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バベルの塔  作者: 種蒔人
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0章 プロローグ

バクバクと心臓の鼓動が早い。私は緊張しているというより、高揚感を抑えきれずにいる。

なぜなら、この扉の奥で、かの王と謁見を許され、そして『あのこと』をご報告することができるからだ。

「我らが王より入室のお許しがでました。どうぞ、お入りください」

近衛兵が、ゆっくり扉を開ける。私は頭を垂れながら、まっすぐ進み、10歩ほど進んだところで、ひざまずく。

「建築士シャルム。塔の進捗状況について報告に参りました」

「よろしい。頭をあげよ。少し楽にしてかまわん」

「は。誠に恐れ入ります」

頭をあげ、目の前の玉座に座る王の姿を捉える。髪は肩まで届き、豊かな髭を蓄えた顔には、鋭い眼光が私を貫くように光っている。青い衣裳とマントを身にまとい、白いタイツを履いた足には、茶色いブーツが履かれていた。

ニムロド王。ここシナルの地の統治者であり、私と同等かそれ以上にこの計画を熱心に推し進めている人物である。


「現在、塔の建築に目立った遅れもなく、順調に進んでいます。皆よく頑張ってくれています」

「そうであろうな。この計画は、民自身が望んだこと。我の願いであると同時に、民にとって生きる希望なのだからな」

「シャルム。貴君には感謝しているのだ。ここからの景色は本当に眺めがよい」

王は視線を左へ向け、私も視線を右へ向ける。真横には雲海が広がり、それより上には、雲一つなく、吸い込まれそうな真っ青な空が広がっている。

日の入り前の薄暗い青い世界には、ほんのりと星々が輝き、散りばめられた宝石箱を思わせた。

「これほど綺麗な世界を人が手にしたとすれば、あの方は黙っておれぬだろう。貴君の働きのおかげだ」

「お褒めの言葉。大変恐縮でございます。しかし、私だけではここまでのことはできません。同僚のヨタムや、多くの人々のおかげです」

「ふむ。だが、完成は急げよ。我らが手を染めているのは禁忌そのものだ」

「はい。承知しております」私は、再び湧き上がる高揚感を抑えるため、少し息を吸い言葉を繋いだ。

「その件についてもう一つご報告したいことがあります。いよいよ、『アイオーンの梯子』の建設が始まります」

ニムロド王は立ち上がり、マントがひらりと舞う。

「なんと!ついにか!どれほど待ちわびたことか。私の願い。いやそれだけではない、我が民族全ての願いが果たされるのだ」

「シャルムよ。我らが希望は何であるか。知っているな?」

「はい。当然です」


「神からの解放です」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

解説

ニムロド王:ノアの箱舟により生き残ったセム、ハム、ヤペテの内、ハムはクシを生んだ。クシはニムロドを生んだ。ニムロドは、世界の最初の権力者とされており、神に対して非常に懐疑的であったとされている。


お読みいただきありがとうございます。

この作品は、旧約聖書のバベルの塔をテーマに作成したものであり、時代考証等をしたうえで、矛盾や錯誤が無いように可能な限り気をつけていきたいと思います。

また、この作品はシリーズを予定しております。プロットも完成されていますので、作者がへばらない限り完成を目指して頑張ります。

題材が題材なので、胡散臭い感が出てこないように注意すると共に、一定の宗教に対して批判するものではないということ申し添えます。

よろしくお願いいたします。


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