続・生まれ変わっても。
これ、書いておいて、セーフか悩んで、勿体無い精神であげます。
アウトでしたら、教えていただけると助かります。
私ことアンジェは、前世で置き去りにしてしまった恋人と再会し、再び恋に落ちました。
お互い愛し合ってますし、身分差とかも、恋人になったラファエルがどうにかしてくれるでしょうから、私は勉強を頑張ってるんですが……。
ちょっとした、と言うか、一番の問題がありまして……。
「だめ、ラファエル」
「だが、アンジェの匂いを嗅いだら、その、臨戦体勢に……」
「わたし、いくつだとおもってるの?」
「愛してれば……」
「わたしも、愛してるけど、むりなものはむりなの!」
年の差がありすぎて、私はまだ月のモノも来てない6歳児なんです。
●
結局、毎回押し問答の末に、こうなるんだけど、ラファエルは、裸ですやすやと寝ている。
もちろん、最後まではいたしてないけど、私の中身は成人女性で、前世ではラファエルとそういう関係だったから、まぁ、色々と手段はある。
うん、詳しくは……話したくない。
ちなみに、私は下着をちゃんと着けてる。
剥かれたら、色々と最後だろう。
そう言えば、氷の王子とか言われていたラファエルは、最近よく笑うようになったと評判だ。
弟君とも仲直りし、味方に引き込んだらしい。で、鬱陶しかったご令嬢を、婚約者として押しつけたそうだ。
ご令嬢は王族なら誰でも良かったらしく、喜んでいたそうだ。
あと、とりあえず、王を押し退けるのは、止めたらしい。
いると便利な事もあるそうだ。
一応、私は婚約者という肩書きを得ている。
王妃に向かって『おかーさま?』って可愛い子ぶったら、許可が貰えた。
大丈夫だろうか、この国。
どうやら、王妃の方が発言力があるようなんだけど。
ま、陛下も『おとーさま?』で、落ちましたけど、何か?
うふふふ、この国、本当に大丈夫かな?
例えラファエルが王子じゃなくなっても、私の気持ちは揺るがないよ。
生まれ変わっても愛してたんだから。
「アンジェ……」
寝言で私の名前を呼ぶ愛しい人へ、私はそっと口付けを贈る。
頑張って、早く大人になるからね。
ラファエルがロリコンって呼ばれないように。
●
「アンジェ様、また下着が数点消えてますけど〜」
緩く報告してくれるのは、ラファエルと婚約してから侍女になってくれた、エリアだ。
喋り方も見た目もふわふわしてるけど、仕事は出来るし、結構毒舌だったりする。
もう5年近い付き合いだから、すっかり気心が知れた仲だ。
「……犯人はわかってるから、新しいのよろしくね」
こうして私の下着が消えるのも、すっかり日常になった。
私の成長を待ってくれているラファエルが、色々と我慢しきれなくて持って帰る、という日常だ。
慣れた訳ではないけど、浮気とかに走らない辺り、ラファエルの愛を感じるべきなのか……。
「旦那様は、アンジェ様の匂いだけで大丈夫らしいですからね〜」
何が大丈夫なんだろう。ラファエルが変態なんじゃとか思いそうになって、慌てて首を振る。
悩みすぎたのか、何かお腹に違和感がある。まさか、ストレス?
「……エリア、私、何だかお腹が痛くて」
そこまで口にしてから、私は自らの体の異変に気付き、下腹部を擦る。
何とも言えない、この腹痛には覚えがある。しかも前世で。
「アンジェ様、もしかして、ですが……」
「うん、それっぽいみたい」
「すぐにご用意をいたしますね〜」
私の答えを聞くと、仕事が出来る侍女なエリアは、嬉々とした表情で、本当にすぐ色々と用意してくれた。
初めてのそれは、やっぱり痛くて気持ち悪くて、私は大事をとってベッドに寝かされる。
ラファエルの指示で、私の住む屋敷には、老執事と庭師のおじいさん以外男性がいないので、私が少女から大人の女性に近づいたという話題は、あっという間に屋敷内に知れ渡り。
ちょっとしたお祭り騒ぎらしい。さすがに恥ずかしい。
「ラファエル様には、秘密にしてますから、ご自分で伝えてさしあげてくださいね〜」
エリアは、ニマニマとした笑顔で優しく私のお腹を撫でると、静かに部屋を出ていく。
「……喜ぶ、かな。喜ぶよね? と言うか、待て、聞いてくれるかな?」
言った瞬間、暴走しそうな予感しかしないけど、本気で私が嫌がれば大丈夫だろう。
エリアが出ていったという事は、そろそろラファエルが来る頃なんだろう。
薬でウトウトしていたから、時間の感覚がない。
また、ウトウトしてしまった私は、バンッと勢い良く扉の開く音で目を覚ます。
そんな事が許されるのは、この世界で一人だけ。
「アンジェ、具合が悪いと聞いたが……」
ベッドへ駆け寄ってきたラファエルは、真っ青な顔色で、今にも泣き出してしまいそうだ。
失念していたけど、きっと前世での私との別れを思い出させてしまったのかもしれない。
「ごめんね。大丈夫、少しお腹が痛くて……。温めれば平気だから」
「そうか、良かった……」
安堵の息と共に吐き出されたラファエルの言葉は、湿っている。
私と再会してから、ラファエルは泣き虫かもしれない。
「触るぞ?」
律儀に断りを入れてから、ラファエルの大きな手が、私の薄いお腹を優しく撫でていく。
撫でられたところから、ほんのりとした熱が広がっていく。
「魔法?」
「あぁ。アンジェが腹痛だと聞いたから、習ってきた」
「そうなんだ。ありがとう、ラファエル。気持ちいいよ」
サラリと言ったけど、習っただけで、その魔法をすぐ使える辺り、ラファエルは天才なんだろう。
私への愛が成せる技かもしれないけど。
よし、言うなら今しかないかな。
「それで、あの、ラファエル。私、あなたに伝えないといけない事が……」
おずおずと話し始めた私に、ラファエルの目がカッと見開かれ、ポロポロと涙が溢れ出す。
「いやだ、アンジェ、もう置いていくな……っ」
うん、完全に勘違いしてる。
私の手を必死に握り締めて訴えてくるラファエルに、私は笑顔で口を開く。
「ラファエル、聞いて。いい知らせだよ?」
「いい、知らせ?」
「……やっと私の体、ラファエルの奥さんになる準備が出来たの」
ボヤかした私の言葉でも、私の症状からラファエルは正確に読み取ってくれたらしい。
ベッドの脇に膝をつくと、私のお腹へしがみつくように抱きついてくる。
「アンジェ、アンジェ、愛してる……っ。もう、絶対に置いていかないでくれ……」
「私も愛してます、ラファエル。
だから、とりあえず盛らないでね?」
何か、このまま流れで押し倒されそうなので釘を刺しておく。
「……ずっと待っていたんだ。もう少しぐらい待てる」
その割には、何か当たっているが、言わないであげておく。
それだけ、愛されてるって事だから。
「ふふ、ありがとう」
私のお腹に頬擦りしているラファエルの頭を、よしよしと撫でて、幸せを噛み締める。
死に際の、あんな口約束が、叶うなんて今でもしんじられない。
でも、こうして私はラファエルと会えて、また愛し合えた。
本当に幸せだ。
神様がいるのかわからないけど、ありがとうと伝えたい。
――実はラファエルのストーカー一歩手前な愛が、私の魂を引き寄せた、とかかもしれないけれど。
●
[視点変更]
俺ことラファエルは、俺を置いて逝ってしまった恋人と再会し、捕獲する事に成功した。
身分差などは、周囲を黙らせる事に成功したが、何よりの問題がある。
抱き締めて、匂いを嗅いだだけで、色々と臨戦態勢になるぐらい愛しい恋人は、年の差が20近い、まだ6歳だった。
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見た目は6歳でも、中身は6歳プラス前世の年齢なアンジェは、もちろん、俺とのそう言う経験がある訳で……。
まぁ、我慢が出来ない俺のために、色々してくれてる。
完全なロリコン決定だが、俺が興奮するのはアンジェだけだから、アンジェコンが正しいだろう。
婚約した時にアンジェ専属にした侍女からは、時々、道端のゴミを見るような目をされるのだが、最近気付いた。
道端のゴミのように見られるのは、俺が我慢が出来なくて、そういう戯れをした日だと。
アンジェ専属に相応しい反応だと思うので、不敬などとは考えないでおこう。
と言うか、そういう戯れをした後、アンジェの下着を持ち帰るのが良くないのかもしれないが……。
あれがないと、本当に我慢しきれなくなるかもしれない。
あと、脂ぎった貴族や、ニヤニヤした気持ち悪い貴族の息子が、同族扱いしてくるのが苛々するが、我慢するしかない。
幸いにも、小バエじみた令嬢は、弟に押しつける事に成功した。
母上は娘が欲しかった事もあり、あっという間に陥落し、渋っていた父上も、アンジェの『おとーさま』でデレデレだ。
つまり、身内にアンジェの敵はいない。
弟の婚約者になった小バエも、『おねぇさま』で落ちた。チョロ過ぎるだろう。
この国の未来が心配だが、俺がいる限り、アンジェに苦労させはしない。
今度こそ、守りきる。
●
そんな決意をしていた俺を嘲笑うかのように、アンジェに付けていた護衛から、異変があったと報告があり、俺は残っていた仕事を高速で終わらせる。
向かうのはもちろん、アンジェと俺が住む屋敷だ。
男は老執事と庭師の老人しかいないが、実は全員元か現役の諜報や軍人。守りは完璧だ。
守りは完璧でも、アンジェの体調はどうにも出来ない。
前世での絶望が、俺の胸を染めていく。
真っ白い病室で、告げられた別れを嫌でも思い出してしまう。
アンジェに気を取られていた俺は、屋敷内のふわふわというかニマニマとした雰囲気に気づかず、一直線にアンジェの部屋へ向かう。
ベッドに横たわるアンジェは弱々しく、今にも消えてしまいそうだ。
失いたくなくて、泣いてすがった結果、予想外な事、しかも良い方に予想外な事を告げられた。
アンジェに初潮が来たのだ。
つまりは、精神に体が追いついて来たという事だ。
もうすぐ、もうすぐだ。
まだまだ薄いアンジェの腹に頬を寄せ、俺は本当にアンジェを自分のモノにする日を待ちわびる。
神か悪魔か知らないが、俺の願いを聞いてくれた存在に感謝はしている。
だが、次はない。
次、俺からアンジェを奪うなら、この世界を滅ぼしてやる。
――無力だった前世とは違い、俺にはその力があるのだから。
私的には、セーフかな、と思ったんですが……。
本当にアウトでしたら、教えていただけると……。
私の書くカップルの中では、文句無しの一番ラブラブなカップルです。