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終末のイストリア  作者: 狗賓
出会いの章
6/43

第5話 ディクシアの過ち

 不穏な気配を感じ、少年の後を追っていたディクシアは、少年が建物(たとえば宿屋など)に入ったら、その時点で引き返すつもりでいた。

 そして、こじんまりとした宿屋らしき建物へと入っていくのが見えた。

 結局、おかしなことはしていない様子だったので、そのまま二人の所へ戻ろうとしたのだが、何故かそこで燭台のロウソクの火が消えてしまったのだ。

 ディクシアは辺りを見回し火を探す。

 だが、この周辺の市民は決して裕福ではないので家の前に明かりを下げてある家などない。

(仕方ない、どこかで待つしかないか)

 同僚・アリスは実に優秀な女性である。きっと自分の残した道しるべに気づき、迎えに来てくれるだろう。

 そこまで考えるとディクシアは、この周辺で一番明るい建物──すなわち目の前の宿屋へ入って行ったのだ。


 だが、その考えは浅はかであった。

 少年は、昼間のことを完璧に覚えていたのだ。

 自分がやりあった相手(イレミア)の顔はもちろん、その護衛に過ぎない(ディクシア)の顔も、明確に認知していた。

 ディクシアは少年が自分達を一度、敵認定(・ ・ ・)していたことに気づくべきだった。

 さらに彼は愚行を重ねる。

 偶然にも彼は3号室の前を通った。

 ディクシアはすぐに少年に気づいたが、その部屋に、さらにもう一人、別の男がいることに気がつく。その男の少し青みがかった黒髪がちらりと見える。


(あれは、もしかして──)


 もっとよく見なければ確証は得られない。だが、もし自分が思っている人物ならば……

 静かに気配を殺し、少年の背後へと近づいていく。もう少しで男の顔が見える……というところで男が少年に何か言った。

「っ!あんたは……昼間の!!」

 ディクシアに気づき、短剣を構える少年。その一連の動作は、明らかに素人のものではない。

 この少年は強い、ディクシアは確信する。反射的に腰に差していたレイピアを構え、宿の入り口を背にして廊下に出た。

 少年は後ろにいる男に向かって「アニキは隠れていてくださいっす!」と叫んだ。

 それから少年は、油断なくディクシアの前に進み出る。

「まさかここまで追ってくるとは……あのバカ娘の指図っすか?」

 ディクシアは答えない。

 自分の軽率な行動が少年の怒りを呼び覚ましてしまったことを理解していたから。それに──

(……今更自分に何が言える?第一、信じてくれないだろう……)

「チッ、答える気はなさそーっすね。まぁ、どーでもいいか」

 少年はディクシアのその様子にしびれを切らし、イライラとした口調で自己完結する。

「どのみち俺らの邪魔になるなら……消すのみっす」

 ──ゆらり、ゆらり、ゆらり

 目の前の少年の気配が揺らぎ、一瞬でその姿をくらました。


 そして次の瞬間、戦闘が始まる!!!

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