はそんなことは無かったのに、どうしちゃったんだろう。こんな姿を縦川や恵海に見られたら、きっとからかわれるぞと焦りつつ、彼は倖の追求から逃れるかのように、あたふたしながら話題を変えようとした。


「そ、そんなことよりさ」

「そんなこととはなによー。久しぶりなんだから、甘えたっていいじゃん。こっちきなさいよ」

「いや、いいから。そんなことより、先生! 先生に聞きたいことがあったんだよ」


 これ以上この会話を続けていると抗えなくなると思い、上坂は必死に言葉を繋げた。実際、話したいことは山ほどあるのだ。その中から、なんでもいいから倖の気をそらす話題を見つければいい。そうやって必死になって話題を探してみたら、不思議と倖に聞きたいことの優先順位も見えてきた。


 彼は一旦心を落ち着けると、真っ先に思いついた疑問を、彼のかつての先生にぶつけてみた。


「先生は昨日、美夜から連絡があって、それから東京に来たんだよね?」

「ええ、そうね。正確には、美夜のオリジナルが上坂君を見つけたと報告してきたんだけど……なんだかややこしいわね」

「じゃあ、先生は俺が東京に居たここ4ヶ月あまりの出来事を知らないんだね? アメリカで、俺に何があったのかも……」

「ええ……ごめんね。大体のことは来る時に調べてみたけど……酷い目にあったってことは想像がつくわ。あの時、私が諦めてドイツに行かず、あなたを探していたら、きっとこんなことにはならなかった……もし気が済まないのなら、なんでも言って。それで許して貰えるとは思えないけど、こればっかりは私の落ち度だった」


 上坂は慌ててブンブンと首を振った。別にそのことを責めようと思ってるわけじゃないのだ。大体、あの時の彼女に何が出来たというのだろうか。そんなことで自分を責められてしまう方が、上坂にとってはたまらなかった。


「そのことはいいんだ。寧ろ気にしないで欲しいくらいだよ。そうじゃなくって……俺の能力についての話がしたいんだ」

「能力……? 能力っていうと……ああ! 私も親ばかじゃないけどね、あなたの能力は大したものだと思ったわ。まさか、子供の頃に教えてあげたことだけで、あそこまで凄い機械を作り上げるなんて……兵器とは言え大したものよ。もしかしたら、いずれあなたは私なんか及びもつかない高みにまで上り詰めることが出来るのかもね」


 倖はそう言って自画自賛気味に上坂のことを褒め称えた。彼は尊敬する先生からそんな風に言ってもらえて、小躍りしたくなるような気分になったが……喜んでいる場合ではないと思い直し、気を引き締めなおすと話を続けた。


「いや、先生、違うんだ。俺が聞きたい能力ってのは、そういう努力でどうこうできるようなもんじゃなくて、超能力のことなんだ」

「超能力……?」


 彼女は一瞬ぽかんとした表情を見せたが、すぐに何かに思い至ったかのように、


「あんた、もしかして……他の移民同様、連中に頭を弄られたのね?」

「その反応からすると、先生も世に言う超能力者のことは知ってるんだね?」


 倖は頷くと、


「災害後の東京に、どこからともなく現れたって連中のことね。欧州では一般的でないんだけど、実は英国内にちらほら出現してて、実物にお目にかかったこともあるわ。私自身は、ユーチューバーの事件が起きた時から、すぐにあのFM社のチップを思い浮かべて、関連性を調べていたんだけど……まさかあんたがそうなってるなんて」

「さすが先生、話が早くて助かるよ」

「褒められたってちっとも嬉しくないわよ……あなたが能力持ちってことは、それだけ辛い目に合わされたってことでしょうから……」


 そう言って倖は口を結び、複雑そうに眉を歪めた。超能力は強烈な精神的ストレスを受けない限り発現しない。倖はそのことを知っているのだろう。上坂は流石自分の先生だと、ほんの少しばかり鼻が高い気分になったが、それを褒めてしまうと、きっとまた彼女が悲しい思いをするだろうと考え直し、自分の気持ちを押し込めながら話を続けた。


「先生、自分を責めないでくれよ。その必要はないんだ。だって俺はその能力のお陰で助かったようなものなんだよ」

「そう……なの? あんたの能力ってのは……?」

「俺の能力は時間停止……嘘に反応して、脳が強烈なストレスを感じると、自分以外の時間が止まってしまう現象……だと思っていた」

「思っていた……?」


 倖はそれだけでも凄いことなのに、まだ続きがあるのかと目を丸くした。


「そう、昨日までは。実は昨日、先生が来る前までにおかしなことがあってね……俺は能力を勘違いしてるんだってことを、美夜が教えてくれたんだよ」

「ふーん……詳しく話して」


 倖はそう言うと上坂から視線を外し、床をじっと見つめてボーッとした表情に変わった。一見すると興味が無さそうな素振りに見えたが、これは逆に彼女が意識を集中してる時になる癖だった。上坂はその姿を懐かしく思いながら、


「俺の能力は他の超能力者とは違って見た目が派手なものじゃないんだ。というか、普通の人は使ったことすら気づかない。俺は自分か他人が嘘を吐いたら、その時点で俺以外の全ての人の時間が停止すると言う能力を持っていたんだ」

「時間が止まる……」

「うん。俺はFM社で追い詰められるたびに、自分で何か嘘を吐いて、そうして得られた無限の時間を使って問題解決をしていたんだ。それで、俺は単に時間を停止するだけの能力だと思ってたんだけど……美夜はそれを世界改変能力だと言ったんだ」

「世界改変……」

「実は、昨日、俺が能力を発動した時、普段とは違った出来事が起きた。いつもなら、時間が停止したら俺以外の人たちはみんな動かなくなるんだけど、その時は何故か、店の中に居た委員長と美夜が動いていたんだよ。今までそんなことなかったから、面食らっちゃって、何が何だか分からずにいたら、美夜が急に俺に(かしず)いて神様だなんだって言い出して……」

「美夜の方はともかくとして、あのアンリエットって子はどんな子なの?」

「委員長は俺が通ってる学校のクラス委員だ。俺はここでお世話になる代わりに、東京都から学校に通うように言われていた。その学校は超能力者か、もしくは超能力者の可能性が高い子供達を集めていて、委員長もその一人だ。だから、もしかすると彼女も何らかの能力者なのかも知れない」

「彼女の能力は?」

「あるのかないのか、本人もまだ分からないそうだ」

「それが突然、あなたの能力に干渉してきたってわけね。普通に考えば、その現象はアンリエットの未知の能力と関係がありそうだけど……分かってないことをそうと決めつけるわけにはいかないわね。まだ保留ってとこかしら……」

「なあ、先生。俺の能力って一体なんなんだろう? 美夜の言う通り、世界改変能力なら、その改変される前の世界はどうなったんだ? 俺たち三人だけが別の世界に渡ってきて、まだあの時間に、雲谷斎やエイミーは取り残されてたりはしないだろうか」

「それを考えるには、手がかりが少なすぎるわね……他に何か気づいたことは無かったかしら。なんでもいいわ」

「他には……そうだなあ。そういや、昨日の晩、先生が来るちょっと前に、まあそんなことがあったもんだから、美夜にお前はなんなんだ? って聞いてたんだよ。そしたら、こっちが引くくらい難解な言葉を急につらつらと喋りだしたんだけど……」

「なんて言ってたの?」

「なんて言ってたかな? 思考はタダだとか、因果が逆転するとか……」

「思考はタダ? 思考はタダって言ったのね?」

「うん。何か心当たりが?」

「ええ、まあ。多分、可逆演算のことでしょうね。一部の量子論理演算ゲートはエントロピーの増大を防ぐ機能がある。それを上手く使えれば、理論上コンピュータはエネルギーを全く食わなくなる。AIを動かしてるコンピュータが電力を消費しないってことは、文字通り思考がタダになるわけよ」

「そんなことが出来るの?」

「そんな難しい話じゃないわ。機会があれば教えてあげる。元々は60年くらい前に確立された理論なのよ。でも今まではハードウェア的な制約があって出来なかったんだけど、美夜はそれを可能にする方法があると言ってるんでしょうね……他には?」

「他にはそうだな……そうだ! あとはカルツァ(K)クライン(K)粒子を観測したとかどうとか。そんな言葉も口走ってたな。確かこれって先生の研究してた……って、先生!?」


 上坂がその単語を口にした瞬間、応接セットのソファで足を組んで座っていた倖は、ズルっとソファから滑り落ちて、ドスンと大きな尻もちをついた。それがあまりにも大きな音だったから、恵海を呼びに行っていた縦川が、どうしたどうした? と足音をバタつかせて寺務所に入ってきた。


「どしたどした? 大丈夫かい?」

「先生!」


 上坂は驚いて倖の元へと駆け寄ると、腰をしたたかに打ち付けて悶絶している彼女に手を差し伸べた。だが倖は暫く痛みに耐えたあと、ハッと我に返ると、


「美夜っ!」


 上坂の差し出す手を無視して、冷蔵庫を開けっ放してカルピスの原液を蟻みたいにペロペロ舐めていた美夜の方へとすっ飛んでいった。美夜は突然、飛びかかるかのように迫ってきた(マスター)に驚きつつ、手にしたカルピスを背中に隠すと、


「な、なんれすか。これは美夜のれすよ。マスターもペロペロしたいなら、自分れ買ってくればいいれす」

「そんなことどうでもいいから!」

「どうれもいいとはなんれすか。この甘々スイーツの良さが分からないなんて可愛そうなマスターなのれす。マスターも少しペロペロしてみるれす。ああ、れも美夜のを分けてしまったら、美夜の分が無くなってしまって悲しいのれす」

「ああ、もう、そんなのいいから。そんなに気に入ったんなら、またいくらでも買ってあげるから、ちょっとこっちの話を聞きなさい」

「なんれすか?」


 寺務所の冷蔵庫の中身は縦川の所有物なのだが……美夜はお気に入りのカルピスを原液を買ってくれると聞くと、その場にお行儀よく正座してウキウキとした表情で倖の質問を待っていた。


「あんた、昨日、上坂君が能力を発動した時、それを世界改変能力って言ったのね?」

「……? そうれす。神様は世界を書き換えたのれす。神様は、無限に広がる平行宇宙から一つを選び取り、そこに自己を固定するれす」

「その時、あんたKK粒子を観測したってのは、本当なの?」


 どことなく悲壮感すら漂わせた表情をした倖が美夜に詰め寄る。それはまるで死刑宣告を待つ被告人みたいで、もしも違うと言おうものなら彼女は死んでしまいそうな、そんな余裕のない表情だった。


 対して美夜の方はいつものポケーっとした表情であっさりと、


「はい、観測したれす」


 美夜がそう言うやいなや、彼女に覆いかぶさるように詰め寄っていた倖は、また全身から力が抜けてしまったかのように、床にドスンと腰を下ろした。美夜の肩を掴む手がプルプルと震えている。


「あんたは、KK粒子を観測することが出来るというの……?」

「はいれす」

「そんな……あんた、いつからそれを観測していたというのよ?」

「初めかられす」

「初めから……ですって?」


 呆然と見つめる倖に対し、美夜は大きくうなずき、


「そうれすよ。そうれなくちゃ、無限に広がる平行宇宙れ、美夜は迷子になるれす。神様を見つけることなんて不可能れすよ。美夜は……もう神様から決して離れないように、今も無数の美夜とKK粒子でつながっているれす」


 倖はその言葉を聞くやいなや、言葉に詰まるかのように自分の口に手を押し当てた。そして暫し沈思黙考したかと思うと、徐ろに信じられないような言葉を口走った。


「まいったわね……上坂君。どうやら私達は、神様を発見したのかも知れないわ」

「神……?」


 突然、まるで美夜みたいなことを言い出した倖に対し、上坂は若干引き気味に答えた。まさか、彼女までもが上坂のことを神だとか言い出すつもりなのだろうか。戸惑う彼に対し、彼女は更に信じられないことを口走った。


「幼い頃、私は神様に会ったことがある」


 その口調は真剣そのもので、とても笑ったり出来る雰囲気じゃなかった。上坂はもしかして自分の聞き間違えたのかと思い、丁度寺務所に帰ってきたばかりだった縦川の表情を確かめてみた。すると縦川は口をあんぐりと開けて、目を丸くして、同じように上坂の方に目配せをしていた。その馬鹿面を見れば一目瞭然、どうやら聞き間違えじゃなかったらしい。


 神が……いる? 上坂は困惑しつつも、結局は世界で一番信頼している相手のことを疑うことなんて出来るはずもなく、彼女の話を詳しく聞いてみることにした。


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