表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/46

二人の朝


「き、君たちは一体、誰……?」

突然現れた二人の女の子。あまりの出来事に動揺が隠せない。

「「あたしたちはパパの娘だよ!」」

「娘⁉︎ ……いやいや、そんな訳ないでしょ」

子どもどころか、俺とエルダは恋人って訳でもないんだし。

「あー! 信じてないんだ?」「パパ、さいてー!」

ぐっ…………。そうは言っても、やっぱり俺に娘なんているはずが……。

「あたしたちの顔をよく見てよ〜」「ママにそっくりでしょ?」

確かにエルダの面影がある。それに、この子たちはエルダの身体から発せられた光の中から出てきた。

「もしかして、本当に……? ううっ……頭が、急に痛く……」

まさかと思ったその瞬間、激しい頭痛が襲ってきた。

「あーあ、もうお別れかー……。もっとお話したかったのにー!」「パパ、次に会うときはもっと強くなっててね!」

だんだんと強くなる痛みに、頭を押さえてうずくまる。

「ま……って」

あぁ……意識が…………遠く………………

「ばいばい、パパ!」「ママにもよろしく!」

その声を聞いたことを最後に、俺の意識は夜に溶けていった。


「…………さん。マナトさん。起きてください」

つんつん。

「そろそろ起きてくださいよ〜。私、この体勢はちょっと恥ずかしいです……」

つんつんつん。

「ううん、分かった……起きる……」

なんだかいつもより頭が重い……

自らの眠気を覚ますためにモゾモゾと手足を動かす。

「ひゃっ…………マナト、さん……そんなとこ、さわっちゃ……ぃやぁ……」

ぎゅぅぅう。

一緒に寝ていたエルダが俺の服を強く握りしめた。より密着する体勢になったため、彼女の顔が近くにある。

ああ、いい匂いがする……。なんか柔らかいし……。

……ん? 柔らかい?

「…………ぁんっ………………」

エルダが小さく身じろぎする。まさか、これって……

「マナトさん、えっちです……」

目の前の彼女を見ると、耳まで真っ赤になって小さくなっている。

そして俺の右手は……。

「ごごごご、ごめんなさいでしたーーー!!!」

一気に眠気が吹き飛んだ。

彼女の身体を離してベットから飛び降りる。

俺の一日は、床の上で土下座をかましながら始まっていくのだった。


「…………」

「…………」

き、気まずいーーーーー!!

テーブルで向かい合うように座る俺たち。互いに相手の顔を見ることはできず、沈黙が朝の食卓を支配していた。

「あの〜、エルダ……さん?」

「ひゃいっっ!?」

静寂に耐えかね声をかけると、とても上ずった返事が返ってくる。あんなことしてしまった後だ、警戒されても無理ないか……。

「エルダ。ご、ごめんっ!」

「ええっ? どうしてマナトさんが謝るんですか……?」

「何でって、そりゃあ……エルダの身体、触っちゃったし……」

「そ、それは確かに恥ずかしかったですが、謝らないといけないのは私の方です。私が昨日、あんなこと言っちゃったから……マナトさんに、迷惑かけてしまったんじゃないかって……」

どうしてそんなこと思うんだろう?

俺はエルダの頼みだったら、こっちから頭下げてでも聞きたいくらいだ。

「迷惑だなんて、そんなことある訳ないよ! それに、昨日のエルダはとっても可愛い……ってそうだよ! 昨日の夜! エルダは覚えてない? あの双子たち!」

「双子? すみません、昨日はいつの間にか眠ってしまったみたいで……」

エルダは覚えてないか……。でも、昨晩の出来事は絶対に夢なんかじゃない。

このことを確かめるにはどうしたらいい?

どこか話を聞けそうなところ……。そうだ、一つだけ知ってるじゃないか。

「エルダ、今日は行きたいところがあるんだけど、付いて来てくれない?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ